事業継続上の7つの要点は以下のとおりだ。
まず、職場の安全確保について。知人が勤める都内や近県の職場では、震災後に天井がはがれ落ちたりガラスが割れたりしているとの報告も受けている。また、相次ぐ余震もあり耐震性が弱くなっている可能性もある。
危機管理上は、危険な状況を極力小さくするとともに、元の状態、あるいは、それに近い状態に早く戻すことが重要だ。念のため、職場の状況によっては、ヘルメットをかぶったままでの作業や、ガラスの整理時には軍手や厚手のゴム手袋などでケガを避けるよう注意したい。
普段は薬局で簡単に入手できる薬品ひとつも、危機時には品薄や売り切れが相次ぐことがある。職場の安全確保・復旧にあたっても、安全なプロセスで実施することが重要だ。薬品の物流が滞ることも考えなければならない。現在服用中の薬品があれば、早めに受診・入手しておこう。
次に、BCPに沿った対応だが、BCPが策定されている企業や団体では、改めて確認のうえ、手順通りに対応を進める必要がある。もし、BCPが備わっていない場合や、策定したBCPが実際の被害に適応できていない場合は、まず、安否確認を行う。
中には、緊急連絡網が以前に作ったままアップデートされていなくて、引っ越しなどがあったのに、古い情報のままで連絡がとれないということもある。このような場合は、一連の危機対応を終えたあと、BCPの見直しや対策資料のアップデートを行う。
企業・職場において、最も重要で真っ先に守らなければならない資産は人材だ。安否確認を終えたら、だれが支援を必要としているか、だれが出勤可能で業務を担当できるかなどをまとめておこう。
職場によっては、「ABC社営業」とか「直帰」などとスケジュールや行き先を書いて掲示するホワイトボードがあるだろう。このホワイトボードを活用し、安否や必要な情報を書き込んでおくと便利だ。
人員配置が大まかにつかめたら、全社的に危機対応の指揮をとる責任者とその役割を決め、そこに自社の情報がすべて集まるように周知徹底する。
往々にして、「あの部署ではこうなっているはずだ」という思い込みや情報の錯綜が危機対応初期に多く起こりがちだ。各自の「臨機応変」な対応のつもりが、勝手な思い込みによるバラバラな行動となってしまう。これでは円滑な事業継続は望めない。危機担当者が常に最新情報をとりまとめ、指揮管理を集中的に行うようにしておくことが、ビジネスの面でも社員の安全確保の面でも極めて重要だ。
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