テレマティクスなどの分野で戦略的提携を結んだトヨタ自動車とMicrosoftが国内向けにも詳細を発表した。2社が目指す取り組みの一端が東日本大震災でも既に行われていた。
トヨタ自動車と米Microsoftが自動車向け情報通信(テレマティクス)などに関する戦略的提携を結んだことについて、日本マイクロソフトとトヨタ自動車は4月8日に都内で記者会見を開き、提携内容などを発表した。
今回の提携で2社が合意した主なポイントは次の通り。
会見したトヨタ自動車の友山茂樹常務によれば、低炭素・省電力社会を実現する観点からもEVやPHVが注目されている。だがPHVの充電は一般家庭の消費電力量の約3割を占めることが見込まれ、電力会社の供給にも影響するという。
友山氏は、「今の電力供給の厳しさはEVやPHVの普及に大きな障壁になるだろう」と話し、自動車への充電を電力負荷の少ない時間帯にシフトさせる方法や、家庭用燃料電池や太陽光発電を利用して電力を自給する仕組みをテレマティクスで実現する必要性を強調した。
ユーザー向けに提供するサービス内容では、「例えばスマートフォンで電池の残量や充電時間を確認したり、電池の残量で走れる距離を通知したりできるだろう。運転操作の状況を分析して環境にやさしい運転をアドバイスするといったものもある」(友山氏)という。
日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長は、今回の提携について「自動車とITの関係がますます不可分なものになった」とコメント。2社の関係は、トヨタが提供している「G-BOOK」サービスの開発を始めた10年以上前から続くが、「次世代サービスの展開でも既存のIT資産を活用できる点やグローバルなデータセンター基盤、高い拡張性といったWindows Azure Platformの特徴が評価された」と述べた。
今回の提携による可能性を示す取り組みの一端が東日本大震災の支援で実現したという。地震直後は被災地の多くで道路の損壊や交通規制によって、自動車による移動が困難になった。G-BOOKサービスでは、被災地を実際に走行した端末を搭載する車両の情報をBing Mapに表示する「通れたマップ」を提供した。このサービスはWindows Azure Platformを利用して1日で開発したという。
友山氏は、クラウドサービスを活用することで、さまざまなインターネット上のコンテンツと連動した付加価値の高いテレマティクスサービスを提供していきたいと語った。
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