法人セキュリティ市場でシェア増を狙う――カスペルスキーが新製品

カスペルスキーは、Macの法人ユーザーやセキュリティサービス企業を対象にした2種類の製品を発表した。国内の法人セキュリティ市場でのシェア増に挑むと表明した。

» 2011年04月13日 15時29分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 カスペルスキーは4月13日、Macの法人ユーザー向けセキュリティ製品「Kaspersky Endpoint Security 8 for Mac」およびセキュリティサービス事業者向けのプラットフォーム製品「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」を発表した。これら製品を皮切りに国内の法人セキュリティ市場でのシェア増に挑むとしている。

 Kaspersky Endpoint Security 8 for Macは、マルウェア対策などの基本機能は個人向けと同じながら、組織で利用に合わせ、同社の統合管理ツール「Kaspersky Administration Kit CF2」に新たに対応した。WindowsやLinuxのマシンとMacのマシンを一元的に管理できるようになる。5月16日に販売を開始し、初年度に3万ライセンスの販売を見込む。

Kaspersky Endpoint Security 8 for Macのユーザーインタフェース

 Kaspersky Security Center Service Provider Editionでは、一般企業などの法人顧客向けにセキュリティサービスを提供する事業者のための機能を網羅した。セキュリティサービス事業者は同製品を利用して、顧客にマルウェア対策サービス(マルウェア防御、パターンファイルの配信、脅威解析、レポート作成などの機能)を提供でき、顧客ごとのライセンス管理も行える。マルウェア対策システムを自社保有したくない企業や、多拠点のマルウェア対策業務の効率化やコスト削減を求める法人からの利用を見込む。

Kaspersky Security Center Service Provider Editionを利用したビジネスモデルのイメージ

 製品特徴についてコーポレート営業本部長の嵯峨野充氏は、「サービス事業者が独自性の高いサービスメニューを開発して顧客に提供できるよう、サービスの提供基盤に特化した製品だ。他社の同様の製品よりも柔軟性が高い」と強調した。既にサービス事業者への提供を開始しており、6〜7月にかけて北海道総合通信網、ユーザサイド、CTCシステムサービスが各社の顧客向けにサービスを始める。カスペルスキーは同製品の初年度売り上げ目標を1億円としている。

ユージン・カスペルスキーCEO

 製品発表に合わせて会見したKaspersky Labのユージン・カスペルスキーCEOは、法人セキュリティ市場に対する同社の取り組みを世界的に広げていると語った。近年は企業や政府機関などの機密情報を盗み出す脅威が広がりつつある。「さらに、イランの原子力施設のシステムに不正侵入した“Stuxnet攻撃”によって、サイバーの脅威は国家テロのような規模にまでなった。企業や組織をいかに防衛していくかが、セキュリティベンダーに課せられた使命だ」(カスペルスキー氏)という。

 Kasperskyはこの一環として、1月に日本IBMやシマンテックなどで要職を務めた加賀山進氏をカスペルスキー 代表取締役会長に起用し、3月には同社をKasperskyが100%出資する完全子会社とした。人員も現在の約40人規模から3倍近くに増員する計画。コンシューマー市場と法人市場の両面でパートナー営業やサポートの体制を大幅に拡大する。

 加賀山氏は、「国内の法人セキュリティ市場は飽和状態にあり、後発ベンダーの立場ではアイデアを存分に発揮してシェア増を狙いたい。システム構築からサービスを中心としたビジネスモデルを目指すSIerも多く、こうしたパートナーと一丸でビジネスを展開する」と語っている。

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