日本HPがコンテナ型データセンターを発売、竹中工務店と導入支援サービスも

日本HPは竹中工務店と提携してコンテナ型データセンターの事業を開始した。HPのコンテナ型データセンターは、海外では20社40台以上の利用があるという。

» 2011年07月28日 17時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は7月28日、コンテナ型データセンター「HP POD(Performance Optimized Data Center) 20C」および、HP POD 20Cの導入などに関するサービスを竹中工務店と共同で提供することを発表した。同日から受注を開始している。

 HP POD 20Cは、20フィートのコンテナの内部に50Uを収容可能なラック10本と給電設備、水冷設備などを設置したパッケージ型のデータセンター。1ラック当たりの給電能力は約29キロワット(全体で290キロワット)、PUE(電力効率)値は1.05〜1.25と、建屋型のデータセンターに比べて2倍近い電力効率を実現しているという。設置面積も建屋型のデータセンターに比べて10分の1程度で済むなど、極めて高密度な点が特徴となっている。

建屋型のデータセンターとHP POD 20Cとの比較

 HP POD 20Cに関するサービスは、導入検討などでは日本HPと竹中工務店による「HP/竹中 データセンターアジリティサービス」、実際の導入や導入後の保守ではHPによる「HP POD スタートアップサービス」「HP POD 保守サービス」がそれぞれ提供される。

 HP/竹中 データセンターアジリティサービスでは、PODや導入先に関する設計から施工までを2社で支援。HP POD 20Cは、米国テキサス州ヒューストンにあるHPの工場で製造され、海上輸送を経て、導入企業のサイトに搬入、設置が行われる。製造から搬入までの期間は最短で約3カ月。メニューなどがテンプレート化されており、これを活用して、最短6カ月でデータセンターを稼働させることが可能だとしている。竹中工務店で用意する主なテンプレートは「ファシリティ設計」「免震導入」「セキュリティオプション」などだ。

 建屋型のデータセンターでは通常、設計から竣工までに2年程度かかるという。「工期全体を大幅に短縮して事業機会の損失を小さくするソリューション」(竹中工務店データセンター推進グループ・後神洋介氏)としている。

 価格は、HP POD 20C本体およびHP/竹中 データセンターアジリティサービスはオープン。HP POD スタートアップサービスは1台目のHP PODが1480万5000円、2台目以降が882万円。HP POD 保守サービスが年間910万3100円となる。

HP POD 20Cによるデータセンター施設のイメージ。HP POD数台による小規模なものから、10台以上の大規模なものまで、さまざまな規模に対応できるという。

 HP PODは、米国では2008年10月から提供され、製造や政府機関、研究、通信、ハイパフォーマンスコンピューティングなどの分野で20社、40台以上の導入実績がある。国内では高密度・高効率という特徴を生かし、短期間で施設を拡充したいというデータセンター事業者や米国でみられるような業種・業態の企業、また、地方自治体での利用を想定している。

 日本HP 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏は、「例えば、自治体では遊休地にHP PODを設置して250台のサーバで使用すれば、500Mバイト容量の電子メールサービスを50万人に提供できるようになる。クラウドや公共サービス、被災地復興などの観点でもお役に立てるのではないか。将来的に全ての都道府県に設置されることを目指したい」と語っている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ