MSがWindows Azureを“パワーアップ” PaaS+IaaSで国内トップシェア狙う

マイクロソフトが過去最大規模というWindows Azureのサービス強化を実施。国内ではPaaSとIaaSを合わせた市場でトップシェアを狙うと表明した。

» 2012年06月08日 18時39分 公開
[國谷武史,ITmedia]
梅田成二氏

 日本マイクロソフトは6月8日、Windows Azureのサービスに関する報道機関向けの説明会を開き、6日に実施したサービス強化の内容や国内での事業展開などを明らかにした。

 事業動向について、業務執行役員 サーバプラットフォームビジネス本部長の梅田成二氏は、「最近の利用形態をみると新規ビジネスの立ち上げや企業のグローバル展開、アプリケーションのクラウド移行が主流になり、クラウド利用が広がっている」と説明。今回のサービス強化は過去最大規模といい、「2016年までにPaaSとIaaSを合わせた国内市場でトップシェア、数字にして20%程度を獲得したい」と表明した。

 6日に実施したサービス強化は、IaaS機能の追加、ネットワークサービスの強化、Webサイト運営の支援が柱だという。またサービス名称などのブランドも変更することになった。

 同社が「バーチャルマシン(仮想マシン)」と呼ぶIaaS機能ではWindows Server 2008 R2、Server 2008 R2とSQL Server 2012評価版、Server 2012 Release Candidate(RC)に加え、LinuxとしてOpenSUSE 12.1やCentOS-6.2、Ubuntu 12.04、SUSE Linux Enterprise Server 11 SP2による仮想サーバを利用できる。またユーザーのローカルにある仮想マシンのイメージ(VHD)をWindows Azure上に展開でき、同社が用意する以外のOSイメージも稼働できるという。

バーチャルマシンのOS選択画面

 ネットワークサービスでは「Windows Azure 仮想ネットワーク」を追加した。Windows Azureの環境にユーザーが指定したIPアドレスによるサブネットを構築するもので、ユーザーはVPNゲートウェイなどを介して自社ネットワークのサブネットをWindows Azureの環境に広げられる。

 Webサイトの開発者・運営者向けには「Windows Azure Web サイト」を提供。.NETやPHPなどのフレームワークとWebアプリケーション、データベース、開発ツール(SDK)などを管理画面から数クリック操作で指定すればWebサイトを構築できる。条件付きで最長15カ月の無償利用も可能。

 特にWebアプリケーションは、「Windows Web App Gallery」というオープンソースソフトウェアの導入支援機能と連携することで、WordPressやSugarCRMといったユーザーの目的に沿ったアプリケーションを簡単にインストールできるという。現在はテクニカルプレビューのため、英語版のみの利用だが、正式サービス時に日本語版に対応する予定。SDKはMacやLinuxユーザーにも提供する。

ユーザーの管理画面はSilverlightからHTML 5に変更されるという

 今回のサービス強化でIaaS機能を追加したことにより、ブランドを「Windows Azure Platform」から「Windows Azure」に、「SQL Azure」を「SQL Database」などに変更している。

 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部長の吉川顕太郎氏は、「既存システムのマイグレーションにも対応できるオープンなクラウドサービスとして、ユーザーに訴求していく」と述べた。

サービス強化に伴う利用価格(一部)

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