あのときAppleを買収していたら――マクニーリー元CEO、Sunの過去を語る(2/3 ページ)

» 2011年03月02日 08時00分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 しかし2000年から2001年にかけてドットコムブームが終わった後、Sunの経営は10年以上にわたって悪化の一途をたどり、何十億ドルもの損失を抱え込んだ。ドットコムブームのころ、Sunはサーバとワークステーションを言い値で売ることができた。ワークステーションやハイパフォーマンスサーバが2万ドルというのも普通だった。

 ドットコムバブルがはじけた後、それまで手軽に採用されてきたSunの製品が市場で供給過剰になり、同社はハイエンド分野ではIBMの製品に、ローエンド分野では米Hewlett-Packard(HP)やDellをはじめとするベンダーが提供する小型で安価なIntelチップ搭載サーバやストレージアレイに押されるようになった。

 「どうしてそうなったのか」という当然の質問に対し、ザンダー氏は直接的な言及を避け、「結果的にあのようになったということだ。われわれは大きな成功を成し遂げたが、間違いも犯した。それは分かっているが、今は立ち入らないことにしよう。今夜は一種のお祝いの席なので、この件はこれくらいにしておこう」

 1998年から2002年までSunのCEOを務め、2003年から2008年まではMotorolaのCEOを務めたザンダー氏は質問役に徹していたが、当時から今日に至るITの進歩について非常に説得力のある見解も述べた。一方、皮肉とジョークの種が尽きたことのないマクニーリー氏は例によって冗談を連発し、時には意外なせりふも吐いた。

 マクニーリー氏によると、クラウドコンピューティングのコンセプトを考え出し、その基本要素を開発したのはSunだという。

 「Sunはクラウドコンピューティングのすべての要素を発明した。“ネットワークこそがコンピュータ”というのが当社のスローガンだったのを思い出してもらいたい。TCP/IP、最初のNFS(Network File System)、そしてJavaを生み出したのはわれわれだ。これらはいずれも今日のクラウドコンピューティングの基盤であり、現在でも問題なく機能している」とマクニーリー氏は語った。

 「IT業界の理論的指導者の1人、ケン・オルセン氏(2月6日に死去)は、Digital Equipment Corporation(DEC)の共同創業者だった。DECが創業したとき、彼らは自らを“分散コンピューティング”企業と呼んだ。これがクラウドコンピューティングの第1フェーズだった」(同氏)

 マクニーリー氏はオープンソース開発にも触れた。「オープンソースを発明したのはSunだ。最初のオープンソースOS(Sunの共同創業者ビル・ジョイ氏が開発したBSD UNIX)をカリフォルニア大学バークレー校から世に送り出したのだ。われわれはTCP/IPやJavaもオープンソース化した。これらは極めて重要なITのビルディングブロックだ。ほかの企業、例えばRed Hatであれば、こういった技術をもっとうまく収益化したかもしれない」

 マクニーリー氏はさらに、自身が犯した最大の過ちは、SunのサーバをIntelプロセッサアーキテクチャに移行させるのが遅れたことだと認めた。

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