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» 2012年05月15日 08時00分 UPDATE

田中克己の「ニッポンのIT企業」:“納品しない受託開発”をクラウドで実現したソニックガーデン (1/2)

受託ソフト開発の国内需要が減少する中、受託開発とクラウドサービスを組み合わせたような事業を展開する企業が現れた。

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 受託ソフト開発の国内需要が落ち込み続けるのに対して、クラウドサービスの利用者がますます増えている。数年以内に、クラウドサービスの比率はITサービス市場の3割を占めると言われている。そうした中で、受託ソフト開発とクラウドサービスをミックスしたような事業を展開するIT企業が現れた。ITホールディングスの中核事業会社、TISの出身者が設立したソニックガーデンだ。

弁護士のような顧問契約を交わす

 ソニックガーデンの倉貫義人代表取締役社長兼CEOは、伝統的な受託ソフト開発の方法に疑問を持っていた。ユーザー側の一括発注、IT企業側の人月ベースによる見積もりである。IT企業とユーザーのゴールが異なるようにも思えた。IT企業のゴールはシステムの納品にあり、そこに至るリスクを減らし失敗しないようにする。

 一方、ユーザーは納品されてから、初めてシステムの価値が分かる。にもかかわらず、「今、必要はないが、いずれ必要になる」と、いろいろな機能を盛り込んで発注する。後で、「こんな機能が欲しい」「ここを修正して欲しい」となると、開発の期間と費用が予定をオーバーするからでもある。「こんな程度の追加・修正なのに、料金がこんなに高いのか」と驚くことがある。開発を担当するプログラマーは修正の繰り返しで疲れて、モチベーションが下がることもある。システム構築の現場はそんな日々の繰り返しだろう。

 こうした問題を解消するために、ソニックガーデンが編み出したのが「納品しない受託開発」である。「弁護士のように顧問契約」(倉貫社長)をユーザーと交わして、IT部門のような振る舞いでシステム開発にあたる。開発したシステムは、インターネット(ITインフラにAmazon Web Servicesを利用)経由で提供する。ユーザーは月額料金でシステムを使うが、不満があれば契約を解消できる。

 ソニックガーデンが開発を請け負うのは、クラウドで提供できるものに限る。納品するオンプレミスのシステムは断る。開発と運用は分けずに、同じチームが担当し続ける。仕様変更に柔軟に対応するためでもある。例えば、2週間で要件を決めたら、直ちに開発に着手する。その間に新しい要求が出てくれば、両者で話し合いながら盛り込んでいく。アジャイル開発の手法である。

 加えて、プログラマは、ユーザーの要求が無駄なことと分かったら、追加をやめるように勧める。結果的に、システム開発における寄り道がなくなり、ユーザーが求めるものを早く作れる。ユーザーは顧問契約なので、契約内の人的資源が有限だと分かり、無意味や無駄な要求をしなくなるという。無駄な作業を依頼すれば、そこに時間を割かれるので稼働時期が遅れるからだ。こうしたコミュニケーションは直接話し合うほか、Skypeなどを効果的に使う。

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