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» 2012年02月13日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:企業のIT投資は回復するか

企業のIT投資は今後どう推移するのか。最新の調査やITベンダーの見方から考察してみたい。

[松岡功,ITmedia]

2012年度のIT予算は増加傾向

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が先頃、ITユーザー企業の投資動向などを調べた「企業IT動向調査2012」の速報値を発表した。それによると、2012年度のIT予算が前年度より増加する企業の割合は38.1%で、減少する企業(30.0%)を上回った。

 内訳は「10%以上増加」が24.2%(前年度25.9%)、「10%未満増加」が13.9%(同15.5%)、「不変」が31.9%(同23.3%)、「10%未満減少」が13.4%(同13.9%)、「10%以上減少」が16.6%(同21.5%)。

 この結果、IT予算が「増加」する割合から「減少」する割合を差し引いて求めたDI(ディフュージョン・インデックス)は8.1ポイントで、2011年度の6.0ポイントから微増した。

企業規模(従業員数)別にみたIT予算の増減(出典:日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2012」速報値) 企業規模(従業員数)別にみたIT予算の増減(出典:日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2012」速報値)

 こうした動きから、2012年度のIT予算は増加傾向にあるとみられるが、内訳をみると「不変」の割合が増えたことがDIを押し上げた要因になっており、まだまだ慎重な企業が少なくないともいえそうだ。

 業種別では、すべての業種で2012年度のIT予算のDIがプラスあるいはイーブンになった。DIが最も高かったのは、運輸や電機・ガス・水道、通信などの業種で構成される「重要インフラ」。DIは48.1ポイントで、前年度の18.5ポイントを30ポイント近くも上回った。

 DIがマイナスからプラスに転じたのは、「建築・土木」(2012年度予測は5.6、2011年度は▲11.1)。マイナスからイーブンに戻ったのが、「素材製造」(同0.0、同▲2.3)と「金融」(同0.0、同▲18.2)。「機械製造」(同5.1、同7.0)、「サービス」(同3.3、同23.6)では、DIはプラスを維持しているものの前年度よりポイントを落とした。

 従業員規模別では、従業員数が「300人未満」の企業でDIが改善した(図参照)。「300人未満」における2012年度のDIは12.7ポイントで、2011年度(3.4ポイント)を大きく上回った。

 内訳をみると、「300人未満」の企業の34.9%はIT予算を「増加」、43.0%が「不変」、22.2%が「減少」と回答している。「300人以上1000人未満」のDIは2.6ポイント(2011年度は5.7ポイント)、「1000人以上」は9.5ポイント(同9.5ポイント)だった。

 今回の企業IT動向調査は2011年10月から11月にかけて実施され、IT予算に関する有効回答数は433社。ここで意味するIT予算は、開発費(ハード・ソフトの調達費用、外部委託費、社内人件費など)と保守・運用費(ハード・ソフトの保守費、外部委託費、社内人件費など)の合計である。JUASでは最終的な集計結果を5月に公表する予定だ。

期待が高まるシステム更新需要

 経済アナリストなどによると、日本経済は今後、欧州景気減速の影響や円高により輸出や生産面で弱い動きがしばらく続くものの、震災の復旧・復興需要などにより今年後半から企業の設備投資も緩やかに持ち直すという見方が主流のようだ。

 ただ、IT投資の現状はまだまだ厳しいようだ。富士通の山本正已社長は、1月31日に同社が開いた2011年度第3四半期決算発表の席で、「国内のIT投資は、震災以後アウトソーシングやBCP(事業継続計画)対応などクラウドサービスの利活用に対する関心の高まりはあるものの、景気の先行きに対する不安感などから慎重姿勢が続いており、本格的な回復に至っていない」と語り、「2012年度もしばらく厳しい状況が続くだろうが、力強く立ち向かっていくしかない」と決意を新たにしていた。

 今後の見通しでは、大塚商会の大塚裕司社長が、2月1日に同社が開いた2011年12月期決算発表の席でこう語っていた。

 「企業のIT投資は今後、慎重さを伴いながらも底堅く推移するとみている。具体的には、西暦2000年(Y2K)問題対応のために導入したシステムの更新需要2巡目、IPv6対応などによる買い換え・更新需要、モバイル端末の活用などによるIT市場の活性化や新たな市場の創出が期待される」

 大塚社長はさらに、システム更新需要についてこうかみ砕いて話した。

 「Y2Kにまつわる2巡目のシステム更新需要は、実は2011年に大きなうねりとなって来るとみていたが、それがまだ来ていない。加えて、まだ多くの企業がクラウアントOSにWindows XPを使用しており、Windows 7への移行が進んでいない。そうした状況から、今年はY2K関連とクライアントOSの移行をきっかけとしたシステム更新需要が重なって来るのではないかと期待している」

 ちなみに、大塚商会ではY2Kの最初の更新需要を迎えた2005年から2006年にかけて、2年間で約100万台のパソコンを販売したという。また、クライアントOSについて同社の見立てでは、国内企業の約8割がまだWindows XPを使用しているとか。それらの更新需要が重なると、同社にとっても大きなビジネスになるのは明らかだ。

 大塚社長はこのほかにも、省電力パソコンやサーバの導入、サーバの統合化、省電力機器の導入など電力使用量削減や、バックアップサービスやクラウドなどのデータセンター利用によるBCP対策に向けた企業ニーズは大きいという見方を示した。

 JUASの調査結果と大塚社長の発言を重ね合わせてみれば、中小企業のIT投資にも大いに期待できそうだ。求められるのは、ユーザーニーズを捉えたベンダー側のソリューション提案である。

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