ビッグデータ活用とソフトウェア投資は売上増のカギとなるか?アナリストビュー(3/3 ページ)

» 2012年05月31日 08時00分 公開
[生熊清司(ITR),ITmedia]
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売上増大へ直接貢献するためのIT活用とは何か?

 IT部門が、直接的にビジネス貢献を図ろうと考えた場合、最も近い距離にある部門の1つにマーケティングがある。マーケティングの分野には、顧客や市場に関するデータ分析、コールセンター、ウェブや電子メールの活用、Eコマース戦略などITの活躍の場が数多く存在していることに加えて、昨今のモバイル/ソーシャルに代表される新技術の重要性も注目されている。これらの重要性は、一般消費者を対象としたB2Cビジネスだけでなく、B2Bビジネスを展開する企業においても認識されつつある。

 また、市場ライフサイクルの成熟期では、コモディティ化が加速し、競争が激化することから、これを克服するためにはマーケティングイノベーションが差別化の大きな源泉になるとされている。マーケティングイノベーションとは「顧客や市場との接触や訴求において、新たな経路や手法を用いる」ことであり、ITで考えれば「ソーシャルメディアを活用した顧客ニーズの収集および情報発信、 顧客分析/キャンペーン効果分析/売れ筋分析などへのデータ分析の適用」といったものが挙げられる。

 最近注目されているキーワードに「ビッグデータ」があるが、情報の高度活用を実現するビッグデータは正にマーケティングイノベーションを実現するための1つの道具と言える。そして、ビッグデータと言えば、アプライアンス製品に代表される分散処理やメモリ処理などハードウェアの性能向上によるデータ処理の高速化によるメリットが注目されているが、重要なのはむしろソフトウェアと考える。

 なぜならば、予算さえあればだれでも高性能なアプライアンス製品を入手してデータベースの検索速度を飛躍的に向上させられるが、ソフトウェアは購入しただけではそのメリット――どのようなデータを用い、どのような分析を行い、データから価値ある情報を見つけ、実際のビジネス施策に生かすという目的を達成できないからである。

 ビジネスを活性させるためのIT活用を考えた場合、情報系システムに対する投資が必要となるようであるが、その場合、ソフトウェアをうまく活用できるか否かが1つの鍵となると思われる。次回は、ソフトウェアを活用するための条件について探ってみたい。

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