日立は統合運用管理製品の最新版「JP1 V9.5」を発表した。スマートフォンを資産管理対象としたり、Windows Azureへの対応を表明したりするなど、昨今のトレンドを踏まえたバージョンアップとなっている。
日立製作所(日立)は6月29日、企業向けシステム運用管理ソフトウェアの最新版となる「JP1 V9.5」を発表した。販売開始は翌30日から。
今回のバージョンアップは、サービス(業務)視点での稼働監視や、スマートデバイス管理機能の追加、そして他社パブリッククラウドサービスへの対応表明などが特徴。コモディティ化が進む運用管理製品ではあるが、昨今の企業ニーズを取り入れた機能追加を図った。
サービス視点での 稼働監視については、新たに製品化した「JP1/ITService Level Management(JP1/ITSLM)」が担う。金融業界などのニーズに対応するため日立が培ってきた、ストリームデータの処理技術を応用し、大量の監視データをリアルタイムに分析できるという。これによりユーザーは、過去のサービスレベルと現状のサービスレベルのギャップを可視化したり、異常な挙動を自動検知したりできる。
JP1/ITSLMは、サービス利用者による実アクセスを計測しながら、SLO(Service Level Objective)をしきい値とし、監視する。週次・月次など、一定の期間におけるSLO順守結果をレポートする機能を備える。具体的な監視項目としては、「サービスの応答性能」「スループット」「エラー率」などがある。
従来は、PCやサーバ、アプライアンス機器、ソフトウェアライセンスといったものを対象としていたIT資産管理だが、ビジネスにおけるスマートデバイスの活用が進むにつれ、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスを管理対象に含めたい、というニーズが増加している。
そこでJP1 V9.5では、スマートデバイスを含むIT資産の購入計画から運用保守、廃棄までをライフサイクルとして捉え、その一元的な資産管理を支援する「JP1/IT Desktop Management(JP1/ITDM)」を新たに製品化した。2011年度中をめどに、他社製のMDM(Mobile Device Management)製品と連携を図り、スマートデバイス管理機能を充実させていくという。
プライベートクラウド環境におけるITリソースを、予約・配備・廃棄までリソース管理できる「JP1/IT Resource Management(JP1 V9.1で追加された製品)」では、ITリソースのユーザーに対し課金情報を表示できるようになった。2011年度中にセルフサービスポータルにも対応する予定。またクラウド環境でのバッチ業務を支援するため、UNIX/Linux/Windowsの各環境でシェルスクリプト記述が可能となる「JP1/Advanced Shell」を製品化した。
なお日立は、東日本大震災を受け、BCPの観点から企業での利用に注目が高まっているパブリッククラウドについて「パブリッククラウド環境とオンプレミス環境との一元的な監視やジョブ実行連携を実現する」としている。具体的には、2011年度中にWindows Azureを管理対象とし、その後「著名なパブリッククラウド環境にも順次対応していく予定」としており、AmazonやGoogleのクラウドサービスに対応するものと予測できる。
価格はJP1/ITSLM - Managerが210万円、JP1/ITSLM - User Responseが63万円。JP1/ITDM - Managerが26万2500円からとなる(すべて税込)。
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