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IT部門主導でビジネス機会の創出を:可視化・管理・自動化を通じたITサービスマネジメントの確立が企業価値を高める

ビジネスのグローバル化が進み、急増する海外からの市場参入によって競争が激化するなか、企業においては、どのようなIT投資を行うべきなのだろうか。また、ビジネスに貢献するために、IT部門はどう進むべきなのだろうか。日本IBMの久納氏は「ビジネスに貢献するIT部門を確立するには、ITサービスマネジメントとそれを実現するソリューションが必要だ」と説く。


 日本IBM ソフトウェア事業の久納氏は「日本のIT部門は、まだリアクティブ(受身)な面が強い」と指摘する。実際IT部門の多くは、情報システムの運用管理に80%近くのリソースを割いていると言われており、このような現状を打破し50%は新規サービスの構築やITが主導するイノベーションに投入されるべきであり、目先のコスト削減だけでなく自社のビジネスに価値を与える取り組みがより多く求められている。「つまり、ビジネス戦略を理解した上でIT戦略を立案し実行することが重要。このような視点でIT部門に携わる人材が求められる」(久納氏)

 久納氏がユーザー企業の情報システム部門に在籍していた際、ビジネス部門にITサービスを提供する部門であるという視点から、SLA(Service Level Agreement)を定めるよう指示されたという。当時の上位マネジメントが「これからのIT部門は、単にITシステムを使えるようにするだけではダメで、そのITシステムがどれだけビジネスに貢献できているのか、きちんと計測しなければならない。その上で、ITはビジネスにバリューを創出するべきだ」という方針を持っていたためだ。

 これはまだSLA、ITILなどのキーワードもない90年代半ばのこと。当時、基幹システムのオペレーショングループをまとめていた久納氏は、「日々の業務に追われているIT部門にバリュークリエイションを求められても……と困惑するばかりだった」と笑うが、「新しい市場は技術革新とともに生まれる。加えて基幹システムを運用している人材は、業務の流れを把握している。今ではIT部門こそが、最も新しいビジネスを生み出しえる部門だと理解している」と話す。

ITを通じビジネス価値を創出する人材になれ

kuno.jpg 日本IBM ソフトウェア事業 Tivoliクライアント・テクニカル・プロフェッショナルズ 久納信之担当部長

 だが現実には、既に述べたようなギャップがある。例えば日本でITILの上位資格「Manager/v3 Expert」を取得しているのはわずか350人ほどに過ぎないし、MBA取得者が情報システム部門に所属し戦略立案にかかわるケースも少ない。「コードを書けたりUNIXサーバのオペレーションができたりするスキルも重要だが、それとは別に、ビジネスとITをつなぐ資質を有した人材が求められる」と久納氏は指摘する。

 特にエンタープライズ分野へのクラウド導入が進む現在、既に企業においては、基幹システムの内製のみを目的とするIT部門を社内に抱えるという選択肢は、現実味を失いつつある。つまりIT部門も、自社のコアコンピテンシーを理解した上で、それを支える技術的なITコンピテンシーを確立しなければならない。純粋な“技術屋”は、個人としては優れているだろうが、組織にとっての価値の有無は別である。

 このことを久納氏は、「これからのIT部門に求められるのは、技術的スキルを持った人材に加えて、人、自社の技術、テクノロジー、ナレッジ、プロセスといったリソースを、ITを通じて価値に転換できる人材だ」と指摘する。IT部門が提供すべきサービスは何か? という課題をビジネス部門と対等に議論し、SLAを定義できるのが理想的なIT部門だ」(久納氏)

 例えば日本企業の多くがテーマとして掲げる“グローバル化”。最近では生産やビジネス活動を海外へとシフトする動きが多くなっている。現地の優秀な人材を採用して活用する動きも活発化してきた。しかし、IT部門はというと、依然として国内にとどまっていることが多いようだ。これでは、真のグローバル化には至らない。「海外でビジネスをするのなら、IT部門も海外のリソースを最大限活用して現地のビジネスに直接貢献できるようにならなければならない。もちろん東京の人間をそのまま現地に移すわけにはいかないので、グローバルソーシング、つまりビジネスを支えるインフラストラクチャのグローバル化が必要だ」と久納氏は話す。

運用管理を脱し、ITサービスマネジメントの主幹部門として再生を

 ここまで述べてきたような、ビジネス側、IT側の課題を解決するフレームワークが、(ITILやCOBITにも裏打ちされた)ITサービスマネジメントである。ビジネスの方向性を、ショート、ミドル、ロングというそれぞれのタームに分類し、それぞれに最適化しつつIT戦略を立案したりIT人材を育成したりできる手法だ。

 だが一口に“ITサービスマネジメント”と言われても、どこから着手すべきか途方に暮れる向きもあるだろう。そこでIBMでは、ITサービスマネジメントのスタートラインとして、可視化(Visibility)、管理(Control)、そして自動化(Automation)の3つを挙げている。「スタートラインを示すということは、具体的には可視化すること。可視化することで正しく管理できるようになり、仕上げとしてそれを自動化するという、一連のプロセスを構築できる。これを(それぞれの頭文字を取って)VCAサイクルと表現している」(久納氏)という。

 可視化する際は、個別のITシステムだけを監視をしていても意味がなく、まず自社のIT基盤全体が見えていないといけない。つまり、従来のリアクティブなIT部門を脱するのならば、ビジネスの状況や市場動向を含めて可視化する必要があるわけだ。久納氏は「可視化してこそ、ITサービスマネジメントのスタートラインに立ったことになる」と話す。

 具体的なソリューションとして久納氏は、「IBM TivoliがVCAサイクルの構築を支援する」と紹介する。企業のIT部門は、多種多様なITリソースを管理しているが、これらをTivoliで統合管理すれば、ビジュアルなダッシュボードにイベントのモニタリング情報を集約できる。それだけでなく、他のデータベースと連携することで、グローバルなスケールであらゆる角度で情報を可視化・分析できる。これらの情報を見ながら、インシデント管理や障害対処の効率を最大化し、ビジネスにも貢献できる活動を進める――これがITサービスマネジメントの実践であり、実現するソリューションがTivoliなのだという。

 そもそも顧客――企業にとっては消費者で、IT部門にとってはビジネス部門――にとって、享受できるサービスが同質であれば、それを支えるテクノロジーやプロセスはどうでもよい。単体のテクノロジーを使えるようにするだけ(例えば社内PCをインターネット回線につなぐ、とか)でビジネスに貢献できた時代が終わりを告げつつある今、IT部門に求められるのは、新しいテクノロジーを、いかにしてビジネスに貢献できるものにするかということだ。

 例えば現在、クラウドコンピューティングが注目を集めている理由の1つとして、「ビジネス部門自身が、IT部門を通さずとも、純粋にサービスだけに着目して調達できるから」という要素が挙げられよう。オンプレミスな仮想化基盤も、物理ハードウェアのコスト削減にはなっているかもしれないが、物理と仮想の動的な構成管理をどうするか、またはセキュリティや可用性をいかにして担保していくか、という観点で評価すれば、むしろ複雑性が増してしまうことも考えられる。もちろん、管理対象とすべき論理サーバの数は増えてしまっているわけで、それに伴って「人的負荷や運用コストが増大するケースもある」と久納氏は指摘する。「IT部門は、単なる仮想化をしてハードウェアコストのみの削減に注力するのではなく、十分なビジネス感覚を持ってIT基盤をマネジメントし、全体最適化された状態を維持できるよう戦略的に判断すべき」(久納氏)

tivoli2.jpg 仮想化の普及に伴い、運用管理コストも増大の一途をたどっている(IDCによる世界のサーバ投資額調査より)

 「そもそも企業がビジネス部門のシステム化を予算計上する際、システム化に直接必要な構築や、ハードウェアおよびソフトウェアなどの項目については見積もりを行い、費用を正当化するのに、そのシステムに必須の運用管理や“ITサービスマネジメント”などの費用が抜けてしまっている」と久納氏は疑問を投げかける。「例えばERPシステムを入れるなら、必ずITサービスマネジメントも費用化するべきだ。ERPそのものよりも、日々の改善や変更を含むオペレーションを最適化する仕組み作りが重要なのに、この視点が欠けてしまっている」(久納氏)

 この背景としては、IT部門が単なるコストセンターだと経営陣から見られがちだということが挙げられるだろう。単なる運用管理ではなく、ITサービスマネジメントの主幹部門として再生するため、Tivoliのようなソリューションが解決の糸口を示す。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年5月24日



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