“ストレージクラウド時代”におけるサービスマネジメントのあるべき姿柔軟なデータ活用を目指す

コンピューティングリソースを共用するクラウド環境において、最も注力して取り組まなければならないのが、データを格納するストレージである。これまでシステム単位で扱われてきた運用体系を見直し、ストレージを統合的に管理するための仕組み作りが急務となっている。その成功の鍵を握るのは、ストレージ管理に最適なサービスマネジメントの導入だ。

» 2011年05月11日 10時00分 公開
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従来のITシステムにおけるストレージの課題は?

 これまでの企業システムは、それぞれの業務ごとにシステムが個別に構築され、独立して運用されていた。このような個別に最適化されたシステムが林立する姿は、牧場で家畜の飼料を収蔵するサイロに見立てられ、「サイロ化」と揶揄されている。サイロ化したシステム環境では、サーバ、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションなどシステムを構成するすべてが、業務別あるいは部門別にそれぞれ管理されていることが多い。

 こうしたシステムの運用・管理体系では、それぞれのシステムが抱える課題はその閉じた環境の中で解決しなければならない。そのため、ある業務システムの負荷が増大して性能が低下したとしても、性能に余裕がある別の業務システムのリソースを融通させるようなことは不可能である。

 とりわけ、リソースの一元化と統合管理が望まれるのがストレージだ。現状のサイロ化されたシステム環境においては、業務システムでストレージ容量が不足したとしても、空き領域に余裕のある別の業務システムのストレージを割り当てることができない。そのため、結局は不足した分のストレージを追加調達することになる。これでは、企業システム全体で見たときに、あちこちに無駄なストレージへの投資が発生することは明らかだ。

 このような無駄を省くには、ストレージリソースを一元化して統合管理することが必要だ。例えば、ストレージが一元化されていれば、ディスク容量などのリソースを柔軟に配分し、有効に活用できるようになる。ストレージの運用管理を自動化すれば、ビジネスの変化にも迅速に対応できるシステムを構築することが可能だ。そして、運用管理コストを大きく削減することになる。

 そうしたストレージの一元化・統合管理を実現するカギを握るのが、ストレージクラウドの導入、およびそれを運用管理するサービスマネジメントを確立することだ。

効率的な運用管理体制を整備する

 ストレージクラウドを実現するには、まずは従来の運用管理方法を改め、効率的な運用管理体制を整えなければならない。従来のように、業務アプリケーションの開発・保守・運用を行う部門がストレージを管理している体制ではなく、ストレージは全体を管理・運用する部門に任せるなど、役割を明確に分ける必要がある。つまり、従来の業務アプリケーション担当者は、ストレージに関しての管理責任が不要になる。ストレージに関する管理責任は、すべてのシステムのストレージを一元的に扱う、専任のストレージ管理者が担当すればよい。

 これにより業務アプリケーションの担当者は、ストレージを調達したりメンテナンスしたりといった管理負荷から、基本的に解放される。システムのディスク容量が足りなくなったら、必要な容量のディスクをストレージ管理者に要求すればよい。これにより、業務アプリケーション担当者の視点からは、必要なときに必要なだけのストレージリソースを素早く用意できることになる。企業の立場からは、必要なリソースを無駄なく利用するので、コスト削減に大きく寄与するだろう。

 こうしたストレージクラウド環境を実現するには、ストレージ基盤を仮想化する必要がある。ストレージの仮想化により、リソース割り当ての要求にも柔軟に対応できるようになるとともに、故障の多いハードディスク装置と高い可用性・信頼性が求められるストレージボリュームを切り離して管理できるようになる。ただし、ストレージクラウドを確実に運用するには、しっかりとしたサービスマネジメント体制を用意しなければならない。

ストレージクラウド環境のあるべき姿

 では、ストレージクラウド環境は、どのように構築すればよいのだろうか?

 業務アプリケーション側からの要求に正確かつ短時間で対応するには、ストレージの管理業務を可能な限り自動化することになる。ストレージの利用申請をサービス化し、業務アプリケーションの担当者(すなわちストレージの利用者)は、用意されたメニューの中から必要な要件を入力して申請できるようにしておく。要件には、オンライントランザクションやバッチ処理などワークロードの種類、必要なディスク容量、目標とするサービス品質保証(SLA=Service Level Agreement)、ディスクの利用期間などの内容が含まれる。これらの申請内容は、すぐに承認者(ストレージ管理担当者など)へ転送される。

 承認されると、自動化されたサービスは、蓄積されたパフォーマンス情報や使用容量の情報に基づいて、仮想化されたストレージプールの中から最適なストレージを自動的に判断し、論理ボリュームを作成する。論理ボリュームはサーバに割り当てられるとともに、SANファブリックのゾーニングやI/Oパスの冗長化なども自動的に構成される。そして、サーバから割り当てられたボリュームをマウントすれば、業務アプリケーションから利用できるようになる。

 ストレージの利用者は、使用するディスクアレイ装置やSANなどストレージの知識を必要とせず、SLAに基づいた情報を意識するだけで、必要なストレージリソースを確保できることになる。また、ストレージ利用状況、過去に使用した容量の履歴、応答時間や処理速度などの情報を参照することで、業務アプリケーション担当者は、それぞれ個別にSLAの達成度を把握し、費用対効果を測定することが可能になる。さらに、ストレージの使用量に応じた従量課金体系を設けることにより、公平なストレージの利用者負担を実現できる。

ストレージクラウドの運用形態

サービスマネジメントを実現するには?

 このようなストレージクラウド環境におけるサービスマネジメントを実現するには、ツール――すなわちソフトウェアを導入することが近道だ。IBMの「Tivoli Storage Productivity Center」 は、ストレージインフラ全体の性能、容量、障害を監視しながら、構成情報や変更履歴を管理できるストレージ専用のサービスマネジメントツールである。複雑化するストレージクラウド環境を「見える化」してストレージ管理を一元化することで、企業にとって重要な機密情報資産の管理を徹底すると同時にコストを削減する。

可視化された構成画面上で管理できる

 このツールには、さまざまな特徴がある。データ、SANファブリック、ディスクアレイ装置などストレージに関するさまざまな管理プロセスを一元的に構成管理できること。使用率やファイルアクセス、更新頻度などを管理し、データの属性にあったストレージを選択したり、クォータやしきい値を管理して効率的にストレージ運用したりできること。IBMの仮想ストレージソリューションである「IBM System Storage SAN ボリューム・コントローラ(SVC)」と管理対象ディスクのパフォーマンスデータを取得し、リソースの使用率に偏りがないか、リソースに余裕があるかを判断してストレージを最適化する情報を提供できること。これらは、Tivoli Storage Productivity Centerならではの機能だ。

 このほか、SANスイッチを集中管理したり、SMI-S互換のマルチベンダー製ストレージに対応したり、他のTivoliソフトウェア システム管理製品と連携したりなど、ストレージ管理業務をシンプルにする機能も満載されている。

 また、各種業務アプリケーションが利用するストレージのワークロードを平準化するために、データ再配置をどのように実施すれば最適化できるか、統計情報に基づいて判断することも可能。サービスデスク管理ソフトウェア「IBM Tivoli Service Request Manager」と連携させることで、申請承認ワークフローの実装、インシデント管理・問題管理・要求管理などの幅広いサービスマネジメントとの統合も実現できる。

 Tivoli Storage Productivity Centerを利用すれば、上述したように、ストレージのリソースが要求されてから使用状況に応じて最適な場所を割り当て、複雑なSAN環境の構成を変更する一連の流れを自動化できる。即応性が求められるストレージクラウド環境において、ストレージ管理者の負担を大きく軽減することになるわけだ。

ストレージクラウド環境がもたらす効果

 ストレージクラウド環境を実現する仮想ストレージの基盤、およびIBM Tivoli Storage Productivity Centerのサービスマネジメントを利用することにより、どのような効果が得られるのか、最後にもう一度振り返ってみよう。

 まず、サイロ化された従来のシステム環境におけるストレージ管理に比べて、大幅なコスト削減が期待できる。システムが扱うデータの容量は、今後も急激に伸び続けることは間違いない。そうした状況下にあって、必要なときに必要なリソースを確保しながら、運用を自動化できれば、初期導入と保守運用の両面においてコストを削減できることになる。

 また、運用管理担当者の役割が明確化されるストレージクラウド環境では、新規サービスの提供時間を短縮したり、サービスレベルを向上したりといった効果が見込める。これは、それぞれの業務アプリケーション担当者が、ストレージの調達や設計などのワークロードに費やす必要がなくなるからだ。役割分担を明確にすることで、業務アプリケーションの担当者とストレージ管理者のそれぞれに、深い専門的知識と経験が集約されることになり、より品質の高いサービスをエンドユーザーに提供できるようになるのも大きな効果と言えるだろう。

 このようにストレージクラウド環境は、SLA管理者や経営者にとってもメリットをもたらす。Tivoli Storage Productivity Centerが提供するレポートを通じて、各業務アプリケーションに要するストレージの利用率やコストを可視化できるので、システムに対する投資対効果の分析、次期投資計画の立案にも役立てられるだろう。

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