ネバダ州ラスベガスの「IBM Impact 2011」は2日目を迎え、次なる成長に向けた「変革」はどうすれば成功するのか、に焦点が当てられ、Verizon WirelessやNationwide Insuranceが基調講演に登場した。
現地時間4月12日、ネバダ州ラスベガスのベネチアンホテルで行われている「IBM Impact 2011」が2日目を迎えた。オープニングの基調講演では次なる成長に向けた「変革」の重要性が主に語られたが、この日の基調講演は「どう変革していけばいいのか」に焦点が当てられた。
「ビジネスにアジリティ(俊敏さ)をもたらすには、まずは部門ごとにサイロ化されていたアプリケーション資産を解放し、ビジネスプロセス単位で統合していくことが必要。そうすることで可視化され、計測可能になり、改善していける。人の介在も少なくして自動化すればさらにスピードは上がる」
こう話すのは、IBMでソフトウェア部門だけでなく、今やハードウェア部門も率いるスティーブ・ミルズ上級副社長だ。
「ITアーキテクチャーの歴史はモジュール化の歴史でもある。標準化が進み、SOAが注目され始めた2000年代の半ば以降、ビジネスプロセスの統合が現実味を帯びてきた。アジリティには堅牢なSOA基盤が欠かせない」(ミルズ氏)
スペインのマドリード市は、2004年に200人近い犠牲者を出した列車爆破テロ事件を教訓とし、警察・消防・救急の体制やシステムを見直し、2006年からSOA基盤によってばらばらだったプロセスの統合に取り組んだ。これにより、緊急通報から対応までの時間を25%以上短縮することに成功しているという。
もちろん、企業を取り巻く環境もますます複雑化している。
「ビジネスを理解し、そしてリスクも把握しなければならない。それによって初めてリスクを抑えながらビジネス機会を最大化できる」と話すのはIBMのフィル・ギルバート副社長。彼はLombardiのCTOだったが、2009年末の買収によって現在はIBMでBPM製品を担当している。
「可視化できなければ計測できない。また、計測できなければ改善できない。変革のためには、ビジネスを可視化し、最適化するためのプラットフォームが必要だ」(ギルバート氏)
LombardiのBPMは、人がかかわる一連の仕事を処理するアプリケーションを、モデルベースで構築・管理するためのプラットフォームとして知られ、ビジネスユーザーたちが企業を取り巻く環境の変化に応じて臨機応変にプロセスを変更できる点が評価されてきた。初日には、スケーラビリティーに定評があったWebSphere Process ServerにLombardiのBPMソフトウェアを統合し、「IBM Business Process Manager V7.5」として仕立て直されることも明らかにされた。
ステージでは、ユーザー向けツールである「Process Designer 7.5」を使い、住宅ローン申請の承認プロセスを手作業からルールによる自動化へと変更するデモも行われ、ビジネスユーザーでも手軽に改善できる点をアピールした。
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