第5回 各国の災害支援に見る国際社会の相互扶助東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧(2/3 ページ)

» 2011年03月18日 08時00分 公開
[戸村智憲,ITmedia]

 ほかにも、被災地から遠く離れた人たちから「わたしに何かできることがあれば」という申し出もあった。ボランティアについては、既に第3回 震災におけるメンタルヘルスとボランティアに書いた通りだ。3月16日の時点では、専門家・専門チームの緊急対応が続いている。個人の立場では、むやみに被災地入りせず、まずは後方支援的に義援金や支援物資送付の準備にとどめてもらいたい。

各国から災害支援と国連ミレニアム開発目標

 さて、この災害の惨状にあっても、明るい一筋の光が差し込んでいる。海外救援チームの被災地支援・救援物資の支援などだ。外務省の発表によると、2011年3月14日時点で91の国と地域から支援の申し入れがあった。既に災害救助犬を連れた海外のレスキュー部隊が被災地で活動している。

 人はお互いに支え合って生きているが、国も同様だ。日本も海外各国と支え合い、この震災では支えられて生きている。この震災で日本が国際的に孤立したり、取り残されることはなかった。世界中の多くの人たちが日本の惨状を悲しみ、支援の手を差し伸べてくれている。われわれはこのことを忘れてはならない。危機を乗り越え、社会の復興を進める必要がある。その過程でもその後でも、国際社会へ恩返ししていこう。個人・企業ともに国際社会に対する責任を果たしていくことの大切さを改めて痛感する。

 世界には、災害だけでなく、貧困に苦しむ国や地域がある。国連ではミレニアム開発目標(MDGs)を策定・推進してきた。このこと自体をあなたは知っていただろうか。また、あなたの会社・組織のトップは真剣に取り組んできただろうか。MDGsの概要を、下記に示しておく。

国連ミレニアム開発目標

8つの目標と概要抜粋

1.極度の貧困と飢餓の撲滅

 1990年から2015年までに飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる

2.普遍的な初等教育の達成

3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上

4.幼児死亡率の引き下げ

5.妊産婦の健康状態の改善

 1990年から2015年までに妊産婦の死亡率を4分の3引き下げる

6.HIV/エイズ、マラリア、そのほかの疾病のまん延防止

 2015年までにHIV/エイズのまん延を阻止し、その後、減少させる

 2010年までにだれでもHIV/エイズの治療を受けられるようにする

 2015年までにマラリアなど、主要な疾病の発生を阻止し、その後、発生率を下げる

7.環境の持続可能性の確保

 2015年までに安全な飲料水と基礎的な衛生施設を持続可能な形で利用できない人の割合を半減させる

8.開発のためのグローバルパートナーシップの構築

 製薬会社との協力により開発途上国で医薬品を安価に提供する

 民間セクターとの協力により情報通信技術をはじめとする先端技術の恩恵を広める


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