【第2回】あなたのすべてを把握する無人のコンタクトセンターカスタマーサービスの未来(1/2 ページ)

オペレーター間の引継ぎなどがうまく行われておらず、コンタクトセンターに電話をかけるたびに一からやり直した経験を持つ読者は多いだろう。そうした不満を解消する新しいサービスを紹介する。

» 2011年06月01日 08時30分 公開
[伊藤滋伸, 飯塚純也,ジェネシス・ジャパン]

 真夜中のオフィスに一人ぼっちなど、たとえあなたがどんな状態にあっても、置かれた状況を把握して受け答えしてくれる。場面や状況は刻一刻と変わるのだから、必要な対応も毎回変化します。

 そうした中、顧客の要求をすべて知っているかのように振る舞う、高度に自動化されたカスタマーサービスが、いよいよ現実味を帯びてきました。モノやサービスを提供する販売業ではもちろんのこと、金融業や製造業など業種を問わず、顧客との断片化した「カンバセーション(会話)」を紡ぎ、継続的かつインテリジェンスなサービスを提供する新しいコンタクトセンターの姿を紹介します。


24時間365日、完全自動で応対する旅行代理店

 20XX年、東京・新宿のあるオフィスにて――。

 あぁ、今日も遅くまで残業だ。すっかり外は暗くなって社内も静まり返っている。こんな忙しい時にスマートフォンに重要顧客から障害発生を知らせる緊急メッセージが届いた。内容を見るに、明日の朝一番でニューヨークまで飛ばなければならない。

 「何てこった! 明日までにたまった仕事を片付けなきゃならないのに……」

 トラブルというやつは、えてしてこういう時に起こるものだ。しかし、出張の準備に関しては何ら心配ない。数年前までは、こんな夜中に空港までのアクセス情報の提供やホテルの手配、航空券の予約などができる環境はなかったが、今ではどんな要求にでも応えてくれるトラベルエージェンシーが優れたサービスを提供してくれるのだ。

 通常なら急な出張の準備は非常に面倒な作業なのだが、エージェンシーのコンシェルジュサービスを使えば的確にアドバイスをもらいながら、やりたいことを確実に実行できる。

 このサービスは、24時間365日、完全自動で応対してくれる。電話からの自動応答サービスでも、Webなどのほかのアクセス方法を使ってもだ。もちろん先方のサービスセンターは私がゴールド登録ユーザーであるのはもちろんのこと、直近のコンタクト状況さえも把握している。

 さっそくコンタクトをとったところ、過去の履歴から「(本社のある)サンフランシスコへのフライトですか?」と聞かれた。今回はちょっと事情が違うんだ。

 「いや、サンフランシスコじゃない。明日、ニューヨークへ飛びたいんだ」

 「かしこまりました、明日、ニューヨークへのフライトですね、フライト時間のご希望はありますか?」

 「朝一番のやつで頼む」

 そう反射的に答えたものの、ふとたまった仕事と家族の顔が思い出されて、いつのフライトにするか悩んでしまった。

 「ガチャッ」。結局、決めきれずに時間指定の段階で、途中で電話を切った。

 仕事に戻り、たまった仕事をこなしていると、さまざまなことが思い浮かぶものだ。やりかけの報告書は翌朝までに仕上げて、この仕事は部下に頼もう。顧客への説明資料も作らなくてはならないが、それはフライト中に作ることにするか。明日は家族に会ってから、会社に寄らずにそのまま空港へ行くとしよう。

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