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» 2012年07月24日 07時50分 UPDATE

導入事例:大阪、節電・夏の陣――ここまで来た使った電力の「見える化」と「見せる化」 (1/3)

今年も全国各地で節電が呼び掛けられている。無理なく取り組むには、まず実際の使用電力を知ることから始めるのがポイント。大阪大学が2010年から進める電力可視化の取り組み「CMCグリーンITプロジェクト」の現状を取材した。

[國谷武史,ITmedia]

 猛暑の夏が本格的にスタートした日本列島。震災や原発事故をきっかけにひっ迫する電力事情から、昨年は東京電力管内で15%、今年は関西電力管内で10%の節電目標が掲げられた。節電では使用頻度の少ない電気機器をオフにするといったことが身近だが、実際にどれだけの効果があるのかが分からないと、続けていくのはひと苦労だ。無理な節電はかえって負担にもなる。節電の成果を数字で知ることができれば、無理のない節電を継続できるかもしれない。

 大阪大学(阪大)のサイバーメディアセンター(CMC)は、2010年から大学で消費するエネルギー量の可視化を目指す実証実験「CMCグリーンITプロジェクト」を日本マイクロソフトと共同で進めている。無理のない節電行動を促すためには何ができるか――CMCの中核拠点であり、実証実験が行われている豊中キャンパス(大阪府豊中市)を訪ねた。

tk_mums01.jpg サイバーメディアセンターの竹村治雄教授

 CMCグリーンITプロジェクトは元々、マイクロソフトの社会貢献施策の一環としてスタート。ITをどう社会に役立てていくかというテーマの1つにグリーンITが挙がり、さまざまな事業所の中で電力消費に起因する二酸化炭素の排出が非常に多いのが大学であったため、大学での電力消費の“見える化”が採択された。その実証実験をCMC情報メディア教育研究部門の竹村治雄教授の研究室と行っている。

画一的な節電が難しい大学の研究室

tk_mums02.jpg CMCグリーンITプロジェクトの舞台となる豊中教育研究棟

 実証実験の舞台であるCMCの豊中教育研究棟は、阪大における情報システムの中枢の一つ。建物は地下1階、地上7階建て。学生の情報処理教育や国際言語学習のためのシステム、計算機工学などの研究設備があるほか、阪大のスーパーコンピュータシステムの運用拠点でもあり、キャンパス内では最も電力を使用する施設だ。

 政府などが掲げる節電目標は、社会インフラを担う施設を除いて、原則的には事業所や一般家庭など大きな枠での実施が呼び掛けられている。節電の取り組みは個々の事情を考慮しながらも、組織全体としては目標を達成すべきというのが世情だろう。

 CMCグリーンITプロジェクトを担当する情報メディア教育研究部門の間下以大助教は、「大学の研究室は中小企業みたいなもの。先生の研究テーマによって電力事情は大きく異なるので、画一的に節電を求めるのは難しい」と話す。

tk_mums03.jpg 情報メディア教育研究部門助教の間下以大氏

 例えば、コンピュータシステムの研究では多数のサーバを稼働させる必要があるため、節電を理由に全てのサーバや冷却用のエアコンを停止させるのは難しい。研究で使用される機器の消費電力もさまざま。大学などの研究機関には加速器のような大電力を必要とする機器やシステムが多数存在するなどの特殊な事情がある。

 また立場によって、「環境に貢献したい」「電気代を抑えたい」と協力する人もいれば、「協力したいけど、もう限界……」「興味ない」と節電に対する意識もさまざまだ。

 このため実証実験は、「計測」「分析(見える化)」「共有(見せる化)」「意識・行動パターン分析」「削減アクション」の5つのプロセスで進められている。まず電力消費の実態を把握する。蓄積した電力消費のデータから実際の使われ方を分析する。その情報を関係者と共有することで節電意識への影響を探る。節電意識が実際の節電行動につながるかを検証する――最終的には無理のない最適な節電行動パターンを明らかにするのがゴールだという。

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