タンスの肥やしか、たなぼたか――わたしを巻き込むiPad狂想曲悲しき女子ヘルプデスク物語(2/3 ページ)

» 2012年04月17日 11時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

 せめて有効に使おうと思って積んでおいた本を「自炊」してPDF化し、iPad 2に取り込んではみたものの、それも長続きしなかった。立派な断裁機は高いから、がんばってカッターナイフで背表紙を切り取っていたからだ。ドキュメントスキャナーあるのだけれど、「背表紙を切り取る」という作業が以外に面倒。本がハードカバーだったりするとさらに面倒。しかも、一生懸命「自炊」してたくさんの本をiPad 2に入れたところで……

 読まないものは読まない。のだ。

 結局、10冊ほど自炊してギブアップ。その後はApp Storeから無料のゲームをダウンロードしたり、手持ちの楽曲をiTunes経由で取り込んだり(でかいMP3プレイヤーだ)したけれど、結局これといった使い道を見いだせないままになってしまった。

 でも今年に入ってから、そんなわたしに福音がもたらされた。わたしが勤務している会社が、特定の営業部員と役員の全てにiPadを持たせ、機動力と意思決定のスピードを向上させると、戦略的に決定したのだ。当然それに伴って、iPadのサポートも開始することになる。iPadには、社内のグループウェアにセキュアに接続するためのアプリが入れられ、どこにいても(社外にいても)会社の情報にアクセスできるようになる。言い換えれば「24時間働けー」ということだ。

 とはいえ、iPadを無くしてしまった時に備え、iPad経由でアクセスできる情報は制限されるし、無くしてしまったiPad内の情報をリモートで削除するような機能も盛り込む。また、私物のスマートフォンやタブレットを社内ネットワークに接続することも条件付きで認めるという。ただし、「無くしたらすべてのローカルデータが削除されるが、文句は言わない」という同意書にサインしなければならない。

 これでやっと、わたしのiPad 2に目的を見いだすことができた(順番が逆だけど……)。これまでも、自分が持っているタブレットを会社に持ってくる社員はいた。社内のネットワークにつながなければ、黙認してきたのだ。しかしこれで(事前申請が必要だし、条件付きとはいえ)正式に社内で自前のiPadを使える。そのかわり、私たちヘルプデスクの仕事は明らかに増えるのだけれど……。

 翌日、さっそく自前のiPad2を会社に持って行った。正式に社内ネットワークにつなげることができるのは4月からだけど、なんとなく嬉しくて持って行ったのだ。iPad 2を鞄から出すと、目ざとい友人が「さっすがあ。勉強のために買ったの? すごいねー」とやってきた。わたしが昨年の秋に買ったiPad 2は、ほとんど持ち歩いていないので、まだまだ新品同様だ。とりあえず、愛想笑いを返すわたし。だって、目的もなく買いました、とは言えないもんね、ごめんよ。

 とはいえ、業務となれば本格的に勉強しなければならない。まず社内の人たちがスマートフォンやタブレットを趣味や業務でどのように……、いや業務でどのような使い方をしているか調査をしよう。ついでに個人的な使い方も参考までに聞いてこよう。そう、あくまでも参考に。これも業務よ、業務!

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