Lyncが実現する“どこでもドア”日本マイクロソフト品川オフィス探訪(後)(3/3 ページ)

» 2012年05月16日 11時30分 公開
[米野宏明,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

コミュニケーションの効率化

 人と人のコミュニケーションは、Exchangeによるメールシステムと、Lyncによるリアルタイム コミュニケーション システムの統合でサポートしています。外線電話もLyncに統合しているので、ネットワーク接続さえ確保できれば、どんな場所にいても内線、外線電話の発着信を行えます。

 われわれはLyncによって、自分のオフィス環境における日常的なコミュニケーションをまるごと持ち運べるようになりました。

 例えば隣に座っている人に何か質問をすることをイメージしてみてください。隣にいるからといって、唐突に質問したりはしないでしょう。まず相手の様子をうかがい、話しかけてよさそうかどうかを判断します。話しかけることを決断してからもいきなり本題には入らず、「いまちょっといい?」などコミュニケーション開始の許可を打診するでしょう。話が進み、新たな疑問や新しいアイデアが出て考えが深まり、それに自分が持っている情報が役立ちそうなとき、自分のPCの画面を相手に見せて、指で指しながら会話を進めていくのではないでしょうか。

 Lyncがあれば、このような日常の会話を、離れた相手とでも対面同様スムーズに行うことができます。

 まずプレゼンス機能で相手の大まかな状況を判断します。テキスト チャットを使えば、相手の集中を妨害することなくコミュニケーション開始の許可を得たり、そのまま会話を続けたりできます。話が深まってきたら、音声やビデオ映像を追加して直接会話したり、自分のPCの画面を共有して、相手に遠隔操作してもらいながら、同じ情報に基づいた確実なコミュニケーションを取ったり共同作業したりできます。つまりLyncがあると、「オフィス環境全体」を、いつでもどこでも持ち運べ、自分が今最も生産性を発揮できる場所を、自分で選べるようになるのです。

Lyncでの会話進行例 テキスト チャットの軽い打診から、同じ情報を確実に共有しながら深いディスカッションに移ることができるのが大きなポイント。開催時間をあらかじめ決めて参加者を招集する必要がある「Web会議ツール」では、決してこのようなことはできない

 またLyncはWindows PhoneやiOS、Android に対応したLync Mobileを提供しているので、PCが利用できないシーン、例えば電車内やインターネット接続が確保できないような場所でも、通信キャリアの3G回線を利用してコミュニケーションを維持できます。これによって従業員は、社内外を問わずより気軽に移動できるようになります。

 ただしスマートフォンはまだPCの補助的なツールとして使われています。現段階では、スマートフォンの画面は日常業務処理を行うには小さすぎますし、Wi-Fiが使えない環境ではコミュニケーション維持がせいぜいでしょう。しかし今後は、Lyncの次期バージョンや新たなWindows Phoneなどとあわせて、使い方が大きく変わっていくかもしれません。


 さまざまなテクノロジーをご紹介しましたが、日本マイクロソフト社員のPC構成としては実は至ってシンプルです。

 Windows 7の上に、Lyncを含むOfficeスイートが搭載されているPC、これですべての業務をカバーしています。もちろんマイクロソフト社員は常に自社製品の最新バージョンを使っていますが、技術的に飛びぬけて特殊なものばかりではなく、大多数の企業が何らかの形で採用しているものでもある程度代替可能なはずです。つまり多くの企業では、テレワーク実現にあたっての技術的な壁は決して高いものではないのです。あとは、何を実現したいのか、そのための本当の課題は何かを正しく考えるだけです。

 とはいえ、テレワークを突き詰めた姿=誰も出社しないスタイルは本当に現実的なものなのか、不安に思う方も多いでしょう。次回は、3月19日に行った「テレワークの日」を振り返り、テレワーク成功の要件や問題点、今後の課題などを考えます。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ