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» 2011年04月21日 08時00分 UPDATE

iPhoneやAndroid端末が真価:震災にもモバイルで顧客対応を継続できたSAPジャパン

震災直後の混乱する中、イルグ氏はSAPジャパンの社長として社員の安否確認を済ませると、直ちに社員がリモートでも事業継続できる環境を整え、顧客への対応に当たらせた。

[浅井英二,ITmedia]
garrett01.jpg 日本でのキャリアが長いイルグ氏

 「日本国民は東日本大震災という未曾有の困難に直面しても忍耐強く、そして復興に向けて前進している。固有の文化に根差した日本のスピリットに世界は深い感銘を受けた。わたしもこれまで縁があってこの国で働いてきたことに誇りを感じる」。こう話すのはSAPジャパンのギャレット・イルグ社長兼CEO。1984年に三菱電機に入社、以降も日本BEAシステムズやアドビシステムズの日本法人で社長を歴任するなど、この国でのキャリアは長い。

 震災直後からイルグ氏は、SAPジャパンの社長として社員の安否確認を済ませると、顧客対応の陣頭に立ってきた。

 「顧客に連絡を取り、震災の影響をヒアリングするとともに必要な支援を申し出た。幸いなことに深刻な問題はなく、すべての要請に対応することができた」とイルグ社長は話す。

 このとき活躍したのが、モバイルデバイスマネジメント(MDM)製品としては業界をリードしている「Afaria」だ。

 昨年夏のSybase買収によって手に入れたAfariaは、企業がスマートフォンやタブレット端末を管理するためのモバイル統合管理プラットフォーム。セキュアな環境を維持しながらモバイル端末から企業内の業務アプリケーションを活用することができる。Windows PCはもちろん、iPhone/iPad、Android端末などの各種スマートフォンもサポートしており、ソフトウェアの配布や端末内情報の管理、ソフトウェアライセンス管理、アップデートやインストールプロセスの自動化、端末データのバックアップ、紛失時のデータ消去やロックなどを一元管理できるという。震災の前日、日本国内での販売体制強化が明らかにされたばかりだった。

 SAPジャパンでは普段、Blackberryなど限られた携帯端末しか業務での利用が許されていないが、情報システム部門がAfariaを使って急きょ対応、iPhoneをはじめとする個人のスマートフォンにもサポートの拡大を進めたという。

 一時「東京オフィス閉鎖、関西へ退避」という同社の危機対応に関するドイツ発の報道が一人歩きしてしまったが、イルグ氏は「地震直後、本社のあるビルの安全が書面で確認できなかったために在宅勤務を指示し、直ちにリモートでも顧客支援の業務が続けられるよう環境を整えた」と話す。

 「福島第一原発の事故状況が明らかになった段階で、“家族を大阪に移したいという希望があればホテルの確保など会社として支援したい”と社員に伝えた。あくまでも個人の判断に委ねたもので、会社が勧告した事実はない」(イルグ氏)

オンプレミス、クラウド、そしてモバイル

 今回の震災は被災地に甚大な被害をもたらしただけでなく、首都機能が一時麻痺するなど、市民生活や産業界全体にも計り知れない影響を及ぼした。しかしその一方、「ITが果たす役割の大きさを再認識したし、SAPが提供しているソリューションは、危機にあっても企業がコンプライアンスに基づいて事業継続できることを証明できた」とイルグ氏は話す。

 われわれは震災によって多くのことを学んだ。十分に機能しなかったBCP(事業継続計画)は見直さなければならないし、社員の出社が難しい状態でもガバナンスを維持しながら業務を継続できなければならない。クラウドコンピューティングの長所が脚光を浴び、その利用が加速する契機となるかもしれない。

 イルグ氏もクラウドの良さは認めながらも、多くの企業は既存のIT資産を保有しているし、単にクラウドを採用すれば課題が解決するわけではないと指摘する。

 「オンプレミス、クラウド、そしてモバイルというそれぞれのソリューションを適切に組み合わせたプラットフォームアーキテクチャーを持つことが企業にとっては必要になるだろう」(イルグ氏)

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