ここまで紹介した以外にも数多くのデータがある。
一番下のケースでは日本は先進国の中で最も“罪意識”が軽いのではないだろうか。筆者が知るある会社ではニューヨーク支店のある社員がアダルトサイトを閲覧し、その行為を現地採用の社員に見つかった。裁判として起訴され、確か禁固20年を求刑された。日本で重要視されていない事案の一つに「児童ポルノ」の閲覧と収集がある。アダルトサイトを閲覧していた社員のコンピュータをフォレンジック調査したところ、彼が収集したファイルの中に明らかに児童ポルノ画像と認定できるデータが幾つか見つかった。日本なら、たぶん笑って済ませていたかもしれない。彼は副支店長という立場にあった。部下は笑うしかなかったようだが、それが許される(?)のは日本だけである。
「売上金100万円を使い込んだ」といったようなケースは、読者も想像しやすいと思うが、「懲戒解雇」だけで70.6%、「論旨解雇」を含めると88.9%にもなる。
ここまでコンプライアンス違反した場合の処罰の実態を紹介したが、これらの処罰の実態は年々変化している。処罰の内容は世論や法律改正によって大きく変容するものであり、本稿で紹介した実態は参考資料としていただければ幸いである。
自分自身の感性は周囲の人間の感性とは違うものである。常にどういう基準が現在の行動規範になるのかを、よく見極めてから行動することが求められるのだ。
一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、ネット情報セキュリティ研究会相談役、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。
情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、一般企業へも顧問やコンサルタント(システムエンジニアおよび情報セキュリティ一般など多岐に渡る実践的指導で有名)として活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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