【第3回】消費者に対し、率先して行動せよカスタマーサービスの未来(1/2 ページ)

不要なダイレクトメールばかりで、本当に欲しい情報はまったく来ない。そんな経験をしている消費者は多いはず。今回は、こうした不満から解消される世界をご覧に入れましょう。

» 2011年09月29日 08時00分 公開
[伊藤滋伸, 飯塚純也,ジェネシス・ジャパン]

 的はずれな商品案内はたくさん来るのに、自分が興味を持っていたり、必要だったりするような情報はまったく来ない。そんな案内にうんざりしていませんか。皆さんがうんざりしているということは、企業にとってはビジネスチャンスを失っていることを意味します。

 今回は、必要な時に、必要な情報を、適切なチャネルやメディアを使って案内してくれる、そんなかゆい所に手が届く提案力を持った未来型カスタマーサービスを紹介します。


学内のコンシェルジュ

 やあ、僕は20XX年春に入学したばかりの大学生さ。なに、君たちは2011年からやってきたって? へえ、僕たちの生活をのぞいてみたい?

 そうだな、どこから紹介しようか。やっぱり僕の通っている学校からだね。僕の通う大学はとても生徒に対するケアが充実しているんだ。大学には「エデュケーションセンター」というサービスセンターがあって、ここが大学に関するすべてのサービスを提供してくれるんだ。僕達の世代は昔と比べて人数が少ないから、大学としてもほかの大学と差別化したサービスを提供する必要があるんじゃないかな。

 どんなサービスがあるかって? 休講のお知らせが届くメール配信システムくらいは君たちの時代にもあるだろうけど、より個人認証を深めた結果、個人コンシェルジュに近くなっているんだ。そもそもメールは、ほかのサービスの登録時に必要なくらいで、ほとんど使ってないけどね。僕たちにとってはこのサービスはとても心地いいもので、大学生活を送るにはもう欠かせなくなっているよ。

 ほら、このデバイスが大学のシステム内で認証されているので、さまざまな通知がこれに届くってワケさ。例えば、自分が選択している教科の休講、補習、サークル活動のアップデート、ゼミのお知らせ、学費の払い込みなどの情報だ。それに、履修した教科のログや先生から渡される宿題もこのデバイスに配布されるから、ダウンロードして提出(アップロード)したかどうかも、すべて把握される仕組みなんだよ。

 では、少し街に出てみようか。(メロディーが流れる)おっと、ちょっと待って(デバイスを確認する)。友人たちとよく行く近所のパスタ屋で、今日、大盛りのサービスがあるってさ、行ってみよう!

地域ネットワークとも連携

 僕たちの大学は地域ネットワークとも連携しているから、僕らが公開している行動範囲の中で何かアップデートがあると、このデバイスに知らせてくれるよう設定してあるんだ。「ジオフェンシング」での認証だから、旅行したりして、この地域内にいないときは通知がこないようになっているんだ。君だって日常の行動範囲から遠く離れたレストランのクーポンなんて必要ないでしょう?

 さらに賢いのは、ランチに関する情報は、キャンパスの外に出たタイミングだったり、お昼近くに通知が飛んでくるんだ。余計におなかが空いちゃうよね。

 そうやって毎日チェックインしていると、こういった街の生の情報が飛んでくるので、とてもこの街に思い入れが強くなるんだ。大学を卒業した人たちがまたいつここを訪れても、認証さえすれば、地域は在学中と変わらぬサービスを提供してくれるそうだ。

 最近はそうした地域サービスが増えてきているおかげで、旅行で知らない街に行ったときだって、このデバイスからゲストとしてチェックインすれば関連情報がダウンロードでき、オススメの店だってすぐ把握できるようになってきているよ。

自動音声や映像サービスで予約を

 ふぅー、パスタ、おいしかったねぇ。(再びメロディーが流れる)おっと、音声リマインダだ。

「(機械音声)○○様、△△歯科からのお知らせです。本日16時より予約を承っております。変更がなければそのまま通話をお切りください。変更する場合は希望の日時をお伝え下さい」

 そうだった、今日は歯医者の予約が入っていたんだっけ。ちょっと遅れそうだし、18時に変更させてもらおう。

「(機械音声)本日18時ということでご予約の変更を承りました。ほかにご要望はございますか?」

「いいえ」

「では来院をお待ちしております。ありがとうございました」

(メロディーが流れる)

「(機械音声)○○様、ご予約いただいている□□レストランです。明日のディナーメニューですが、2種類のコースをご用意できます、どちらにいたしましょう? 映像にて確認しますか?」

「はい(ビデオアプリケーションに切り替わる)。んー、こっちで(タッチして選択)」

「承りました。では、ご来店お待ちしております」

 さてと、では、僕はこのへんで失礼するよ。彼女と約束があるんでね。大丈夫、明日が彼女の誕生日だってことくらい覚えているよ(本当は先週、リマインダ通知が届いたんだけどね)。


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