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» 2011年07月15日 12時36分 UPDATE

Microsoft WPC2011 Report:「垂直統合を目指さない」――グローバル化に対するマイクロソフトの立場

Microsoftのパートナー向け国際会議の最終日は、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は日本のパートナー向けに講演した。日本のパートナーや顧客企業に向けた同氏の講演はグローバル化がテーマとなった。

[渡邉利和,ITmedia]

 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されていたMicrosoftのパートナー向け年次イベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2011(WPC)」は、7月14日に最終日を迎えた。この日は参加国・地域ごとの基調講演が行われ、日本のパートナー向けには日本マイクロソフトの代表執行役社長 樋口泰行氏が登壇した。

“居心地の悪い”海外で頑張る

 樋口氏は、日本が現在直面しているさまざまな問題を挙げて、「日本全体が重要な転換点にある」と指摘した。そして、これまでの国内市場の状況だけを見たビジネスは、「ガラパゴス/レガシー」と言えるような状況に陥ってしまっているのではないかとの懸念を表明した。同氏は、日本の文化や国土環境が日本人にとって極めて快適で心地よいものだとした上で、自身が外資系企業で仕事をしている経験から、「海外では実に居心地の悪い思いをすることが多い。だが、それを乗り越えてグローバルに出て行かなくては」と語り、「日本は独特/日本は外国とは違う、と言っているうちに世界から取り残され始めているのではないか」との懸念も口にした。

wpc4001.jpg WPC11会場で日本のパートナー向けに講演する樋口泰行氏

 その上で、グローバルに事業を展開するMicrosoftの技術やサービスをうまく活用し、さらにWPCのような全世界のパートナーが一堂に会する機会を生かすことで、国内のパートナーがグローバルに打って出ることを支援していきたいとの決意を表明した。

 また、国内で「信頼される企業になる」ことを重視する姿勢を改めて打ち出した。マイクロソフトが現在積極的に推進しているクラウドサービスでは、従来はユーザー企業が自社で管理していたITリソースをマイクロソフトが運営するクラウド環境で置き換えることになり、拡張性や可用性が信頼に足るレベルに達していなければサービス提供そのものが不可能になる。

wpc4002.jpg パートナーとの協業のフレームワーク

 このため、サービス運用者としてのマイクロソフトがユーザー企業から信頼される存在であることが、サービスを軌道に乗せるためには不可欠だ。またマイクロソフト単独での事業展開は困難なため、さまざまなパートナーの協力を得る必要もあるが、協業相手として信頼される存在でなければパートナーとして活動する企業はいない。同氏は、買収やその他の事情で日本市場から撤退してしまったり、あるいはパートナーと競合するような垂直統合を目指したりといったことはせず、プラットフォーム・ソフトウェアに専念するという姿勢を明確にした。パートナー企業が安心してビジネスを推進できる体制を堅持することを約束している。

 今年度、同社が注力する分野として「デバイス」「クラウド」「ソリューション」の3つを挙げ、これら製品/サービスの開発・整備に加えて「パートナー支援」と「エンドユーザー向けマーケティング」を推進し、パートナー企業各社は「コンサルテーション」「移行」「開発」「サポート」「周辺ソリューション」といった事業分野を担当するという協業の大枠を示した。

全てがクラウドで連携する

 続いて登壇したテクニカル ソリューション エバンジェリストの西脇資哲氏は、Office 365やWindows PC、スレートPC、ノートPC、Windows Phoneなど、多彩な環境/デバイスを組み合わせながら同社のクラウドソリューションが、どのような作業環境を実現するのかについて具体的に紹介した。

 西脇氏は、Office 365やSharePointのファイル共有環境を使うことで、ユーザーがOffice 365のOffice Web Appを利用した場合はもちろん、従来のオンプレミス型のOfficeアプリケーションを利用していても、他のユーザーと共同作業ができることや、どのようなデバイスを使ってアクセスしても同じデータを同じように表示したり編集したりできることを示した。「あらゆるシステムが全て緊密に連携している」というのが同社の強みであるという。

 またWindows Phoneの新しいインタフェースは、「従来は電話をかける、メールを送る、Twitterでメッセージを送るといった手段を選んでコミュニケーションを取っていたが、次期Windows Phone(コードネーム:Mango)は、まずコミュニケーションしたい相手を選び、続いてその相手に対してどのような手段でコミュニケーションするかを選ぶことができる」と話した。Mangoが掲げる“ピープル・セントリック”というコンセプトが具体的にどのような使い勝手をもたらすのかを実演して見せた。

wpc4003.jpg 西脇氏によるプレゼンテーション

 クラウドと従来型のパッケージアプリケーションをそれぞれ独立したものとしてとらえてしまうと、本当の価値が見えなくなってしまうデスクトップアプリケーションからクラウドまで、スマートフォンからPCまで、全領域に対して共通の環境を提供できる点がマイクロソフトの強みであろう。さらに単にインフラが共通なだけではなく、相互に密接な連携が実現されていることこそが重要なポイントというわけだ。

 同社が重要な競合相手と認識しているGoogleやAppleは、それぞれ特定の領域で強力な製品/サービスを実現しているものの、幅広い領域での密接な連携を実現できる形にはなっていない。この強みをアピールできるかがマイクロソフトの今後のビジネスにとって重要だ。まず同社のパートナー各社がその価値を理解し、その上でさらに独自の付加価値を積み上げていく。これによって、繰り返し指摘されてきたグローバル化の「出遅れ」を挽回する道筋が明確になるだろう。

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