米国のSMB企業中心にSI事業を手掛けるDSNのケビン・ワイス氏は、「リーマンショック以後、下降していた投資意欲は回復基調」と見ているという。
米Hitachi Data Systemsのサラブ・バトラ氏は取材に対し、「日本と米国、それぞれの中堅・中小企業がITについて抱える課題は似ている」とコメントする。中堅・中小企業にITシステムを販売しており、IT Operationsシリーズも扱うSIer、米DSN社のケビン・ワイス氏もバトラ氏の指摘に同意するという。詳しく話を聞いた。
――DSN自身の企業規模と、顧客企業の規模をそれぞれ教えてください。
ワイス われわれは10人のエンジニアと5人のセールススタッフを中心とする、20人程度の企業です。顧客企業の規模は25人から1000人程度まで分布しますが「従業員200人前後で、サーバ台数は10台から60台」という顧客がほとんどですね。
――米国の中堅・中小企業がITシステムに対し抱えている課題にはどのようなものがありますか。
ワイス 2点あります。1つは、高度なIT専任のスタッフを確保できず、同時に兼任スタッフではITシステムを安定稼働するための運用スキルが十分でないという事情です。もう1つは、リーマンショック以降の景気後退によるコスト削減の圧力です。もっとも、ここに来てようやく、回復の兆しが見えてはいますが。
顧客企業の多くはこういった課題を抱えているわけですが、われわれは上層部にセールスをかけ、トップダウンでの導入を諮るのではなく、現場担当者の悩みを聞きながら、それを解決できるソリューションを選択し、提供するアプローチを採っています。
DSNはストレージソリューションに強みを持っています。加えてサーバとネットワークも扱います。顧客の課題をトータルで解決するためには、これらの機材を一元的に管理できる仕組みが必要ですが、主要顧客である中堅・中小企業にフィットする運用管理ソフトウェアは、あまりありませんでした。ですが現在は、IT Operations Analyzerを扱うようになったことで、トータルソリューションを提供できるようになったと考えています。
――IT Operationsに対するユーザーの反応は?
ワイス まず、ユーザーインタフェースが良くできており使いやすいという評価を得ています。機能としては、障害個所だけでなく、その根本原因を特定できるRoute Cause Analysisのウケがいいですね。従来はMicrosoft Systems Management Serverなどを扱っていましたが、わたしはIT Operationsのほうが中堅・中小企業のニーズにフィットしていると評価します。
――「中堅・中小企業に特化した運用管理ソフトウェア」の市場展望は?
ワイス 有望だと思います。われわれ自身、ITシステム機材を総合的に扱っているわけですが、それらを統合管理できる運用管理ソフトウェアを顧客に提案できると、商材のポートフォリオが充実します。
実際、顧客のIT担当者にヒアリングし、監視系に課題を感じているならIT Operationsを、アレイの不足に悩んでいるならストレージシステムをそれぞれ提案するといったビジネスができています。
――シカゴの中堅・中小企業は今、元気ですか?
ワイス リーマンショックによって投資意欲が減退したため、ここ2、3年はITシステムの刷新をスキップする企業が多かった。これがわれわれにとっても痛手となったわけですが、いつまでも古いITシステムを使い続けるわけにはいかないので、2010年後半からビジネスが活発になっています。“日ごとに元気になっている”と感じています。
――今後、中堅・中小企業に支持されるであろうITのソリューションは?
ワイス 特に米国の企業はストレージをケチケチ使わない傾向にあります。10人、20人程度の企業が50テラバイトの業務データを持っている、といったことは普通です。増大する業務データをどう保存、活用し、システムを安定運用するかが重要になるのではないでしょうか。
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