“見える化”技術で情報と人をつなぐ” 新たな方向性を示すSymantecSymantec Vision 2011 Report(2/2 ページ)

» 2011年05月06日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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仮想マシンを“見える化”

 企業内には内容が把握しづらいデータが幾つも存在する。その中の1つが仮想化されたシステム環境であるといい、セーラム氏はVMwareとの協業で開発した新技術「v-Ray」を紹介した。v-Rayは、VMware環境の仮想マシン――実態はvmdkファイル――の中身の情報をAPI経由で連携するシステムに提供する。これにより、仮想マシンを物理マシンと同様に管理できるようになる。

v-Rayのイメージ。見えない状態で見えないものの中から必要なデータを見つけ出すことがいかに難しいかを実演している

 v-Rayは、Symantec NetBackupやBackup Execの最新版に実装された。これら製品では仮想マシンをバックアップする際に、重複排除によるデータ圧縮の効果を物理マシンに対して行うのと同様に得られるという。仮想マシンの完全性も保たれるため、円滑で安全な仮想マシンのリカバリが実現するとのことだ。このほかにも同社は、VMwareとの協業を通じて仮想化環境の可用性を高める「Symantec ApplicationHA」やストレージ管理の「Symantec VirtualStore」を提供している。

 企業がプライベートクラウドへの対応を進める上では、こうした仮想化環境のアプリケーションやストレージ、また、仮想マシン本体を最適に管理していける仕組みが不可欠になるという。

 また、併せて発表したストレージ管理ツールの最新版「Veritas Operations Manager 4.0」では仮想化環境に対応した。物理環境に加えて、仮想サーバやその格納先のストレージなどのリソースを一元管理でき、インフラ全体の可視性が高まる。IT管理者がウィザードに従って、わずか数ステップの操作だけで新しいストレージをプロビジョニングできるようにもなった。

iPadアプリでストレージをプロビジョニングする様子のデモ。Androidタブレットによるデモも披露されたが、システム管理をモバイルデバイスで行うスタイルは“カッコいい”。実際にしている管理者はほとんどいないとのこと(会場関係者・談)

 クラウドの「見える化」を進める取り組みとしては、Salesforce.comと共同でAppExchange上のアプリケーションのリスクを可視化する「Symantec Security Assessment for Salesforce on AppExchange」を発表した。

 企業のクラウド利用ではセキュリティを懸念する声がよく聞かれるが、特にパブリッククラウドでは具体的な懸念事項がプライベートクラウドよりも多い。Salesforce.comのAppExchangeでは、ユーザーなどが開発したアプリケーションを他のユーザーが活用するシーンが広がっているが、そのアプリケーションの安全性が注目されつつある。このツールでは、AppExchangeのアプリケーションに脆弱性が存在するかどうか、また、ユーザー企業に関係するコンプライアンス要件に適合するものであるどうかをいった点が分かるようになる。

 今回発表した「データの分類」や「見える化」の取り組みについて、セーラム氏はストレージとセキュリティの2つのカテゴリーの距離を縮めていく第一歩にしたい考えであるようだ。基調講演の中で繰り返し「re-think(再考)」という言葉を強調した。

 データ(情報)を格納するためのストレージ、データの安全を確保するためのセキュリティ――2つのカテゴリーは分けるものではなく、1つのカテゴリーとして考えるべきものであり、セーラム氏はこれによって情報の管理・保護のソリューション企業を目指すと表明した。

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