エンタープライズ基準の内部統制をクラウドで作り上げた「1人情シス」の奮闘ビジネス継続性を強化

日本橋の中堅企業である日清紡ポスタルケミカルは、ネットワーク障害の発生や、外部からの内部統制強化の求めを契機に、中堅・中小向けクラウドサービスを利用することでビジネス継続性を強化したという。

» 2011年07月11日 10時00分 公開
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 スピード感の増していく市場において、欠かせない要素となる物流。スムーズな流通のために必要なのが管理や内容の表示に使われるラベルである。顧客のラベルに対するニーズは物流形態に応じて多種多様だ。さまざまなラベルプリンターや自動貼付機、物流管理用ラベル・内容表示用ラベルの設計・製造・販売、郵便料金計器の販売で顧客の要望に応えているのが日清紡ポスタルケミカルだ。

 同社は2011年で設立62周年を迎え、東京都中央区の本社を含む全国14カ所の事業拠点を擁する老舗の中堅メーカーである。 同社の従業員はおよそ150人。東京と大阪に約30人ずつ、加えて埼玉県川越市には工場・物流センターがあり、こちらには約40人が勤務している。残りの50人は、主に地域セールスの担当として、全国の拠点に配属されている。

日清紡ポスタルケミカル 総務本部 総務部 兼 業務システム部 部長 山沢 賢芝 氏

 日清紡ポスタルケミカルの総務本部で、“総務部 兼 業務システム部”という立場からITシステムを管理している山沢賢芝部長は「システム管理者は、(東京の)自分と、大阪にもう1人いますが、どちらも本来の業務との兼任です。そのため日々の運用も大変ですが、トラブルが重なると迅速にサポートできないこともありました」と振り返る。

 従来、業務システムのネットワークは主要拠点のホストコンピュータ間を専用線で接続していたが、2005年ごろ、回線速度の向上などを目的に、ある通信事業者のIP-VPNに切り替えた。

 「ネットワーク環境が改善したことで、業務でのインターネット利用が加速しました。すると“もっと回線速度を上げてほしい”という要望が上がるようになったのです」(山沢氏)

 そうは言っても、システム管理に専任で当たることはできない山沢氏。もちろんコストの問題もあり、すぐにネットワークを更改するわけにもいかない。だが早急に社内ネットワークを見直さなければならない事態が発生した。それは2009年のことだった。

回線トラブルが事業継続性を脅かす事態に

 「製造・物流機能のある川越事業所でのことでした」と山沢氏は振り返る。「ネットワークが完全に停止するという障害が起こったのです」(山沢氏)

 障害を回復すべく、原因の特定に乗り出した山沢氏だが、通信事業者は「ネットワーク機材の障害ではないか」と言い、ルータメーカーは「ルータのログを取り出すには本国(米国)に送って調査する必要がある」と主張する状況。「障害の回復と同時に原因を特定し、再発防止の対策を打つ必要がありましたが責任範囲の切り分けが難しい状況でした」と山沢氏は振り返る。

 通信事業者、あるいはルータメーカーにとってはただの“ネットワーク障害”かもしれないが、基幹拠点の機能が停止してしまった日清紡ポスタルケミカルにとってはそれではすまない。例えばラベルプリンター用のサプライ品などは、納期厳守で顧客に対し提供しなければならないが、「物流センターのネットワークが停止してしまい、どこに、なにを、いつまでに納品すべきか分からない状況」(山沢氏)になってしまったという。日清紡ポスタルケミカルだけでなく、同社の顧客にとっても、ビジネスの継続性を脅かしかねない事故であった。「善後策を通信事業者と話し合いましたが、らちが明きませんでした」と山沢氏は話す。「今さらながら、自社のネットワークがブラックボックスだったことに気付いたのです」(山沢氏)。

 このような障害が2度起こったことで、通信事業者の切り替えを前提とした、新ネットワークの検討に入ったという。

クラウドサービスの充実度で、マネージドイントラネットを評価

 ソニーのbit-driveが手掛けるマネージドイントラネットに出会ったのは、ちょうど山沢氏がこのような状況に置かれていた頃だったという。もちろん、マネージドイントラネットを採用し、導入を図る上での要件は以下のようなものだ。

 まず、ネットワーク全体の耐障害性を高めつつ高速化することはもちろん、万一の際のサポート窓口の一元化を目指した。新しい試みとしては、クラサバ型で運用していたいくつかのシステムを、マネージドイントラネットのクラウドに移行した。

 もちろん回線コスト自体の引き下げも視野に入れている。「bit-driveの競合といえるサービスを提供している事業者も検討しました。しかしクラウド環境で使えるオプションアプリケーションの充実度では、bit-driveが一歩先んじていると判断しました」(山沢氏)

 日清紡ポスタルケミカルがマネージドイントラネットに移行したのは2010年11月のこと。bit-driveから提供されるマネージドルータを各拠点に配布し、一部設定を行うだけで移行できたという。「従来環境から引き継いだプロキシの設定などが必要でしたが、基本的に土日のみで移行を完了できました」と山沢氏は振り返る。

日清紡グループの内部統制基準にも対応

 マネージドイントラネットの採用で、山沢氏が大きな効果を感じているのが内部統制の強化だという。同社は、日清紡グループの子会社で、完全に日清紡グループ準拠の内部統制体制を構築することが求められていた。加えて取引先には大手企業が多く、そういった大手顧客の社外監査室によって、適切な内部統制を行っているかどうかを監査されることもあった。そのため、IT 統制を効率的に実施することが従来からの課題になっていた。そこで、監査対応のためネットワークの改善を機にログ管理、ウイルス/スパムチェック、Webコンテンツフィルタなどに加え、メールアーカイブとIT資産管理を導入した。

IT資産管理ツールを導入し、これまで手作業で行っていた管理を自動化。加えて、ツールをクラウド側に置くことで運用負荷を軽減した

 これまでは監査のたびに手作業で対応していた山沢氏だが、「クラウドサービスでIT 統制を進めることで、監査に耐えうる証跡を整理しやすくなりました。例えば機材のシリアルやアプリケーションライセンス情報は表計算ソフトで台帳管理していましたが、今では資産管理ツールが自動でリストを作成してくれます。ログの管理も簡単になったため、作業の効率は向上しました」と評価する。

 またWindows Updateに関しては、自動更新の設定をしていたものの、各社員の更新状況を把握できていなかったが、一括して実行できるようになり、管理の負荷が軽減されると同時にセキュリティも向上した。「クライアントマシンの管理も、かなり楽になりました。業務に関係ないソフトウェアの管理も、インストール情報をリモートで把握できるので、監査の際の証明もしやすくなっています」と山沢氏は述べる。

 クラウドサービスの利用には、他の利点もある。「資産管理ツールを入れるために新たにサーバを立ててしまうと、今度はそのサーバのメンテナンスもしなければなりません。これでは本末転倒だと考えていました」と山沢氏は話す。また、グループウェアに関しては、現在使用中のサーバのハードウェアの入れ替え時期が迫っており、クラウド化を検討するために、マネージドイントラネットのグループウェアを20ライセンスほど調達して、導入評価をしているところだという。

 従来環境で課題となっていたサポートについても、「実は一度、ネットワークが停止したことがありました。bit-driveのサポートに連絡したところ、NTTの工事によるものだと、すぐに確認できました。過去同じような障害があった際に、当時の業者にも確認したのですが、そちらでは“障害は発生していない”と、NTTの工事情報を把握していませんでした。これはあくまでも一例ですが、bit-driveのサポートは信頼しています」 と山沢氏は話す。

 山沢氏によると、これほどの改善効果を上げながら、従来の回線コストを、オプションアプリケーションの利用費を含めて70%前後 にまで低減できたという。「今後は、汎用アプリケーションはマネージドイントラネットでクラウドサービス化を進め、会計や販売などの個別業務アプリケーションはbit-driveデータセンターでのハウジングとアウトソース化を進めていくことを検討したいと思います。これからも、bit-driveのサービスには期待したいですね」(山沢氏)

日清紡ポスタルケミカル株式会社

日清紡ポスタルケミカル株式会社

日清紡ポスタルケミカル株式会社

・所在地 東京都中央区日本橋小伝馬町14-5

・設立 1949年 2月

・事業内容 ラベルの設計、製作およびラベルプリンター、ラベル貼り付け機などのシステム販売、郵便料金計器の販売


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年7月24日