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» 2011年04月21日 15時34分 公開

NECが「仮想デスクトップ+どこでも印刷」の試作システムを開発、2011年度中に商用化も

NECはクラウド基盤を利用して、PCや携帯端末から仮想デスクトップ環境にアクセスでき、コンビニなどの複合機で印刷もできるシステムを開発した。2011年度中の商用化に向けて複数企業と協議を進めている。

[國谷武史,ITmedia]

 NECは4月21日、仮想デスクトップによる業務や印刷操作をあらゆる場所で行える「C&Cクラウド・ワークスタイル」の試作システムを公開した。2011年度中の商用化を目指し、通信事業者やITサービス企業、プリンタメーカーなどとの調整を進めている。

 C&Cクラウド・ワークスタイルは、仮想デスクトップ環境をインターネット経由で利用する「クラウド・デスクトップ・サービス」と、ID認証サービス「BitGate」、印刷イメージやプリンタドライバをインターネット経由で配信する「クラウド・プリンティング・サービス」で構成される。

C&Cクラウド・ワークスタイルのイメージ

 開発したシステムでは、まずICカードを利用した社員証をPCやスマートフォン、タブレット端末、携帯電話の読み取り装置にかざしてユーザー認証を行う。さらに、携帯電話回線やWiMAX回線などの閉域網サービスを経由してBitGateにアクセスし、追加認証を行うと、データセンター上に用意された仮想デスクトップ環境のイメージデータが端末に配信される仕組みだ。仮想デスクトップ環境では、通常のPCと同じような操作ができる。インターネットの状況にもよるが、高速回線であれば操作に対する応答の遅延は少ない。

携帯電話で仮想デスクトップにアクセスした場合
スマートフォンで仮想デスクトップにアクセスした場合

 また、仮想デスクトップ環境で文書や画像の印刷を指示すると、印刷イメージがクラウド・デスクトップ・サービスからクラウド・プリンティング・サービスに転送される。ユーザーが自宅や外出先のコンビニエンスストアなどに設置されている対応プリンタで、ICカードの社員証を読み取り装置にかざすと、仮想デスクトップサービスと同様に認証が行われ、クラウド・プリンティング・サービスから複合機に対して必要なデータが送信され、印刷できるようになる。

 試作システムを構成する主な製品は、データセンターの仮想デスクトップの運用基盤がNECのVirtualPCCenter、端末に仮想デスクトップイメージを表示する仕組みがCitrixのCitrix Receiver、インターネットのアクセス回線がUQコミュニケーションズのWiMAXなどとなっている。

試作したクラウド・プリンティング・サービス対応の複合機
ICカードをかざして認証した後に操作画面に印刷するデータが表示される

 NECでは今回のシステムを企業が利用することで、セキュリティを確保しつつ、オフィスにいるのと同じように自宅や外出先で仕事ができるようになると説明。多様なワークスタイルの導入や、災害時における業務継続が可能になるとしている。7月から同社の本社と玉川事業所内で数十人の社員が参加しての社内トライアルを始める。2012年度には海外の事業拠点でも運用する計画だ。

 また2011年度中の商用化に向けて、通信事業者や端末メーカー、組み込み機器メーカー、複合機メーカー、サービス事業者との協議も進めている。複合機メーカーとは数社との間で技術検証も開始した。サービスの提供時期や料金体系などは未定だが、「各社とビジネスモデルを詰めている段階にあり、なるべく広いスキームでサービスを実現させたい」(担当者)と話している。

 C&Cクラウド・ワークスタイルのセキュリティ対策は、特にユーザー認証と通信経路の暗号化、プリンタでのデータ管理がポイントになる。

 ユーザー認証の部分は、今回のシステムではICカードとパスワードを使用しているが、生体認証やワンタイムパスワードを組み合わせたり、逆にパスワードのみしたりと、ユーザーの運用に合わせて使い分けができる見込みだ。通信経路では、送受信するデータの盗聴を防ぐためにセキュリティレベルの高いサービスを利用することが推奨される。プリンタでは、ユーザーの認証情報や印刷イメージを保存しない仕組みが求められるが、既に多くの製品にこの機能を搭載されており、商用化の際にも活用される見込みだ。

 また、セキュリティポリシーやルールでPCの持ち出しを禁止している企業も多い。NECでも情報漏えいによるリスクを考慮して、PCの持ち出しを厳しく管理しており、データを社外に持ち出すことは禁止している。試作システムによる社内トライアルで、制度面のセキュリティ対策を変えることなく、業務に与える効果を検証したい考えである。

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