2012年のクラウドトレンドを予測するクラウド ビフォア・アフター(3/3 ページ)

» 2012年01月10日 11時32分 公開
[林雅之,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

予測2:クラウドが多くの業界に広がる

 コストの削減や事業の効率化、アウトソーシングのニーズや事業継続性の重要性からクラウド導入を検討する企業が増加しており、2012年のクラウド市場は成長基調が予想される。セキュリティの不安は今まで導入をためらう理由の1つであったが、データの分散保存や暗号化、VPNなどのセキュアなクローズドネットワークなどの技術やサービスが進展することにより、パブリッククラウドに機密情報を預けるケースが今後は増えていくだろう。

 また、個人が所有するスマートフォンやタブレットを業務に利用するBYOD「Bring Your Own Device」という考え方が本格的に企業に浸透し、LTE(Long Term Evolution)の提供エリア拡大など、ワイヤレスブロードバンド普及に伴い、モバイルクラウドが本格的に普及する年になると予想される。

 今後さらなる成長が見込まれるのは、ソーシャルゲームやECサイト、そして電子書籍やスマートテレビなどのコンシューマ向けのサービスだ。特に、タブレットでショッピングをするタブレットコマースが本格的に普及すると考えられる。これらのサービス拡大やユーザーの利用頻度に合わせて、サービス提供事業者がクラウドを採用する流れが加速すると予想される。特にソーシャルゲームは海外市場へのサービス展開に注力しており、国内におけるクラウド事業者の海外展開を後押しすることにもなるだろう。

 自治体や医療、教育などの公共分野のサービスにおいても、システムを共通利用できる部分の多い公共サービスのクラウド化が進むと予想される。また、震災からの本格的な復興にむけての活用や、スマートシティやスマートコミュニティの環境整備においてもクラウドの導入は必要不可欠となる。クラウドの発展系の1つとして、膨大なデータを処理分析するビッグデータの議論も本格化する年になるだろう。

 2012年は、クラウドのオープン化が進展し、さまざまな業界でクラウドへの評価が高まり、国民の生活基盤やビジネスを支える重要な社会サービスやビジネスインフラとしてのクラウドの位置付けが益々強くなる年となるだろう。

著者プロフィール:林雅之(はやしまさゆき)

 林雅之

国際大学GLOCOM客員研究員(ICT企業勤務)

ITmediaオルタナティブ・ブログ『ビジネス2.0』の視点

2007年より主に政府のクラウドコンピューティング関連のプロジェクトや情報通信政策の調査分析や中小企業のクラウド案件など担当。2011年6月よりクラウドサービスの開発企画を担当。

国際大学GLOCOM客員研究員(2011年6月〜)。クラウド社会システム論や情報通信政策全般を研究

一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 総合アドバイザー(2011年7月〜)。

著書『「クラウド・ビジネス」入門


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ