「匿名認証」の要求を高速処理できる回路をNECが開発した。クラウドサービスなど多数の認証処理が要求される環境での活用が期待される。
NECは6月7日、「匿名認証」を用いた多数の認証要求を高速かつ低消費電力で処理できるという組み込み機器向けのLSIを開発したと発表した。クラウドサービスへの活用が期待されている。
匿名認証は、暗号技術を用いてユーザーが許可されたグループに所属しているかどうかを認証する技術。ユーザー個人を特定しない(匿名)が、特権者に限定して個人を特定することもできるため、匿名性の悪用を防止できるという。
同社によれば、デジタル署名を用いた個人認証では「誰が、いつ、どこで、何をした」といった個人情報がシステムに記録される。特にクラウド環境では大量の個人情報が蓄積されるため、プライバシーの確保が課題になっていた。
今回開発したLSIでは、多数の認証要求の並列処理と、効率的な回路の利用を両立できる回路方式を実現したという。この回路方式を用いたハードウェアアクセラレータをサーバに搭載してシミュレーションしたところ、従来のソフトウェアによる処理に比べて、10倍以上の認証要求を処理しながらも、消費電力を100分の1以下にできることを確認した。
クラウド環境で活用することにより、セキュリティレベルの高い匿名認証を容易に実現できるとしている。
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