“なんとなくタイムシフト”のススメ――節電・計画停電へのアプローチオルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2011年04月01日 18時03分 公開
[森川拓男,ITmedia]

“なんとなくタイムシフト”のススメ

 震災のため、私たちができることは何でしょう。(中略)当社では「なんとなくサマータイム」を始めました。

 「なんとなくサマータイム」のすすめ。:岩本幸男の「クラウドのあちら側に光を見たい」


 計画停電はGW前にいったん休止するようだが、夏や年末には再び計画停電を行わなければならないという話も出ている。計画停電エリアに入っている工場では、3時間の停電のためにその前後も止めなくてはならず、効率が下がって死活問題になっているところもあるという。小沢仁氏「夜な夜な海外ネット」の計画停電によると、信号機が止まって事故で亡くなった人もいるらしい。計画停電の予定発表方法や、グループ分けの不公平感についても、さまざまな意見がある。伊藤芳浩氏「持続可能な情報社会」の震災で浮き彫りになった情報社会の課題に書かれたような情報格差問題も、ますます大きくなっている。

 停電時も利用可能な携帯電話についても、永井千佳氏の携帯が命綱 iPhone用バッテリー「mophie juice pack boost」にあるように、バッテリー問題は残される。停電すると、充電もできないからだ。予備バッテリーなどの準備も必要となるだろう。最近の携帯電話――特にスマートフォンは、高機能になったこともあってバッテリーの持ちが短いからだ。

 ここであらためて電力を考えようというのが、永井孝尚氏の現在の日本の課題:「電力」を考えてみるというエントリーだ。永井孝尚氏は、「これから数年〜10年単位で必要なことは、日本を低エネルギー消費社会に変えていくこと」ではないかと提言し、「グローバルな視点であらためて見てみると、日本が直面する課題を解決するためのテクノロジーや仕組みは、既にさまざまなものがあります。これを日本に適用することで、さらに発展できる可能性もあります。自前主義にこだわらず、役立つものは積極的に活用していく、という実用主義的な発想が、これからの日本には必要になってくるのではないでしょうか」とまとめている。いまこそ、応用力が試されるときだ。

 しかし、しばらくの間電力が不足するのは間違いない。そこで節電が必要となってくるわけだが、その1つの方法として提案されたのが、岩本幸男氏「岩本幸男の「クラウドのあちら側に光を見たい」」の「なんとなくサマータイム」のすすめ。だ。日本でもサマータイム導入が出ては消えてきた経緯があるが、岩本氏が勧めるのは、本物のサマータイムのように時間を一律に早めるのではなく、会社単位で勤務時間をずらすというものだ。岩本氏が勤める会社の場合は、「勤務時間を1時間はやめる&原則残業禁止に」したという。帰宅も1時間早くなるわけだ。これを「なんとなくサマータイム」と名付けたという。これに対し、まだ夏ではないため「なんとなくサマータイム」よりも「なんとなくタイムシフト」がよいのでは? というコメントが付き、岩本氏も賛同している。「なんとなくタイムシフト」――実践してみてはどうだろうか。

 そもそも、計画停電をしないで済む方法を考えようという提言もある。関係者には、ぜひ、考慮していただきたいものだ。

ブロガー ブログ こうすれば計画停電は避けられる
今泉大輔氏 インフラ投資ジャーナル/Infra Japan 「同時同量」を理解して計画停電を避ける仕組みを考えよう
久保元治氏 オープンソースでいこう 「計画停電」から他の節電・総量規制への移行を検討すべき

 多くを電力に依存している現代社会では、計画停電は普通の生活ができなくなることであり、異常事態だ。いま必要なのは、“普通の生活”に戻ることである。被災地の復興はもちろんだが、それ以外の地域も自粛・縮小傾向が続くことはよろしくない。白石久彦氏「A Better Way to The Better Days」の普通の生活に戻る事の大切さでも、「何でもかんでも自粛ムードにしてしまうのはどうかと思っています。被災地の方々の直近の生活を支える支援と平行して、僕ら大丈夫な人はいち早く普段の生活に戻り、復興への地力を少しでも蓄えることを考える必要があると思っています。適材適所の復興活動をそれぞれが行う事が一番ではないでしょうか」とある。

 竹内義晴氏「竹内義晴の、しごとのみらい」の「営む」ということ―すべての働くみなさんへでは、少しずつ物資などが戻ってきた様子を紹介し、「大丈夫。日常は回り始めています」と報告。川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」の私見です。その上で... 電気を子どもたちに!では、自粛・節電ムードの中で、子どもたちがスポーツをする「体育館の使用に許可が出ない」ことにスポットを当てている。“普通の生活”に戻るために何が必要なのだろうか――。

いまこそ“希望”を語ろう!

 もちろんジャーナリズムにはできるだけ正確な情報を伝えようとする姿勢が大切ですが、変に不安をあおるようなことはせずに、読む人を元気づけられるような報道、記事もどんどん掲載してほしいと思います。

 今こそ「希望」を語ろう:点をつなぐ


 書店に行くと、震災を特集した雑誌などが特設コーナーに置かれている。表紙写真や特集の作り方など、各社の方針が異なっているところが興味深い。

ブロガー ブログ 週刊誌の報道について
川上暁生氏 ITコンシェルジュの Try ! & Error ? 報道のあり方について
坂本英樹氏 坂本英樹の繋いで稼ぐBtoBマーケティング AERA「放射能がくる」特集の意義と価値を考える
永井孝尚氏 永井孝尚のMM21 マスメディアによる世論形成の時代の終わりと、ソーシャルメディアによる世論形成の時代の始まりを感じた、AERA特集「放射能がくる」

 オルタナブロガーが取り上げた雑誌の特集への感想は、Twitterなどで一気に広まった。これは、冒頭で取り上げた風評被害にもつながるものだ。

 確かに雑誌は、ときにセンセーショナルな見出しや写真を使う。しかし、この場合はどうだろうか。速報することもマスコミの役割だろうが、村山要司氏「まあまあ元気になる話」の福島第1原発事故は、事態を冷静に見守ることが大事にもあるように、冷静な判断が求められている。しかし現実はどうだろう。今回の雑誌特集がいい例だ。北添裕己氏「トラパパ@TORAPAPA」の東京タワーの先っぽが曲がってしまった。にもあるように、「(テレビには)震災はもちろん原発の爆発など、被災の瞬間映像を何回も何回もリピートしておられるが、絶対それは慎んでいただきたい。被災者のトラウマを煽るだけ」なのだ。

 高橋誠氏「点をつなぐ」の今こそ「希望」を語ろうで冒頭のように語られ、林雅之氏の『日本』を信じること。希望を持つこと。でも、「日本人は、過去、関東大震災など幾度となく乗り越え、新しい社会を創造し、世界をリードしてきました。日本人として誇りを持ち、前向きな気持ちで、戦後最大の難関を乗り越えていけば、また新しい社会の扉が開かれるのかもしれません」とあるように、日本には未来への希望がある。

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