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» 2011年09月16日 08時00分 UPDATE

NTTドコモの顧客サービスは震災の危機をいかに乗り越えたか (1/2)

東日本大震災の発生直後、多くの企業が業務の停止を余儀なくされた。NTTドコモが仙台に持つコンタクトセンターもその1つだ。しかし、わずか1週間後にはほぼ通常通りのカスタマーサービスを提供するまでに復旧した。

[伏見学,ITmedia]

 企業にとって多くの顧客を獲得することは市場競争を勝ち抜く上で不可欠だといえるが、例えば、ある商品やサービスに対して顧客の数が多いほど、カスタマーサービスは多様化し、複雑になる。そのために企業はコンタクトセンターを設けて、エージェント(オペレーター)を配備し、顧客からのいかなる問い合わせにも対応できる体制を築かねばならない。

 日本最大のモバイル通信キャリアであるNTTドコモも、そうした企業の1社である。2011年8月現在の携帯電話・PHS契約数は5879万件で、この数字は日本における契約数全体の半数近くに上る。このような状況に対応するために、NTTドコモでは、コンタクトセンターを全国に設置。総合案内から、料金問い合わせ、外国語サポート、盗難・紛失など、内容に応じて複数のセンターに分かれている。基本的な営業時間は午前9時から午後8時までだが、例えば、携帯電話の紛失など緊急性を要する問い合わせについては、夜間も含めて24時間対応する。

NTTドコモ 情報システム部 顧客システム担当 担当課長の大原淳史氏 NTTドコモ 情報システム部 顧客システム担当 担当課長の大原淳史氏

 これらのコンタクトセンター業務を支えるシステムとして、NTTドコモでは10年間にわたり、あるCTI(Computer Telephony Integration)システムを利用しており、各センター(計32カ所)に個別でシステムを設置していた。しかしながら、各システムの横連携はなく、顧客対応もセンターがある地域ごとに限定していた。その背景には、NTTドコモ東北、NTTドコモ関西といった具合に分社化しており、それぞれが事業展開していたという点が大きい。

 そうした中、状況は一変する。NTTドコモは2008年7月に全国の地域会社9社を統合。このような組織改革に前後して、2007年末、保守サポートの終了が迫っていたコンタクトセンターの基盤システムを刷新、コンタクトセンター全体のシステム構成も大幅に手を加えるべく、新システムの検討をスタートした。

 新システムの採用にあたっては、拠点集約やシステム集約が念頭にあったため、NTTドコモの企業ビジョンに合わせて柔軟に発展できるシステムが必須だった。加えて、さまざまなシステムを組み合わせて利用していたため、マルチベンダへの対応も重要なポイントだった。

 こうした条件を基にベンダ各社にRFPを要望したところ、4、5社から回答があり、最終的にGenesysのシステムを選択した。NTTドコモ 情報システム部 顧客システム担当 担当課長の大原淳史氏は採用理由について、上記の条件に加えて、「7000席を超える規模のコンタクトセンター構築を検討しており、Genesysはその拡張性にも対応できたことが大きい」と振り返る。

各地域のコンタクトセンターを集約

 新システムは、Genesysのプラットフォーム製品を基盤に、ルーティング(電話の割り振り)機能はGenesys、PBX(構内電話機)およびIVR(音声自動応答)はNEC、通話録音装置はVERINT、ワークフォース管理はP&Wソリューションズの製品を搭載した。加えて、東京にあるデータセンターにすべてのサーバを集約しているため、コンタクトセンター側には通話機とシステムの操作マシンがあるだけだという。

 1年強のシステム構築、導入期間を経て、2009年7月に四国地域のインフォメーションセンター(総合受付センター)で新たなシステムが稼働。これを皮切りに、2010年9月には、すべてのセンターを新システムにリプレイスした。

 新システムの導入によって、目標としていた拠点の集約も進んだ。カスタマーサービスのメインとなるインフォメーションセンターは、これまで全国14カ所に設置していたが、現在は10カ所に集約。問い合わせなどのコールの約半数を処理する中央地域(関東甲信越)については、6カ所から東京、長野の2カ所に集約した。

 ただし、拠点集約によって業務効率が低下してしまっては意味がない。システム刷新前にはインフォメーションセンター全体で年間2100万コールを処理していたところ、刷新後には2500万コールまで処理できるようになった。

「新システムの導入によって、コンタクトセンターを集約しコスト削減を実現しただけでなく、業務パフォーマンスを大幅に向上することができた」(大原氏)

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