IIJが海外事業を強化、アジア地域でサービス拡大へ

IIJグループが日系企業のグローバル進出拡大を背景に、アジア地域でのネットワークおよびクラウドのサービス展開を強化する。

» 2011年10月14日 20時05分 公開
[國谷武史,ITmedia]
会見するIIJの鈴木幸一社長

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月14日、同社グループの海外事業戦略説明会を都内で開催し、アジア地域でのネットワークおよびクラウドのサービス展開を強化すると発表した。IIJ代表取締役社長の鈴木幸一氏は、「4〜5年後に100億円規模の売り上げにしたい」と表明している。

 同社は2010年に米AT&Tの日本法人AT&Tジャパンから事業を買収し、100%子会社のIIJグローバルソリューションズを設立。米国でバックボーン回線の運用やネットワークサービスを展開する現地法人のIIJ Americaとともに、グループとしての海外事業基盤の強化を図っている。

 鈴木氏は、「1990年代後半にもアジア進出を試みたが、期待ほどインターネットが普及しなかった。近年にネットの普及が進み、最近ではクラウド技術の広がりをみせる。日系企業の海外進出も本格するので、こうした企業や現地企業の需要を取り込みたい」と述べた。

 IIJグローバルソリューションズは、10月にタイ・バンコクに駐在員事務所を開設。2012年2月には中国・上海に100%出資の子会社「IIJ Global Solutions China」も設立する予定。また、2012年度以降に東南アジア諸国で現地法人や駐在員事務所を順次開設する計画だという。

 同社が中心となって海外の通信事業者や進出先の有力なシステムインテグレターとの協業も進め、日系企業や現地企業の通信基盤の構築・運用を支援する。また、「必要があればM&A(企業の合併・買収)も手掛けたい」(鈴木氏)とした。

 顧客向けサービスでは提供中の「グローバルネットワークアウトソーシングサービス」に加え、同日から国際インターネットVPNサービス「Net de! World」を開始した。同サービスは世界200カ国以上で利用でき、機器の設置から保守までをIIJグローバルソリューションズが手掛ける。このほか、SaaS型のIT資産管理サービス「GLASS」やビデオ会議サービスも順次展開していく。

 またクラウドサービスでは、パブリッククラウドの「IIJ GIO」を海外で展開する計画。既に米国では2月からホスティングサービス、8月からプライベートクラウドサービスの提供を始めており、2012年以降は中国や欧州でも順次開始する予定である。

 海外事業での顧客企業数は、ネットワークサービスで30社程度、クラウドサービスで40社程度。ネットワークサービスについて鈴木氏は、早期に現在の10倍の規模にしたいという。顧客の業種別では製造系や通信サービス系が多いが、オンラインサービス系や金融系を中心に利用拡大を見込んでいる。

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