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» 2011年02月23日 08時00分 UPDATE

目標遂行型の人事システムのあり方とは? Success Factorsに聞く

新しい戦略に沿った人事システムをどう構築するか――旧来のシステムではビジネス環境の変化に対応するのが難しいとして、SaaSで解決を図る企業が増えているという。

[國谷武史,ITmedia]

 「環境変化に強い組織」の実現の企業の経営課題となった久しい。近年は長引く景気低迷や内需縮小などを背景に経営戦略の転換を迫られ、新たな戦略を立案する企業も増えている。そこで直面する問題が、戦略の実行を担う人材の管理や評価のあり方だ。その解決策としてSaaSが注目されているという。

 SaaS型人事システムを手掛ける米Success Factorsのダグ・ダナーライン社長は、「トランザクション型組織からトランスフォーメンション型組織への移行を目指す上で障壁となるのが、旧来の人事システムだ」と話す。

 以前の企業組織では、ある程度定型化された業務を効率的に処理することが重視された。今では企業を取り巻く環境の変化が激しく、組織には柔軟性の高い対応力が求められている。組織が手掛ける業務が多様化し、1人の社員が受け持つ役割の範囲も広がっている。

 人事システムも組織が置かれている状況に合わせて人材を適切に管理・評価できることが求められるが、長い歴史や文化を基に自前で構築されたシステムの変更は容易ではない。自社で設備を持たないSaaS型の人事システムにはこうした制約がない。「我々のサービスでは1年に5回のアップデートを実施しており、その多くが顧客企業の要求する機能の実装やパフォーマンスの改善だ」(ダナーライン氏)という。

 人材の管理・評価では、一般的にまず戦略に沿って社員の目標や行動計画が決められ、その内容と最終的な成果を突き合わせて行われる場合が多い。だが目標や計画を実行している過程で、その状況を適切に管理するのは難しく、社員の自己申告などに頼らざるを得ないケースもある。

 SaaS型の人事システムでも人材の管理・評価の基本的な流れは同じだが、業務システムと連携によって目標の進捗管理に必要な情報を迅速に反映させたり、分析したりできる点に強みがある。そのために必要な機能の追加・変更も容易だ。

 Success Factorsの顧客企業は約3200社(810万ユーザー)で、このうち日系企業は約160社(1万8000ユーザー)を占める。ダナーライン氏よれば、欧米では人材の管理・評価手法がある程度確立されているため、SaaS型の人事システムを全社規模で利用するケースが多いという。日系企業では、グローバル戦略などを担当する組織を対象にした新しい人事システムの基盤として導入するケースが増え始めている。

 例えば伊藤忠商事は、グローバル型組織を推進するために課長職以上の約1400人を対象とした人事システムとしてSuccess Factorsのサービスを利用している。氏名や学歴、資格、キャリア、評価など65項目に上る人事基礎データで人材情報の可視化を図り、マネジメント層の後継を担う人材の発掘や育成のための計画に活用している。

 また三菱電機インフォメーションテクノロジーでは、旧来のシステムが人事や研修、評価など複数に分かれ、統合的な利用が難しいという課題に直面していたという。社員情報や業績の進捗状況などを適切に把握するのも難しく、上司と所属員間のコミュニケーションを促進する方法も模索していた。SaaSの利用で人事システムを一元化でき、リアルタイムな情報の可視化や組織内コミュニケーションの活性化を図った。人材の育成や適切な評価・配置が可能になったという。

 Success Factors日本法人の木下雄介社長によれば、当初は従業員数が数万人規模の大企業での採用が目立ったが、最近では同500〜5000人規模の中堅企業の採用が増加している。「優秀な人材の能力をさらに引き出し、さらに彼らのノウハウを可視化して社内に浸透させたいというニーズが高まっている」(木下氏)

 人事システムは企業の根幹を成す重要な存在だが、環境変化に柔軟に対応するためには、SaaSのような比較的新しい技術を活用する傾向が強まりそうである。

successfactors.jpg 米Success Factors 社長のダグ・ダナーライン氏(左)と日本法人 社長の木下雄介氏

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