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» 2012年03月09日 08時00分 UPDATE

えっホント!? コンプライアンスの勘所を知る:電話の相手はクレーマーだった――あなたはどう対応すべきか (1/2)

零細企業から大企業まで共通して悩まされる問題の1つに苦情電話がある。今回はコンプライアンスの視点からその対応について考えてみたい。

[萩原栄幸,ITmedia]

 苦情電話などに対応するのは、「お客様相談室」と呼ばれるような専門部署である。通販業者をはじめ生活雑貨を扱うような企業では苦情が多いことから専門部署を持つところが多いが、比較的大手の会社でも専門部署があるところは少ない。特に中小零細企業や自治体は特定業種を除きほとんどない。こうしたところでは代表番号に苦情電話があると、とりあえずはコンシューマー向け部署に応対を任せるケースが一般的だ。数ある電話の中では少数だが、「クレーマー」、もしくはそれを匂わせる内容の強硬な苦情が来た場合、あなたはどう対応すべきだろうか?

わがままな消費者、利用者、保護者

 「モンスター・ペアレント」「モンスター・チルドレン」という言葉は、実態を100%反映しているとは思えないが、社会に接していると明らかに自己中心的な人たちが急増しているのを否応なく目にする。

 米国の場合は徹底した訴訟社会であり、学校や企業などには必ずといっていいほど顧問弁護士がいる。個人でも顧問弁護士を抱えている場合が多く、日本のように訴訟自体が大きな事件と思う社会風土ではなく、弁護士同士で物事の解決を図るのがごく一般的な日常なのである。

 今の日本において一部ではあるが、極めて「自己中」な「個人」が確実に存在する。そうした人を怒らせず、円満に、しかも金銭を伴うことなくクレームをどう収束させるのか――コンサルタントをしていると、どこの企業でもこの問題に苦慮しているのを痛感する。

 「子供が万引きしたのは、そういうスキを作っている店に非がある」「弁償すれば良いのだから警察を呼ぶな」「学芸会で自分の子供をお姫様役にさせないのは先生の横暴だ」などのクレームはまだ良い方だが、数年前には子どもの親の執拗なクレームによって埼玉県にある保育所の女性所長が自殺に追いこまれた事態まで発生している。

 こういう社会情勢であり、企業や団体にはさまざまなクレームが舞い込んでくる。大半はまともな内容であり、誠心誠意に対応をすべきではあるが、どうみてもクレーマーが小遣いほしさに難癖をつけているとしか思えないようなことがある。

 そういう電話を偶然にもあなたが受けたら、どう対応したら良いか。ただ本稿ではクレーム処理のノウハウをお伝えするつもりはなく、あくまでコンプライアンスの視点から解説することをご理解いただきたい(機会があればクレーム対応方法についてもお伝えしたい)。

実際にあった対応

 ある中堅の食品製造会社にクレームが入った。お客様窓口として専用の電話回線を用意しており、食品のパッケージにも記載はしている。だがこの不況もあって、実際には兼任の課長とクレーム担当者の2人しかいなかった。担当者が席を外していたり休んだりしている時は課長が担当していた。だがその時は、偶然にも担当者が休暇で課長も緊急会議に出かけて不在だった。仕方なく、総務部に在籍する入社2年目の女性社員がクレームの電話を受けた。

 詳細な内容は割愛するが、その時彼女は、最初の電話での対応とその後の粗暴で乱暴な言葉使いから相手をクレーマーと判断をした。録音された内容を分析しても、そう感じるのも無理はなかった。最初から相手はけんか腰であり、「誠意を見せろ」の一点張りであったのだ。交渉や妥協点を探る言動に関しても一切聞く耳を持たなかったのである。

 クレーマーだと判断した彼女も、最初のうちは冷静に対応していた。だが、だんだんと感情が先走り、「クレーマーはお客様ではない」「こうまでしてお金がほしいと考える人は身を滅ぼす」という話をはじめた。クレーム処理は全くの不慣れで、経歴の浅さも手伝い、彼女は相手と同じように乱暴な口調になってしまった。

 こうなると周囲もその異常な様子に気が付き、彼女に電話を交替するよう指示を出した。しかし彼女は、「今回の件は無かったことにしてあげるから、警察沙汰になる行為は二度と慎みなさい!」と捨て台詞を吐いて電話を切ったのであった。

その後……

 数日ほど経緯を見守ったが、幸いにもクレーマーからは何の報復もなかった。(その後も半年ほどは警戒していたが、結局は何もなく、幸いだったといえる)。

 一方、彼女は「感情的になって申し訳ございません」と当初は多少後悔したようであったが、結局は何事もなかったことに、「クレーマーにはガツンと言ってあげないと。変に下手に出て対応するから付け上がるのよ! 私は間違っていない」と友人たちにふれ回り、いろいろな場所で話題にして盛り上がっていたようである。

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