手作りしない統合システムだから実現できるオラクルのクラウド世界高いサービス品質を維持しつつコストを削減

たとえクラウドといっても、ユーザーは従来のオンプレミス型システムと同様に、高いサービス品質や信頼性を当然のように望む。オラクルのクラウドサービスは、ミッションクリティカルな企業システムをターゲットに、TCO削減とビジネス価値創造を同時に実現する優れものといえよう。5月25日に都内で開催されるイベント「Oracle Enterprise Cloud Summit」を前に、日本オラクルの首藤聡一郎氏が同社のクラウド戦略を語った。

» 2011年04月25日 10時00分 公開
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クラウドコンピューティングでも高いサービス品質は必須

 ITシステム構成の見直しや新たなシステム導入の際に、クラウドコンピューティングの採用を選択肢に入れることもごく当たり前になった。とはいえ、ユーザーがクラウドに求める要件は、適用したい範囲や既存ITシステムとの関係、ユーザーの立場などにより千差万別だ。さまざまなクラウドサービスの中から、中長期的な視点を持ち、将来性を考慮したサービスを選択するべきである。

 クラウドサービスを提供するベンダーのスタンスもさまざまだ。とにかく安価かつ手軽に始められるサービスもあれば、しっかりとした信頼性と可用性を提供するソリューションもある。

日本オラクル クラウド&EA統括本部 シニアマネジャーの首藤聡一郎氏 日本オラクル クラウド&EA統括本部 シニアマネジャーの首藤聡一郎氏

 日本オラクル クラウド&EA統括本部シニアマネジャーの首藤聡一郎氏は、「オラクルではクラウドを提供する基本スタンスは一貫しています。企業の基幹系システムやミッションクリティカルなシステムを主なターゲットに、ITシステムのTCO(総保有コスト)を下げ、そのシステムがビジネスに価値を提供できるようにすることです」と話す。あくまでもオラクルのクラウドのメインターゲットは、ハイエンドでミッションクリティカルなシステムであるのだ。

 ITシステムのコストを下げ、新たなビジネス価値を創造する点だけに注力するのであれば、パブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらのサービスを選んでもいいだろう。しかし、基幹系やミッションクリティカルのシステムがターゲットならば、これまでオンプレミス型のシステムで提供していたのと同様に、高レベルのサービス品質や信頼性がなければならない。

 「最近はパブリッククラウドのサービスも品質が向上しつつありますが、稼働率はまだ十分とはいえません。企業の基幹系システムでは、稼働率99.9999%というようなファイブ・ナイン、シックス・ナインの高度な可用性、信頼性が求められています」(首藤氏)

 現状でファイブ・ナイン以上の稼働率を実現しようとすれば、ユーザー企業の基準に合わせてシステムをカスタマイズし、サービスレベルを調整できるような仕組みが不可欠だろう。そうなると、たとえクラウドであっても、ユーザーに対して専用モデルを実現するサービスのほうが都合いいため、結果的には、プライベートクラウドかホスティングサービスを選ぶことになるだろうと首藤氏は述べる。

要素技術、サービスの適用領域を選別 要素技術、サービスの適用領域を選別

システムの高密度集約がコスト削減の鍵に

 ユーザーがクラウドに期待するのは、システムの初期導入時や運用管理において発生するコストの削減である。クラウドによってコスト削減を実現するために、まずは標準化を進めてシステムの共通基盤を作り、サイロ化しているシステムを集約してハードウェアの利用効率を上げることだ。より集約密度を高められれば、初期導入投資や運用管理の手間、さらには設置スペースや消費エネルギーの削減も期待できる。「まずはシステムのサイロ化を解消して共通基盤を構築します。そこから仮想化技術などを用いて、ITリソースを有効活用するプライベートクラウドへと発展させます。この流れは、グローバルにおいても大きなトレンドとなっています」と首藤氏は説明する。

 しかしながら日本企業の多くは、いまだサイロ化を解消して共通基盤化を目指す段階にある。ITリソースを効率的に活用しコスト削減を実現するプライベートクラウドの導入段階には到達していないのが現状だ。一方で、一足飛びに自動化、自律化したプライベートクラウドにシステムを移行することも難しい。そこでオラクルとしては、順序立ててプライベートクラウドへのアプローチをとることで十分にコスト削減メリットを享受できるように考えているという。

システム・プラットフォームの進化 システム・プラットフォームの進化

超高性能なクラウドプラットフォーム

 重要なポイントは、共通基盤化してITシステムの集約を目指す際に、ハードウェアの性能をいかに有効に引き出すかである。同じハードウェアの構成要素であるCPUと比べて、ネットワークやハードディスクは技術進化のスピードが遅い。特にハードディスクは大容量化や低コスト化は著しいが、性能はそれほど進化していない。こうした進化のスピードギャップをいかに埋めるかがハードウェアの効率的な利用に大きくかかわってくる。そのためには、ハードウェア構成の工夫だけでなく、ソフトウェアを用いていかにこのギャップを埋めるかが重要になるのだ。

 「ギャップを埋めるためにユーザーがハードウェア構成を適宜選択し、手作りでソフトウェアを最適に調整するとなると大きな手間がかかり、コストも増大します。オラクルでは、ハードウェアの進化のギャップを埋めた、完成型のプラットフォームを提供します」(首藤氏)

 ユーザーの手で完璧なプラットフォームを作ろうとすると、どうしても複雑化してしまい、高コスト体質なシステムになりかねない。そうした課題に対してオラクルが提供するのが、ハードウェアとソフトウェアを最適な形で組み合わせ、事前に検証して顧客に提供する「Engineered Systems」(工業化製品)と呼ばれるものである。このEngineered Systemsに投入されているさまざまな技術こそが、他社に対するオラクルの優位性となっている。中でもEngineered Systemsの典型ともいえるのがデータベースマシン「Oracle Exadata Database Machine」だ。

 「データベース1台でこれだけ高性能なシステムを必要とするユーザーは少ないかもしれません。しかし、このような超高性能が結果として複数データベースの超高密度集約を可能にするため、最小限のITリソースで、システムに求められる情報処理能力を提供するクラウドのプラットフォームとしては最適なのです」(首藤氏)

 実際に、国内でもExadataを導入して大幅なIT効率化に成功している事例が数多く登場している。例えば、ソフトバンクモバイルでは従来36ラックで運用していたデータウェアハウス(DWH)専用マシンの構成をExadata3台に集約し、数倍の性能向上を実現した。この場合、性能向上はもちろん、システムの集約による導入コストやスペースの削減、運用管理面でのランニングコスト削減のメリットが高く評価されたという。

 首藤氏は「Exadataは汎用データベースマシンでありながら、データウェアハウス専用機の性能を凌駕しつつ、業界標準技術で構成されているため、アプリケーション変更の手間や追加コストなどがほとんど発生しません。これは専用機やメインフレームなどと大きく異なる点です」と力を込める。

 オラクルはExadataに続くEngineered Systemとして、アプリケーション・サーバ・マシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」を発表しており、2011年1月より日本国内に対しての販売を開始している。

大量情報処理を高速化し新たなビジネス価値を生み出す

 コスト削減とともに、ユーザー側では日々のバッチ処理時間を短くしたいという要望がある。あらゆるビジネスシーンでITシステムが活用されるようになり、企業は大量データを抱え込むことになった。多くの場合、そのデータは異種混在の分散されたシステムに散逸している。そのため、いざ大量データの中から必要な情報を引き出そうとすると、複数データソースからデータの整合性を確保するために、大量のバッチ処理を実施しなければならない。

 大手企業ではバッチ処理に多大な時間を費やしている。夜間にバッチ処理を行う時間帯だけでは終了しない場合もある。この課題もシステムを情報処理能力に優れている1カ所に集約すれば、データ集積のための計算処理を大幅に効率化できるのだ。「データの整合性を確保するにはなるべく1カ所に集約したほうがいいのですが、グローバル企業のように24時間稼働しなければならない企業ではバッチ処理のタイミングがなくなってしまいます」と首藤氏は指摘する。日本の夜間が欧米のビジネスタイムになるため、データが分かれていればそれぞれで夜間バッチ処理を行えるが、1つに集約されていてはそれが難しい。

Oracle Exadataによって多くの企業でバッチ処理が高速化している Oracle Exadataによって多くの企業でバッチ処理が高速化している

 しかし、数十時間かかっていたバッチ処理を数十分で終了できるのであれば、1カ所に集約してもそれほど影響はないのではないか。この場面においてもOracle Exadataは大いに貢献できる。例えば、月間のトランザクション数が1億件にもおよぶカルチュア・コンビニエンス・クラブのポイントサービス「Tポイント」のシステムにOracle Exadataを導入したところ、従来30時間かかっていたバッチ処理が21分に短縮されたのである。

 これだけ高速なバッチ処理が実現できれば、これまで1日1回しか実施できなかったバッチ処理が複数回行えるようになる。そうすれば、市場の変化を迅速につかむことが可能になり、企業の変化対応力を高めることにつながるのだ。

集約化は災害対策にも効果あり

 一方で、1カ所にシステムを集めることでリスクも集中するのではという懸念もある。実はOracle Exadataには、それ自体に十分な可用性の仕組みを持たせてあるのだ。もちろん、災害対策などについては適宜実施する必要はあるだろう。仮にデータが緊急性の低いものであれば、コスト面からパブリッククラウドにバックアップする手段が良いかもしれない。

 これがミッションクリティカルなシステムであればそうはいかない。きちんとした災害対策を施す必要がある。オラクルにはシステムやデータの重要性、緊急性に応じて複数の災害対策ソリューションがある。どれを採用するかはもちろん大切だが、災害対策を施す前にITシステムを標準化し、集約しておくことが重要だと首藤氏は強調する。ばらばらなシステムに災害対策を施すよりも、1つに集約して重点的に安全対策を施すほうが、より効率的に運用できるからだ。

 あらゆる企業のシステムにOracle Exadataが適しているわけではない。とはいえ、ユーザー自らの手でシステムを標準化して共通基盤を構築することはさまざまな面でハードルが高いことも事実だ。それを念頭に置いた上で、クラウドへの移行を検討することが重要となるだろう。


 5月25日に開かれるオラクル主催イベント「Oracle Enterprise Cloud Summit」では、クラウドに関する同社の最新技術や製品が多数紹介される予定だ。ITシステムのクラウド移行によって企業競争力向上を図りたい経営者やIT担当者にとって格好のイベントとなるだろう。

5月25日 開催 「Oracle Enterprise Cloud Summit」

 エンタープライズ領域におけるクラウド・コンピューティングの活用は、「システムのコスト構造」と「経営の変化対応力」に変革をもたらします。その導入に際しては、それぞれの業務やシステムの特性に合わせて、最適な技術およびサービスを採用することが、システムに求められる「サービス品質」と「所要コスト」のバランスを取るうえで重要となります。オラクルはミッション・クリティカルなシステム領域での豊富な採用実績を持つ包括的な製品とサービスを用意することで、お客様のシステム計画に幅広い選択肢をご提供します。本セミナーではお客様の事例を交えながら、企業情報システムにクラウド・コンピューティングの恩恵をもたらすための現実解を様々な側面からご紹介いたします。

ソフトバンクモバイル株式会社、阿多氏が特別講演に登壇


オンラインイベント 5月25日〜6月24日 開催 「Oracle Enterprise Cloud Summit on the Cloud」

リアルイベントの熱気も、クラウドに!

 オンラインイベント「Oracle Enterprise Cloud Summit On the Cloud」では、5月25日(水)〜6月24日(金)の期間中、以下のコンテンツを何度でもお好きな時に無料でご覧いただくことができます。

  • 基調講演・特別講演をはじめ、「Oracle Enterprise Cloud Summit」で講演されたセッションを動画でご覧いただけます。(一部除く)
  • 講演資料だけでなく、製品カタログやホワイトペーパー、豊富なお客様事例などの資料もダウンロードできます。
  • オンラインでしか見られない資料や、日本オラクル社員犬 キャンディ の壁紙・電子ブックなどのお楽しみコーナーも!

 Oracle Enterprise Cloud Summit On the Cloudの参加には登録が必要です。5月25日に実施される「Oracle Enterprise Cloud Summit」にお申し込み済みのお客様は登録不要です。後日、ログインIDとパスワードを登録されたメールアドレスにお送りします。


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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年5月24日