5分野への注力で業績拡大を狙う、SAPジャパンが2012年の事業戦略を発表

「分析」「モバイル」「アプリケーション」「データベースおよび技術」「クラウド」の5つを注力分野に掲げる。

» 2012年01月31日 18時40分 公開
[國谷武史,ITmedia]
安斎富太郎 代表取締役社長

 SAPジャパンは1月31日、2012年の事業戦略方針に関する報道機関やアナリスト向け説明会を開き、代表取締役社長の安斎富太郎氏が2011年の事業動向と2012年の施策などを紹介した。

 まずSAP全社の2011年通期決算は、ソフトウェア関連の売り上げが前期比25%増の39億7000万ユーロ、インメモリデータベース製品「SAP HANA」が1億6000万ユーロ以上、Sybaseなどのモバイル関連が1億3000万ユーロ以上となり、過去最高の業績を記録。SAPジャパンの業績では、売上高が円ベースで前期比15%増の約680億円規模になり、ソフトウェア関連で同31%増、ビジネスアナリティクス関連で同50%増の成長を達成した。

 安斎氏によれば、ERPなどのアプリケーションとそれ以外の分野の売上構成比を、当初は60対40と見込んでいたが、実績では45対55という結果になった。特にSAP HANA関連の販売が順調に立ち上がり、「全社に対する日本の貢献度はソフトウェアでは4%ほどだが、SAP HANAは8%以上。1000人規模の専任チームによる営業強化に加え、シャープでの導入事例のように、膨大な業務データを経営に活用したいという企業ニーズを獲得できた」(安斎氏)と、今後の成果に期待感を表した。

 ERPなどのアプリケーションも2けた成長を達成し、これに連動する形でBusinessObjectsなどのビジネスアナリティクス製品の導入が急拡大しているという。

 2012年の事業戦略では「ビジネスアナリティクス」「モバイル」「アプリケーション」「データベースおよび技術」「クラウド」の5つを注力分野に掲げ、2015年をゴールとする中期計画の達成を狙う。同計画の目標は、(1)売上高200億ユーロの達成、(2)オペレーティングマージン35%達成による研究開発投資の増強、(3)10億ユーザーの獲得、(4)クラウド関連で20億ユーロの達成、(5)データベース市場の成長率1位の達成――の5つ。

 各分野の取り組みは、ビジネスアナリティクスではBusinessObjectsとSAP HANAやモバイル製品との連携強化によって“リアルタイム経営”ソリューションを拡充する。モバイルではSybase製品やモバイル管理プラットフォームの導入促進と、100種類以上のモバイルアプリケーションの提供に取り組む。アプリケーションでは導入から運用開始までを短期で実現する「Rapid Deployment Solutions」を提供。データベースおよび技術ではSybase製品とSAP製品との統合を推進し、クラウドではパートナーとの協業を拡大する。「データベースやクラウドでもSAPが市場をリードする存在になることを目指す」(安斎氏)という。

 これらの取り組みの中ではSAP HANAが中心的な立場を担うとしている。上記の5分野でSAP HANAをソリューションの基盤に位置付け、ERPでもSAP HANAを基盤としていく方針。「既存製品のサポートを2020年まで延長しており、ユーザー企業がSAP HANAによる新たな基盤へ円滑に移行できるようにしたい」と安斎氏は述べた。

 パートナー施策では新規事業の共同開発や協業の推進、認定コンサルタントの増強に注力する。特に認定コンサルタントは2011年時点で約8000人規模となり、2012年はさらなる増員を図る。チャネル販売でもソリューションパッケージの販売拡大を図り、20%程度の売り上げ構成比を2015年には40%台に引き上げたいとしている。

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