ニュース
» 2011年08月15日 08時48分 UPDATE

Weekly Memo:災害対策に向けたバックアップの勘所

シマンテックが先週、中堅・中小企業の災害対策に向けたバックアップ手法に関する記者説明会を行った。その内容を基に、バックアップの勘所について考えてみたい。

[松岡功,ITmedia]

シマンテックによる段階的なバックアップ手法

 「約半数の企業はデータの60%しかバックアップを実施していない」

 「週に一度またはそれ以上の頻度でバックアップを実施している企業は半数以下」

 「毎日バックアップを実施している企業はたったの23%」

 シマンテックが最近、独自に行った中堅・中小企業のバックアップ利用状況の調査では、こんな結果が明らかになったという。これをして同社は、「中堅・中小企業のバックアップは徹底されていない」と訴えた。

 また、データの種類についても、企業の31%が電子メールを、21%がアプリケーションデータを、17%が顧客データを、バックアップしていないと、バックアップが不完全であることを指摘した。

 記者説明会に臨むシマンテックの浅野百絵果プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ 記者説明会に臨むシマンテックの浅野百絵果プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ

 こうしたことから、シマンテックの浅野百絵果プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャは、同社が8月10日に開いた記者説明会で、「災害発生時には44%の中堅・中小企業が40%以上のデータを失う危険性がある」と警鐘を鳴らした。

 そこで浅野氏は、中堅・中小企業でも限られた時間やコストの中で取り組みやすいバックアップ手法を活用した災害対策として、次の5つを挙げた。

 1つ目は「テープなどの可搬メディアを遠隔地に保管する」ことである。テープバックアップなどは最も手軽に始められる手法だが、テープの搬送コストや保管場所の維持コスト、搬送時のセキュリティ、リカバリ時間が長くなるといった問題点もあるという。

 2つ目は「重複排除を使って遠隔地にバックアップする」ことだ。テープの問題点を克服する手段となるネットワークを経由したバックアップである。業務サーバのデータを遠隔地に設置したストレージにバックアップするものだ。ただし、ネットワークバックアップには、ネットワークの信頼性が低い場合にデータを確実にバックアップできないといった問題点があるとしている。

 3つ目は「重複排除でのバックアップデータの複製」である。ネットワークバックアップの信頼性を高める方法の1つで、バックアップサーバ側で重複排除することにより、ストレージ使用量の大幅な削減が可能となる。そして異なる拠点にあるストレージに重複排除されたバックアップデータを複製するものである。ただし、この手法では、データセンターや地理的に離れた拠点が必要となり、ストレージも2つ以上用意する必要があるという。

 4つ目は「クラウドストレージへのバックアップ」である。バックアップデータをクラウドストレージ上にコピーすることで、災害に備えたデータの退避が可能になる。ただし、クラウドストレージには、データの保全が自社内で完結しないことへの不安などが問題点としてあるという。

 これら1つ目から4つ目までは、段階的な取り組みとなっている。

 そして、5つ目は「小規模および拠点のPCとサーバのバックアップ」である。データも含めたシステムを丸ごと可搬性のあるメディアにバックアップするというもので、4つ目までは異なった取り組みである。

 シマンテックでは、これら5つのバックアップ手法それぞれに対応製品を用意している。その内容については関連記事に表組みで整理されているので参照いただきたい。

バックアップは単にITだけでなく経営の話

 一方、バックアップについては、こんな指摘も耳にしたので紹介しておきたい。

 「災害対策としてのバックアップについては、とにかくデータをすべてとっておけばいいという安易な考え方があるが、データだけ守っても実際にそれを扱う人が出社できなかったり、ホストコンピュータが使えなくなれば、業務の継続は不可能になる」

 こう語ってくれたのは、事業継続マネジメント(BCM)分野に詳しい経営コンサルタントである。

 では、どうすればよいのか。その経営コンサルタントによると、例えば、東京と大阪に拠点がある会社で、東京をメインとして大阪にバックアップの仕組みがあるとすると、緊急時のみにバックアップを使うのではなく、日頃から大阪で東京の取引の処理を2〜3割行い、東京でも大阪の取引の処理を2〜3割行うというように互いに補完し合っておくと、どちらかが大きな打撃を受けても、ある程度の業務はすぐに続けられる態勢がとれるという。

 そしてこう強調する。「業務を引き継いだ直後はパフォーマンスが多少落ちても、災害などの非常事態を乗り切るためには、単純なデータのバックアップだけではなく、お互いの業務をカバーし合えるような拠点間のバックアップシステムを構築しておくことが肝要だ」

 つまり、事業継続の観点からいえば、バックアップすべきなのはデータだけでなく、業務そのものもだ。この経営コンサルタントの話は、対象としては中堅規模以上の企業になるかもしれないが、中小企業にとってもバックアップすべき必要なものは何か、を考えるだけでも業務改善・改革につながるのではないか。そう考えると、バックアップは単にITだけでなく、経営の話だととらえるべきだろう。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ