アプリが主役のデータセンターネットワークを――Alcatel-Lucentが「Pod・Mesh」構想

Alcatel-Lucentは、「Pod」と「Mesh」という次世代の大規模データセンター向けネットワークアーキテクチャを表明した。円滑なアプリケーショントラフィックを実現すると、同社幹部は話す。

» 2011年06月17日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
ジョゼフ・ラキューリア氏

 仏Alcatel-Lucentは4月、大規模データセンター向けの次世代ネットワークアーキテクチャ「Podと「Mesh」を発表。それを具現化する製品群として、コアスイッチ「OmniSwich 10K」や、イーサネットスイッチ「OmniSwitch 6900」などをリリースした。同社のデータセンター事業の取り組みについて、エンタープライズ データおよびセキュリティ グループ プロダクト・ソリューションズマーケティング ディレクターのジョゼフ・ラキューリア氏に聞いた。

 現在、多くのデータセンターが直面する課題の1つが、仮想化環境の普及やアプリケーションおよび接続デバイスの多様化に伴うネットワークトラフィックの急増である。これまでは、10Gビット/秒以上のワイヤレートにネットワーク帯域を広げることで、これに対処する取り組みが進められてきた。ネットワークベンダーは、より抜本的な解決策として、仮想化技術を用いたネットワーク構成の簡素化を提案するようになった。ラキューリア氏は、「次世代のデータセンターにはアプリケーションを円滑に提供できるサービス品質が求められる」と話す。

Meshアーキテクチャを実現するためのコアスイッチ「OmniSwich 10K」

 同社が表明した「Pod」は、複数台のOmniSwitch 6900を用いて柔軟な構成が組むことができる。PodをOmniSwich 10Kで構築したコアネットワークに接続させて、Meshのネットワークを構成する。Meshでは5つのPodを接続することで、最大1万4400基のポートをサポートし、同169テラbpsのスイッチング処理能力を実現する。

 PodおよびMeshのアーキテクチャによる構成を可能にするため、同社では仮想化技術を用いてスイッチ同士を柔軟に接続できる“Any to Any”のほか、自動でのプロビジョニングやプロファイルの適用、アプリケーションの用途に応じてネットワーク上の仮想マシンの検出や動作状況を識別するなどの機能をスイッチに実装している。こうした取り組みにより、Podのネットワークでの遅延を最大2マイクロ秒以下、Meshによるネットワークでは5マイクロ秒以下の抑えることが可能になったという。

Podアーキテクチャによるネットワークを構成する「OmniSwitch 6900」

 OmniSwich 10KおよびOmniSwitch 6900は、10Gビットイーサ(GbE)に対応するが、ソフトウェアアップグレードによって、将来的に40GbEや100GbEに対応できるとしている。ラキューリア氏は、「当社のアーキテクチャでは、これからのトラフィックの増加に対しても最小限のコストで済む点に特徴がある」と強調する。

 OmniSwich 10Kは5月に米国で開催されたInteropで「Best of Interop」を獲得したほか、6月上旬の国内のInterop Tokyo 2011でも最終選考に残るなどの評価を得た。ラキューリア氏は、「将来のデータセンターには“Application as a Service”を提供できる役割が求められ、新たなアーキテクチャによるソリューションを日本でも積極的に提案していきたい」と語っている。

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