第8回 被災企業への取材と復興への光東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧(3/4 ページ)

» 2011年03月24日 08時00分 公開
[戸村智憲,ITmedia]

 復旧・復興に向けては、医療とともに社会福祉・介護の支援機能を回復させる必要がある。厚生労働省からは事務連絡が出ているが、中小規模の福祉介護事業者には分かりづらい内容だ。実際に厚労省から出された資料を見せてもらったが、「災害応急対策に関する基本姿勢」をはじめとする多くの事務連絡は、福祉介護事業者がどう判断すればいいかが分からない内容だった。

 ただ、そのような事務連絡の中にも有意義な情報はいくつかあった。以下に抜粋しておく。

  • 一人暮らしの高齢者や支援が必要な高齢者の居宅に設置されている緊急通報システム・認知症老人徘徊感知機器・夜間対応型訪問介護のオンコール端末等については、計画停電の実施により使用できなくなる場合や、機種によって個別の端末の復旧作業が必要となる場合があります。(中略)地域包括支援センター等による定期的な見守り・声掛け等の対応もお願いします(3月15日事務連絡)
  • 今般の東北地方太平洋沖地震および長野県北部の地震に伴い、被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し人員基準を満たすことができなくなる場合があります。介護報酬、人員、施設・設備および運営基準などについては柔軟な取り扱いを可能とします(3月18日事務連絡)

 日ごろ、いろいろと批判されることの多い厚労省だが、有意義な取り組みや告知も行っている。以下に厚労省からの情報提供をまとめた。

福祉医療機構の融資

被保険者証なしでの受診

被災者への利用料の猶予

被災された要援護障害者などへの対応

被災された視聴覚障害者などへの支援

避難所などにおける発達障害者などへの支援

妊産婦、乳幼児への対応 など


 また、東京都の担当者からも、福祉介護制度の柔軟な対応を行う旨の発言があった。発言要旨としては、「利用者のことを第一に考えてほしい。ただ、記録は必ず残すこと」だった。

 とかくお堅い前例主義の役所が、この震災にあって、柔軟な対応・制度運用を行っている。福祉介護に限らず、柔軟に被災者のことを第一に考えた制度運用・法適用・法解釈を行ってほしい。

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