顧客のための情報提供基盤を担う――KVHの事業戦略

KVHは、通信とコンピューティングインフラを統合したサービスの展開で、5年以内に売上高を2倍にする事業戦略を発表した。

» 2011年06月30日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
リチャード・ウォーリー最高経営責任者

 KVHは6月29日、都内で事業戦略説明会を開催した。リチャード・ウォーリー最高経営責任者は、2015年までに売上高を現在の2倍の規模にするとの方針を明らかにした。

 同社は米Fidelity投信グループの出資で1999年に設立され、同年から通信サービスを提供。2002年にデータセンターサービス、2010年にクラウドサービスをそれぞれ開始している。ウォーリー氏は、「クラウドとネットワークが統合された“情報デリバリー・プラットフォーム”によって、法人顧客のビジネスに変革をもたらし、これまでにない体験を提供する。当社はそれができる数少ない企業だ」と強調した。

 近年、クラウドビジネスには通信系やIT系などの数多くの企業が参入するようになった。ウォーリー氏によれば、通信系企業ではネットワークサービスやデータセンターサービス、システムサービスを展開しているが、各サービスは個別の組織が担うために包括的な展開が難しいという。一方、IT系企業では回線設備を保有する通信事業者並みのネットワークサービスの提供が難しいと指摘している。

 同社では先ごろ、ネットワークサービス部門とシステムサービス部門を統合する組織変更を行ったという。今年初めには千葉県にPUE値が1.5以下という最新鋭のデータセンターを構築。Web画面での申し込みから最短15分で利用できるIaaSの「Cloud GALAXY」サービスの提供も開始した。

 またネットワークサービスでは、金融業界からの利用が多い低遅延の自社ネットワークを東京・シカゴ間、東京・香港間、東京・シンガポール間で保有する。2012年第1四半期中には東京・シドニー間と東京・ソウル間でもサービス提供を新たに始めるとしている。従業員数は約450人だが、出身国は26カ国に上る。ウォーリー氏は、日系企業だけでなく、日本に進出する外資系企業にもきめ細かい対応ができる点に特徴があるとした。

成長戦略での基幹サービス

 こうした経営資源の活用により、同氏は2015年までに国際データ通信サービスで年平均45%、クラウドおよびマネージドサービスで同56%の成長を見込んでいる。

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