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» 2012年03月22日 08時30分 UPDATE

松岡功のThink Management:プロセス指向の考え方を養おう

今回は、マネジメントのベースとなるプロセス指向の考え方について紐解いてみたい。

[松岡功,ITmedia]

なぜプロセス指向の考え方が大事か

 このところ、間接業務を外部委託するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を中国など海外向けに進める動きが活発化している。

 BPOを利用することにより、自社の競争力の中核となる重要な業務に人材や資源を集中できるほか、中核でない業務に固定的に張り付いていた人員や設備などを変動費化し、企業規模や業績に応じて柔軟にコントロールすることができるようになるからだ。

 ただ、今のところBPOを利用しているのは、海外で広く事業展開している大企業が多く、その裾野が広がっていくのはこれからだ。

 BPOを利用する際にはまず、委託先がどこかにかかわらず、「業務の切り出し」という作業が重要になる。どの業務が切り出せて委託でき、何ができないのかを切り分ける作業である。

 とくに間接業務の場合、日本の業務内容は複雑なケースが少なくない。人事や総務などで明文化しにくい慣行があってルールが定型化されていなかったり、属人的な経験に依存していたりする業務に心当たりがある企業は多いだろう。

 しかし、定型化できないといって放置していては、委託できる作業が減るのに加え、効率的なマニュアルも作れず、先に述べたBPOのメリットを生かせない。切り出せない業務をできるだけ小さくすることがミソとなる。

 そうして切り出された業務が機能的につながったものが、ビジネスプロセスである。このプロセスを重視する考え方が、マネジメントのベースにある。つまり、プロセス指向の考え方を養うことが、マネジメント力の強化につながるのである。

 この点について、かつて日米のマネジメント事情に詳しい経営コンサルタントから聞いた話が印象深かったので、紹介しておこう。話の内容は、日米の教育の違いである。

プロセス指向における日米の教育の違い

 聞くところによると、米国では小学校から、結果重視ではなく結果を導き出すに至ったプロセスを重視した教育を行っているという。

 例えば、夏休みなどの宿題では、先生が子供たちにテーマを与えるのではなく、子供たち自身がテーマを決め、それを達成するための計画を立てる。そして出来上がった結果だけを提出するのではなく、結果に至るプロセスにおいて、計画に基づいて行動してみて起こった問題や、その問題に対処するために何を考え、どこをやり直してみたか、といったことの説明を求めるという。

 つまり、計画通りスムーズに進まなかったであろう宿題を完成させるというプロセスの中で、やり直しや変更の判断を自分でどう導き出したか、ということを子供たち自身に考えさせるのである。

 これはまさしく、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルに基づいて、それぞれの局面で行った意思決定の内容を自ら把握するというマネジメントに通じる教育といえる。

 さらに、プロセス指向の考え方を養う教育として、米国でよく見られるシーンといえばディベート(討論)だろう。ディベートは、あるテーマを決めて、グループあるいは個人同士が自分の思いにかかわらず対極した考え方に立ち、相手を納得させることを目的に説得のプロセスを考え、論陣を張るという学習である。

 相手の出方によって臨機応変に論議を展開しなければいけないことも、柔軟な変更を求められるマネジメントに通じるところだ。話す人間の弁舌の迫力や表情なども影響するが、第三者が冷静な目でディベートの優位性を評価するので、説得するうえでのしっかりとしたプロセスが大きなカギとなる。

 こうした米国の教育事情に対し、日本はどうか。小学校はおろか社会人になってもプロセス指向の考え方を、教育を受けて修得する機会は非常に少ない。あえてプロセス指向を学ぶとすれば、それは個々人の成功や失敗の体験に基づく多分に感性的なものである。

 そう考えると、プロセス指向の考え方を養うためには、教育面での本格的な取り組みが求められるところだ。

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