オルタナブログ通信 番外編(2):企業のクラウド活用、ITガバナンスの確保に課題あり

ITmedia オルタナティブブロガーたちが「クラウド」をテーマに議論。クラウドのメリットや企業利用における現状の課題などについて、さまざまな意見が飛び出した。


クラウドは分散? 集中?

 前回お伝えした、日本オラクルのデータセンター見学会終了後、「クラウドコンピューティング」の現状について、ITmedia オルタナティブブロガーによるディスカッションが行われた。


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 「クラウド」という言葉が出たときの筆者の理解はこうだ。誰かがあるWebサービスをポチッとすると、何らかの命令なり処理がどこかにあるサーバに伝わって返ってくる。このサーバはどこか分からないけどたくさんあり、その時次第でうまく処理してくれている。もやもやっとした雲のような仮想化したコンピュータ群が全体として機能しているというイメージだった。

 【ブロガーイベント@オラクル】Exalogicにクラウドの本質がある?:「C'est la vie」


 クラウドに関して、率直な疑問を投げ掛けたのが、加山恵美氏である。「C'est la vie」「【ブロガーイベント@オラクル】Exalogicにクラウドの本質がある?」にあるように、加山氏は昨年に統合型ミドルウェアマシン「Oracle Exalogic」が発表された際、「これがクラウドなの?」と違和感があったという。

 “雲”の向こうの世界では、コンピュータが「分散」しているというのが加山氏の理解だった。確かにその指摘はもっともで、雲の向こうに巨大なスーパーコンピュータがあって、それがすべてを処理しているというイメージはない。そうなると、ラリー・エリソンCEOが語る「Exalogicが2台あれば世界中のFacebookのリクエストを処理できる」というのは、クラウドとは別物のようにも思えてくる。

 結局のところ、現状では立場などによってクラウドの定義はさまざまで、正解はないということだろう。加山さんはブログの中で、「仮想的でElastic(伸縮自在)で、そして、ソフトウェアとハードウェアを含むもの」というとらえ方をすればExalogicがクラウドだというのも理解できると述べている。実現しているテクノロジーがどうかということではなく、実現された結果がElasticであるかどうかが、クラウドの鍵となるかもしれない。

クラウド環境のITガバナンスをどうするか

 いまや日本においてクラウドの第一人者である「『ビジネス2.0』の視点」の林雅之氏はディスカッションの中で、どのシステムをクラウドに移行すればいいかという仕分けが既に企業で始まっていると指摘する。先進的な企業では、その上で既存システムとの連携や具体的な移行作業について検討を始めているという。

 そうした中で懸念として挙がっているのが、パブリッククラウドではITガバナンスが確保できないという点である。さらに、認識のギャップに関する課題もある。企業の経営陣は情報システムをクラウドに移行すればコスト削減や業務の見える化が実現できると思っているものの、実際はそれほど簡単なことではないのである。

 クラウドの導入を検討しているユーザー企業と直接かかわることが多い「情報インフラ24時 眠らないシステム」の中寛之氏は、企業がクラウドをサービスとして利用するようになると、ITガバナンスが失われる危険性があると強調する。確かに、雲の向こう側はもはや自社のITシステム環境ではないので、ITガバナンスという考え方そのものが通用しなくなるのだ。

 ITの仕組みを意識しないでいいのがクラウドのメリットなのだが、企業データの扱いに責任を持たなければならないIT担当者にとっては、その仕組みがブラックボックスでは困る。例えば、クラウド事業者が情報開示したり、クラウド環境に対して明確にITガバナンスを効かせたりすることが、企業のクラウド活用における今後の焦点となるかもしれない。

クラウドをテーマに議論するオルタナティブブロガーたち クラウドをテーマに議論するオルタナティブブロガーたち

キーワードは「スピード」

 「Power to the People」の柳下剛利氏は、ブログサービスのプラットフォームを提供する立場から、導入後の「管理の容易性」をクラウドに求める。

 大規模にクラウドを利用するようになれば、当然のように管理対象が増える。1つのクラウドサービスだけを利用するならば、管理は統一でき、担当者の手間は減るだろう。しかし、適材適所で複数クラウドサービスを選択し、さらにはプライベートクラウドを構築して既存システムとの連携を図るようになれば、管理の手間は増えてしまう。そのためにも簡便な管理方法がクラウドを使う企業にとっては重要なのである。

 クラウド活用に関しては「スピード」も大きなテーマである。とにかくすぐにサービスを使いたいという理由でクラウドを選択する企業も出てきている。柳下氏は「例えば、ブログソフトウェアを利用したいという顧客に対し、入金から3日以内にサービスを提供できるようにするのは極めて重要だ」と話す。物理的にサーバを準備し、そこにOSやデータベースをセットアップするという手順を踏んでいたのでは、とても3日以内という要求に応えることはできない。こうしたスピード感を実現する上で、クラウドは適切な選択肢なのかもしれない。

 より具体的な事例を示そう。先の東日本大震災の影響を受け、電力供給が逼迫(ひっぱく)。多くの企業は夏に向けて25%の電力消費量削減が課せられる。ITシステムにおける節電対策としては、サーバを集約したり、最新型の省エネタイプのハードウェアに移行したりすることが考えられる。しかしながら、これを1つ1つ手組みで行っていたのでは夏までに到底間に合わない。スピーディーな対応が求められているのである。

 そうした中、パブリッククラウドの採用は1つの解決策といえる。しかし、既存システムをすべてパブリッククラウドに移行できるわけではない。そこで、システムを集約するとともにプライベートクラウド環境として構築していくという道も同時に検討していくことになるだろう。 Exalogicのような「高密度集約」かつ「工業製品化」されたプラットフォームなどは、節電対策に向けた重要な選択肢になるかもしれない。



提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年5月31日