Webアクセスをクラウドで自動分散:止まらないWebサイトを手軽で、安価に実現する方法とは?

Webサイトの可用性向上を図る企業において活用を見込めるのが、IIJが今年5月から提供を開始した「IIJ広域負荷分散サービス」だ。Webサーバの稼働状況に応じてアクセス先を自動的に振り分ける機能を、安価に、しかも短期間で利用できる点が特徴だという。


Webサイトのダウンによって被る被害とは?

IIJ サービス本部プロダクトマーケティング部3課の針金大介主任

 Webサイトが担う役割は多様化する一方で、新製品などの紹介やキャンペーンの告知などには欠かせないものとなっている。また、大事件や天災が発生した際にはテレビやラジオとならぶ情報発信/収集の手段として大きな役割を果たしている。

 これはすなわち、企業/組織活動におけるWebサイトの重要性が着実に高まっており、Webサイトのダウンによって被る被害がますます大きくなっていることを意味する。Webサイトでマーケティング活動や販売活動を行っていれば、消費者へメッセージを発信する機会が減少した分、そこで創出が見込まれた利益が失われたり、ダウンタイムに比例して確実に売り上げが減少する。鉄道などの公共インフラを担う企業が情報公開の一環として運用するWebサイトがダウンした場合には、社会的な責任が強く問われる事態にまで発展する可能性も小さくない。

 IIJのサービス本部プロダクトマーケティング部3課の針金大介 主任は「Webサイトは企業と人をつなぐ重要な存在です。そこで問題となるのが、Webサイトがダウンすると情報発信の手段が失われるということ。そうした事態を避けるためにも、どんな場合であれWebサイトにアクセスできる仕組みを整備することが企業や組織にとって不可欠です」と指摘する。万一、Webサイトにつながりにくかったり、つながらなかったりした場合には、自社のブランドイメージや信頼性の低下を招いてしまうだろう。

 Webサイトの重要性はすでに広く認知されており、Webサイトの冗長化やバックアップサイトの構築に乗り出す企業は多い。しかし、そのためにかかるコスト・運用負荷は決して少なくない。

 このような背景を踏まえ、IIJは今年5月、Webサーバの稼働状況に応じてアクセス先を自動的に振り分けることでWebサイトの安定稼働を実現する「IIJ広域負荷分散サービス(以下、広域負荷分散サービス)」の提供を開始した。

月額5万円、2週間あれば利用が可能に

IIJ サービス本部アプリケーションサービス部 デジタルコンテンツ配信課の福田一則課長

 広域負荷分散サービスは、Webサーバの状態をIIJのシステムが常時監視し、その結果を基に事前に登録されたポリシーに則ってアクセス先を自動的に振り分けるサービスだ。

 例えば、メインのWebシステムに何らかの障害が発生した場合には、DNS(Domain Name Server)のテーブルを書き換えることで、予備系システムに自動的に切り替える。また、アクセスが過度に集中した場合には、メンテナンス中であることなどを告知するページに振り分け、後ほどの再度のアクセスを促す。そして、その間にメインシステムの復旧作業や処理能力の増強などにあたるわけだ。

 同サービスで特筆されるのは、IIJが事前に用意したシステムを基に各種機能が使い勝手の高いサービスとして提供されることで、極めて安価かつ短期間にサイトの健全性を高められる点である。

 Webサイトがトラブルに見舞われる原因は、回線やネットワーク機器の障害、ルーティング障害、災害、アクセスの集中などさまざまだ。それゆえに、対策を講じるべき対象が多岐にわたることが、そのためのコストを大幅に押し上げるとともに、作業完了までの期間を長引かせる要因となっていた。ロードバランサなどの専用機器を導入した場合には、初期投資のみならず、運用コストも負担する必要があった。

 対して、同サービスであれば「アクセス先の自動振り分け」や「Ping監視」、「Port監視」、「Sorryページ表示」といった機能のすべてを月額5万円から利用できる。新たに機器を導入する必要もなく、当然、煩雑な運用業務からも解放される。サービスの利用開始までに要する期間も長くてわずか2週間。併せて、IIJのクラウドサービスやWebホスティングサービスを組み合わせて利用することで、安価にバックアップサイトを運用でき、Webサイトの信頼性を高めることも可能となる。

 IIJ サービス本部アプリケーションサービス部 デジタルコンテンツ配信課の福田一則課長は、「本サービスで提供するDNSは東阪に分散して設置をしているため、大規模災害が発生した場合でもサービス継続の可能性が高く、弊社のクラウドサービスと組み合わせてご利用いただくことで、お客様のWebサイトの継続性を向上させることが可能です」と説明する。

充実した「振り分け」「切り戻し」機能

 広域負荷分散サービスには、使い勝手を高めるための工夫も備えられている。例えば、アクセスの割り振り方法を柔軟に設定できるよう、すべてのサーバに振り分けを実施する「Active-Active」構成と、Activeグループに登録されたサーバがすべてダウンした場合に、Standbyグループに登録されたサーバに振り分けを行う「Active-Standby」構成の2種類を用意。加えて、各グループへのアクセス方法も登録された全サーバに均等に割り振る「ラウンドロビン方式」と、サーバごとに事前に設定された割合に割り振る「レシオ方式」から選択でき、数十台ものWebサーバを抱える大規模環境においても、各サーバへのアクセスを細かく制御できる。

aa.jpg 「Active-Active」の構成例
IIJ サービス本部アプリケーションサービス部デジタルコンテンツ配信課の友田成則氏

 また、切り戻し方法も、サーバ復旧後すぐに振り分ける「自動切り戻し」と、復旧後も手動で有効とするまで振り分け対象に含めない「手動切り戻し」の2つを用意。IIJ サービス本部アプリケーションサービス部デジタルコンテンツ配信課の友田成則氏は「ECサイトなどの復旧時には、価格などの情報を改めて確認したいとの声も少なくありません。その場合には、手動切り戻しを選ぶことで、チェックのために十分な時間を確保することができます」と解説する。

 監視方法の設定も容易だ。具体的には専用のWeb画面上で、振り分け方法などの項目を選択するとともに、監視対象のWebサーバを登録するだけ。サービスの利用開始にあたっては、ウィザードに従って設定やサーバの登録を進めるだけで作業を完了できる。

 一つのサーバに設定した監視条件を全てのサーバに適用する機能や、サイトの稼働状況を確認する「リアルタイムステータス確認」など、監視のための機能も非常に充実。ICMPやPort監視などの通常監視に加え、監視するURLを設定し、要求した指定文字列の結果などを振り分けの条件とする高度な監視条件の設定も行える。これらの利用を通じて、ネットワークやサーバについてそれほど高度な知識を備えていなくても、運用業務を行える。

 万一、障害によって振り分けが行われた際には、メールや電話で通知されるため、いち早く復旧作業に取り組めるのもメリットの1つ。もちろん、操作履歴やシステムログ、電話での通知などのログはすべて記録されており、CSV形式でデータをダウンロードすることで監視レポートの作成などに役立てられる。

status.jpg サーバのステータスをリアルタイムに確認できる

学習院大学や公共インフラ関連企業が信頼性向上に着目

 広域負荷分散サービスに対する企業や組織の関心は高く、すでに学習院大学では、Webサイトによる情報発信の信頼性を向上させる目的で、サービスの導入が進んでいるという。同学が本サービスに着目した背景には、学生向けだけでなく、対外的な情報発信も増えていくなかで、計画停電などにより情報提供が止まるリスクを回避する狙いがある。

 学習院大学以外にも、多くの大学では学生以外にもWebで情報を発信しており、そのアクセス数は時期によって変動するものもある。例えば受験時期、とりわけ合格発表の直後には特にアクセスが殺到し、Webサイトが不安定になったり、ダウンしたりする可能性もある。こうした事態に対応するには、従来であれば何台ものサーバを所有し、自身で分散環境を整備する必要があったが、広域負荷分散サービスを利用すれば短期かつ安価に分散環境を整備することができ、自前でサーバリソースを調達する必要もないため、TCOも削減できる。さらに万一の災害や停電時でも、Webサイトからの確実な情報発信が可能になるなど、リスク対策のさらなる徹底を見込むことができる。

 「確かにこれらの対策は自前でも行えますが、その場合には、リソースや構成を継続的に管理し続ける必要があります。その手間とコストを抑制するためには、資産を持つ必要のない本サービスが有効です」(針金氏)

 また、計画停電や節電情報を発信する電力会社でも同サービスが導入されているほか、鉄道会社などの公共インフラ関連企業や、官公庁・地方自治体からも引き合いが寄せられているという。

 Webサイトのダウンを回避するために、果たしてどれほど予算を計上し、どのような対策を講じるべきなのか。Webサイトの重要性が着実に高まる一方で、この問いに対する明確な“解”は存在しないが、広域負荷分散サービスが、そのコスト負担と労力を削減するソリューションであることは間違いないと言えるだろう。

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提供:株式会社インターネットイニシアティブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年8月18日

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