IBM PureSystemsへの対応を加速するISV

4月にIBMが世界で同時に発表した「IBM PureSystems」は、エキスパートの知見を活用することで、ITライフサイクル全体のさまざまな作業負荷を軽減、TCOの削減を可能にする。システムに最適化されたソリューションとして、IBM製品に加え、グローバルで100社以上のISV製品が利用可能だ。日本でいち早く対応した4社のISVからの声をそのソリューションとともに紹介する。

» 2012年06月29日 10時00分 公開
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 このたびIBMが満を持して市場に投入した「IBM PureSystems」は、サーバやストレージ、ネットワーク、仮想化技術などをあらかじめ統合・最適化したシステム製品「IBM PureFlex System」と、それにIBMミドルウェアを搭載しプライベートPaaS環境を提供するプラットフォーム製品「IBM PureApplication System」からなる、新たな製品ブランドの総称だ。

 その最大の特徴は、あらかじめIBMやISV(独立系ソフトウェアベンダー)のエキスパートの知見を反映した“パターン”が用意され、”パターン”を利用することで最適化されたオール・イン・ワンのシステムをすぐに利用できることである。ITライフサイクル全体を通じたさまざまな作業を軽減することで、人的コストの削減が図られているのだ。

 まず導入時には、サイジングなどの計画から、アプリケーションのインストール、設定、検証までの作業の大半を省くことができ、ほぼシステム設置だけで済むことから、稼働開始までの期間の大幅な短縮や、システム構築に要する工数の削減が期待できる。運用時には、インフラからアプリケーションまで一元化された管理コンソールで効率的に管理できるほか、仮想マシンなどのリソースの動的最適化、再バランシングなどもシステムの機能で容易に実施できるため、運用管理コストが抑えられるというわけだ。

 IBM PureSystemsを導入するユーザーは、IBMおよび提携ISVの多彩なシステムソリューションが利用可能だ。日本では既にアピウス、クラステクノロジー、ビーコンIT、ワークスアプリケーションズといったISVがIBM PureSystemsに対応したソリューションをいち早く提供しており、今後も増えていく予定だ。以下にこの4社からの声を紹介する。

ワークスアプリケーションズ 「COMPANY」シリーズ

 日本の商習慣をパッケージ上で網羅し、ユーザーごとの個別ニーズには設定のみで対応できる「ノーカスタマイズ」を特徴とするのが、国産ERPパッケージメーカーのワークスアプリケーションズだ。同社は日本企業が求める機能をすべてERPパッケージの中に盛り込んでいる。グローバル・スタンダードとなっているERPパッケージに通常含まれている機能が日本企業に適応していないため、日本企業がERPパッケージを使っても追加開発が必要となり、コストメリットが出ないという問題への抜本的な解決策だ。

 こうした取り組みから同社の主力製品「COMPANY」シリーズは、ノーカスタマイズですべて同じソフトウェアで日本の大企業約1000 社に導入され、あらゆる業務に関するお客様のニーズを吸収しながら、年数回のバージョンアップを無償で提供している。サポート業務の標準化によって、一定の保守料金のみでのサポート対応を行う「ギャランティメンテナンス・サービス」も提供する。それらにより、結果的にお客様の業務が効率良くまわり、かつ非常にローコストで運営できるようになっているのだ。

ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者の牧野正幸氏 ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者の牧野正幸氏

 こうしたコンセプトを生かし、「COMPANY」シリーズは会計、人事、Eコマース、SCMなどの分野に展開する。国内大手企業向けERP市場では31.6%(*1)、同じく人事給与システムでは53.1%(*2)と、高いシェアを誇る。

 (*1)市場占有率推移(パッケージ市場) 販売社数シェア出典:株式会社富士キメラ総研 ソフトウェアビジネス新市場 2011年版

 (*2)2011年大手企業向け(年商1,000億円以上)人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)株式会社矢野経済研究所調べ 2011年12月現在

 IBM PureSystemsについては、「我々にとっても非常に期待していた製品の1つ」とワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者の牧野正幸氏は述べる。

 「COMPANY」シリーズは、サーバが自社内にある固定化されたシステムにおいても、クラウド環境においても、どんな環境でも使えるようになっているのが特徴である。「今回のIBM PureSystemsは、それらの環境をOS およびサービスレベルでIBMが提供してくれるわけですから、我々にとっても非常に有用ですし、お客様にとっても選択肢が広がると思います」と牧野氏は話す。

「IBM PureSystemsは、オンプレミス環境であってもクラウド環境であっても全く同じ環境を、しかも我々が今使っているオープンシステムの環境と同じまま移行できることが大きな強みです。わざわざクラウド化するために全面的にコードを書き直さなければならないような状況は、お客様にとっても我々にとっても何のメリットもありません」(牧野氏)

 同社は、製品開発において、データベースやアプリケーションサーバの主力部分にIBM製品を多数使っており、非常に重要なパートナー関係を築いている。IBM PureSystemsとの連携も重要な戦略だという。

 同社は日本企業のグローバル展開の中で、各国のグループ会社や子会社を含めてサポートできる体制をとりつつあり、すべての拠点で日本と同じIT環境を提供できるようサポートしていくことを大きな方向性として打ち出している。「その際にグローバルで大きなマーケットを持ち、上質なサービスを提供できるIBMとのパートナーシップによって、お客様は安心して当社の製品を使い、安心してグローバル展開できるのではないかと考えています」と牧野氏は意気込んだ。

「COMPANY」シリーズの概要 「COMPANY」シリーズの概要

「COMPANY」シリーズ

株式会社ワークスアプリケーションズ


アピウス 「アピウス エクリュ」

 医療機関などにWeb電子カルテを提供するアピウスは、一般科向け製品「アピウス エクリュ」と、精神科向け製品「アピウス プシュケ」という2つのシステムを事業の柱としている。アピウス エクリュは、亀田メディカルセンターで運用されている「統合医療情報システムKai」を基に、一般医療機関向けのパッケージとした製品。医療機関が自らのグループ内で作り上げたシステムから発展した製品だけに、医療の現場で使いやすく設計されているのが特徴だ。アピウスの塚田智社長は「電子カルテ専門のISVというより、ITソリューションを手掛ける医療系サービス会社という感覚で活動しています」と説明する。

アピウス社長の塚田智氏 アピウス社長の塚田智氏

 電子カルテは医療機関にとって、製造業におけるERP(統合業務パッケージ)に相当するシステムだ。単に紙のカルテの扱いを減らし、カルテの保管や搬送といった医療機関の事務作業の省力化、業務効率化だけにとどまらず、印刷された読みやすいカルテの開示や病診連携などを通じて患者や家族、地域への貢献にも役立つ。

 なお、アピウスの電子カルテシステムはWebベースで構築されているため、端末の管理が容易なことはもちろん、病診連携における双方の負担軽減にも効果的だ。また、システムを通じて各スタッフ間で情報を共有することで相互チェックしたり、システムによる処方の禁忌、許容限界量チェック、疾患に応じたセットオーダーやテンプレートなどを活用して病院内の診療を標準化できるなど、チーム医療の促進、ミスの低減、医療品質向上に役立つ。

 「電子カルテシステムの多くが機能面で大差ない状況となっている中、アピウスは機能に頼らない医療現場が使いやすいサービスを心掛けています。Webベースのシステムであることで端末管理が容易となり、エンドユーザーも使い慣れたインターネットと同じ感覚で使うことができます」(塚田氏)

 同社では、医療機関の業務ノウハウに関しては亀田メディカルセンター、システムに関してはIBMと、それぞれの分野でのパートナーシップを通じてシステム開発、提供を行っている。IBMとの関係においては、IBM エクセレント・パートナー・アワード Japan 2011で「先進パッケージ・ソリューション・パートナー」を受賞したほか、「IBM Health Integration Framework」の認定を日本で初めて獲得。そしてIBM PureSystemsへのいち早い対応を果たすなど、先進技術に対しても積極的に取り組んでいる。

 塚田氏は「IBM PureSystemsへの対応は、より仮想化環境での導入に役立つという認識で取り組んでいます。現状では当社の主要顧客にとって規模が大きめだが、それに見合うスケールで使えるようになるか、あるいは電子カルテのみならず部門サーバなども含めて全てを集約できれば、構築や管理が容易になるといったメリットが得られるはずです」と力を込めた。

「アピウス エクリュ」の導入効果 「アピウス エクリュ」の導入効果

ビーコンIT 「infoScoop」

 ビーコンITは、1974年創業のソフトウェアベンダー。特定ベンダーや特定アーキテクチャに依存しないオープンな技術を用いてデータやシステムの連携を容易に実現する。さらに、つないだシステムを統合させ、1つのパッケージと考えることでユーザーの情報活用を促進し、ビジネススピードを向上させると同時にコストなどの負担を軽減させるという、コンセプト「Unify IT!」を提唱している。

ビーコンIT 執行役員 グローバル・クラウド本部長の戌亥稔氏 ビーコンIT 執行役員 グローバル・クラウド本部長の戌亥稔氏

 同社の企業向け情報ポータル「infoScoop」は、そうしたコンセプトの中核製品として位置付けられている。フロントエンド画面を中心に、必要な機能や情報を「ガジェット」単位に配置・整理し、企業内外の膨大な情報をスピーディに扱える。また、画面の設定のみで容易にシステム連携を行うことができ、バックエンドのシステムに手を加えることなく、1つのブラウザ画面から一元化された情報にアクセスするため、短期間で効果的な機能連携を実現できる。

 infoScoopの画面上には、会社として共通の固定エリアとエンドユーザーが自由に設定できるパーソナライズエリアがあり、個人のワークスタイルに合わせてガジェットを配置させることが可能だ。ガジェットは、Webベースのシステムから画面をそのまま取り入れる「Application Scraper」、フォームの構成をGUI画面上で編集して作成する「Application Builder」、さらに複数ガジェットをつなぎ合わせて連携させる「Gadget Integrator」などの各種ツールがそろった「infoScoop Gadget Factory」で開発可能なほか、ガジェットのマーケットプレイスも用意されており、必要なガジェットをプラグイン感覚ですぐに導入できる。

 こうした機能に加えて、モバイル時代に対応したスマートフォンからのアクセス、iPad版アプリの提供と充実したアクセス制御により、場所を選ばずいつでもどこでもフロントエンドで統合された企業内外の情報、システムをセキュアに利用できる。

 ビーコンIT 執行役員の戌亥稔グローバル・クラウド本部長は「infoScoopはクラウド・モバイル・ソーシャル時代の情報ポータル基盤です。カスタマイズが容易で、部門、部署ごとにエンドユーザーが自分の使いやすいように業務ポータル画面を作れます。今回、IBM PureSystemsに対応することで、グローバルで、多くのユーザーがこのソリューションを活用しやすくなりました」と話す。

 IBM PureSystemsは、あらかじめ個々のユーザー企業の要件に合わせたシステムを用意した上で提供されるため、導入スピードが向上する。それに伴い、infoScoopも短時間でインストールでき、まさに電源を入れてすぐに活用を開始することが可能なのだという。

 ビーコンITとIBMは1990年代半ばころから、さまざまなな分野で協業を実施してきた。最近では、クラウドユニファイドツール「IBM WebSphere Cast Iron」を使った、基幹系アプリケーションとクラウド基盤との連携ソリューションで協業する。「IBM PureSystemsは、企業システムのグローバル化をますます促進するでしょう。一方で、クラウドと既存システムとの連携に悩んでいるお客様は多く、予想以上にコストと時間がかかってしまうケースが散見されます。大規模なシステム連携でビーコンITは実績があり、IBMとの協業によってさらなる顧客拡大につながるはずです」と戌亥氏は語った。

「infoScoop」とIBM製品との連携ソリューション概要 「infoScoop」とIBM製品との連携ソリューション概要

「infoScoop」

株式会社ビーコンIT


クラステクノロジー 「ECObjects」

 オブジェクト指向のソフトウェア部品であるクラスライブラリに社名が由来するクラステクノロジー。その名の通り、クラスライブラリを活用したソリューションの提供を目的に設立され、現在では製造業向けシステムを中心としたラインアップを持つISVだ。

クラステクノロジー代表取締役の四倉幹夫氏 クラステクノロジー代表取締役の
四倉幹夫氏

 その主力製品「ECObjects」は、エンジニアリング・チェイン・マネジメント(ECM)という新たなコンセプトに基づいて開発された製造業向け総合ソリューションである。設計、購買、生産、保守など各分野ごとに部分最適化された製品群を組み合わせるのではなく、業務の流れ全体を見据えて開発されたサブシステム群からなる一貫したソリューションとして全体最適化を図る。加えて、全体をJava2クラスライブラリをベースとして構成することで段階的な拡張や部分的な変更を可能にし、ユーザー企業の製品開発力向上に役立てようとしている。コストダウンはもちろん、大量生産から多品種少量生産への変革、生産形態の多様化、製品ライフサイクル短命化といった、製造業を取り巻く急激な環境の変化に対応するためのソリューションといえる。

 「ECObjectsを導入することで、もの作りを見える化し、全体最適化と開発力向上を実現できます。製品の企画から設計、生産に至る製品開発の早い段階から情報共有を促進することができ、設計情報に変更が発生した場合でも、作業のやり直し工数を低減し、製品開発におけるトータルコストを削減できるのです」(クラステクノロジーの四倉幹夫代表取締役)

 ECObjectsには、統合化部品表の「TotalBOM」、ハイブリッド生産管理「QuickCIM」、リアルタイム生産管理「SmartMRP/APS」などのコンポーネントが含まれている。TotalBOMは、ものづくりの上流工程から下流工程までを網羅した部品表基盤で、各部門の情報を一元管理することでシームレスな連携を実現するほか、仕様や設計への変更に柔軟な対応を可能にして製造業の競争力向上をサポートする。

 QuickCIMは、生産計画から購買、製造まで製造業の主要業務をカバーするもので、個別受注生産や繰り返し生産はもちろん、半見込み半受注生産など、多様化する生産形態に対応している。生産計画エンジンのSmartMRPと、座席予約としても利用可能な納期回答・順序計画・スケジューラーであるSmartAPSは、さまざまな制約条件の中で生産現場が実現可能な生産計画をリアルタイムに作成する。

 同社とIBMとの関係について、2009年12月に、製造ライフサイクルにおけるすべてのプロセスや情報を統合するためのフレームワーク「IBM Product and ServiceFramework(PSF)」に、日本のベンダー製品として初めて認定された。また、今年3月にはIBMのパブリッククラウドサービス「IBM SmarterCloud Enterprise(SCE)」上で提供する「ECObjects クラウド・サービス」を開始した。そして今回、IBM PureSystemsへの対応を表明したわけである。

 「IBM PureSystemsは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能などのインフラを最適化します。これにより、導入段階における設定や検証などインフラ回りの作業ステップが短縮され、お客様も私たちも、固有の要件の解決に専心できるようになります」と四倉氏は連携メリットを強調した。

グローバルオペレーションに対応するサービスを提供 グローバルオペレーションに対応するサービスを提供

「ECObjects」

株式会社クラステクノロジー


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年7月28日