インテル、ノートPCの節電やセキュリティ強化を支援する「vPro」発表

インテルはクライアントPC管理技術vProの最新版を発表した。省電力性や運管理性の向上とセキュリティ対策の強化を図り、ノートPCで社員の仕事の生産性を高めたいと考える企業での導入拡大を狙う。

» 2011年05月10日 17時20分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテルは5月10日、クライアントPC管理技術「インテル vPro テクノロジー」の最新版と、同技術を活用したパートナー企業による新サービスなどを発表した。「省電力化」「盗難・紛失対策」「認証」「運用支援」の4つポイントで機能が強化された。

 2006年に登場したインテル vPro テクノロジーは今回が5世代目。最新版は1月に発表した32ナノメートルプロセスの「Sandy Bridge」がベースとなり、「第2世代 インテル vPro プロセッサー」として提供する。デル、東芝、NEC、日本HP、パナソニック、富士通、レノボ・ジャパンの各社がビジネス向けPC製品で採用する予定だ。

「第2世代 インテル vPro プロセッサー」を採用したPCメーカー各社の新モデル

 4つのポイントで強化された機能をみると、まず「省電力化」では処理スピードを速めてトータルの消費電力を抑えるというアプローチを取っている。発表会のデモンストレーションでは、2007年のインテル Core 2 Duo プロセッサーと第2世代 インテル vPro プロセッサーの比較を紹介。WordファイルとExcelファイルを同時に処理するというシナリオで、第2世代 インテル vPro プロセッサーは処理時間が半分以下、トータルの消費電力量は約半分という性能を披露した。

 また、インテル vPro プロセッサーによる節電の取り組み事例として、国立成育医療研究センターによる実証実験の結果も紹介した。国立成育医療研究センターは、夏場の節電対策を検討する上で、電子カルテを管理する端末での効果をゴールデンウィーク期間中に検証した。管理ツールのIBM Tivoli Endpoint Managerを使用して、きめ細かくPCの電源管理を行うことで、約30%の節電効果を得られることが分かったとしている。

電源管理による節電効果の比較イメージ

 「盗難・紛失対策」では前モデルから搭載する「インテル アンチセフト テクノロジー」を強化した。携帯電話のショートメッセージを利用して、盗難や紛失に遭ったPCを遠隔操作で強制的にロックしたり、保存データを削除したりできるようになった。

 この機能を利用して、NTTドコモとシマンテックがPCの盗難・紛失対策サービスを2011年第3四半期に開始する予定だ。予定するサービスでは、シマンテックの暗号化製品や携帯電話通信モジュールを搭載したPCを対象に、NTTドコモのネットワーク経由でショートメッセージを送信することで、盗難や紛失に遭ったPCが悪用されるのを阻止できるようになる。海外でも利用できるという。

NTTドコモによるデモ。ロックしたPCを再び利用するには管理者による対応が必要になる

 「認証」では、ワンタイムパスワード(OTP)の生成機能をチップセットに内蔵してユーザー認証をスムーズに処理する「インテル アイデンティティ プロテクション」機能を搭載した。これに対応する製品やサービスを日本ベリサインとVasco Data Securityが提供する。日本ベリサインが行ったデモでは、PCで認証画面を表示するとOTPが生成され、自動的に入力と処理が行われる様子が紹介された。

 「運用支援」では、日立製作所とNTTデータウェーブがインテル vPro テクノロジーを有効化する処理を容易にできるサービスを発表した。インテル vPro テクノロジーを利用するには最初にPCの導入担当者が有効化の作業を行う必要があり、導入台数が多いと作業の負担は大きなものになっていた。2社のサービスを利用すれば、従業員などのユーザーの手でこの作業が行えるようになる。

 インテル副社長の宗像義恵氏は、インテル vPro テクノロジーを搭載するPCを活用することで、企業ではPCを自宅や外出先などに安全に持ち出して、さまざまな場所で仕事ができるようになるとコメント。社員の生産性を高めることや、災害時には業務を継続する手段としての役割が期待されるという。

 宗像氏は、「当社では社員にノートPCを支給している。東日本大震災では社員の安全を確保するために東京本社で2週間の在宅勤務を実施したが、ノートPCによる業務環境を確保していたことで、ビジネスが中断することは一切なかった」と同社でのエピソードを紹介。インテル vPro テクノロジーを搭載したノートPCが企業のビジネスに効果をもたらすと強調した。

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