企業における計画停電対策のポイント(2/2 ページ)

» 2011年04月04日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
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電話、インターネットなどの通信

 一部を除いて固定電話は使えます。発信・受信する機能自体は電話線から供給される電力で動作します。一部の機種や製品では電話番号のボタンが光らないといったことがありますので、一度確認してみましょう。しかし、IP電話は原則として使用できません。ADSLなどのスプリッターで電話線とインターネット回線を分離しているタイプでは、「電話」の機能は使えますので確認してください。コスト削減から大部分の電話をIP電話にしていても、今回のような緊急対応に備えて一部にアナログの固定電話を残している企業があります。全ての電話をIP電話にしている企業では、見直しを検討してはいかがでしょうか。

 インターネットも、ターミナルアダプタなど全ての機器にUPSが備わっていない限りは使えません。なお、NTT東日本の「停電対応電源アダプター」などを別途契約している企業では、UPSと同様に停電しても、最大20分程度はインターネットを利用できます。このアダプターは、単三アルカリ電池12本で動作するとのことです。レンタル代として月額525円が必要ですが、企業によっては有効かもしれません。

時刻情報を伴う機器

 デジタルレコーダーなどの機器では予約録画中に停電になると、HDDに記録している場合に機器そのものが使用できなくなる恐れがあります。計画停電中に録画する可能性がないか必ず確認してください。一般的な機種では、ある程度の停電なら自立して時刻を正常に表示しますが、3時間もの停電では逆に機能しない場合があります。停電終了後に必ず時刻が正しいか確認します。

 また電波時計は、一部の報道にあるように福島県の電波時計用アンテナで職員が不在となっているため、機能していません。既に時間が正確ではない電波時計もあります。東京近郊ではわずかに西日本地域の電波を受信できる可能性があります。

FAX

 FAXは、不特定多数の相手から受信したり、海外から受信したりすることが考えられます。受信中に停電したという最悪の事態を避けるために、計画停電の前に電源をオフにしておくのが望ましいでしょう。相手が分かっている場合なら再送信を依頼できますが、海外や不特定多数からの受信では、再送信を依頼ができない場合があります。

エアコン

 計画停電前に必ず電源を切りましょう。これは全ての電気製品に言えます。

インターフォンや指紋照合ドア

 インターフォンの音は鳴りません。指紋照合装置は、乾電池などで独立した電源で動作する一部の機器なら使用できますが、ジャーナル記録などは機種やメーカーによって異なります。必ず停電前に確認してください。監視カメラや録画装置と連携する機能は利用できない場合があります。


 今回は一般的な企業の事務所などを前提に考慮すべきポイントをまとめました。実際には企業によって環境や必要とする条件が異なりますので、本稿を参考に自社に応じたチェックシートを作成することをお勧めします。

萩原栄幸

一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、ネット情報セキュリティ研究会相談役、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。

情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、一般企業へも顧問やコンサルタント(システムエンジニアおよび情報セキュリティ一般など多岐に渡る実践的指導で有名)として活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。


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