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» 2012年09月12日 16時50分 UPDATE

世界のトップリーダーが見つめる近未来 IBMの新旧CEOが講演

米IBMのパルミサーノ会長とロメッティCEOがそろって来日。日本企業の経営者など約300人を前に、リーダーシップ論とコンピューティングシステムの未来について語った。

[伏見学,ITmedia]

セレブなCEOではない

 日本IBMは9月11日、300人を超える日本企業のリーダーを集めた同社の75周年記念イベント「THINK Forum Japan」を都内ホテルで開催した。米IBM本社からサミュエル・J・パルミサーノ会長と、ジニー・ロメッティ社長兼CEOが来日し、自らの経験を交えたリーダーシップ論などについて熱弁をふるった。

「リーダー自身が変わるべきだ」と語る米IBMのサミュエル・J・パルミサーノ会長(提供:日本IBM) 「リーダー自身が変わるべきだ」と語る米IBMのサミュエル・J・パルミサーノ会長(提供:日本IBM)

 2002年にIBMのCEOに就任したパルミサーノ氏は、今年1月1日付けでロメッティ氏にその座を引き継ぐまでの約10年間、さまざまな事業革新に取り組んできた。PCやプリンタ、ハードディスクドライブなどのコモディティ化が進む事業から撤退する一方で、高付加価値のサービス事業やテクノロジー、あるいは中国、インドといった新興市場に積極投資してきた。2008年には、現在の同社のビジョンである「Smarter Planet」を打ち出し、地球規模での課題解決に向けたソリューションを提唱し続けている。

 そうした改革の成果として、パルミサーノ氏のCEO在任期間中に、IBMは1株当たり利益を約5倍に増大、1000億ドル以上のフリーキャッシュフローを創出し、1000億ドル以上の株主価値をもたらした。このような功績に対し、パルミサーノ氏は「私は決してIT業界のキャプテンだとは思わないし、アイコン的なセレブCEOになろうとも思わない。ただし、素晴らしい企業を一時的に預からせてもらい、より良い状態で次の世代に継承することができたことは誇りに思う」と力を込める。

 リーダーの条件として、パルミサーノ氏は自身のキャリアを振り返り、「未来に向かって歩を進め続けるとともに、組織や自分自身をも変革することが重要だ」と強調する。具体的なエピソードとして、日本での勤務時代を紹介した。1990年代前半にパルミサーノ氏は日本IBMのオペレーション担当シニア・マネージング・ディレクターに着任した。「実は、日本に来なくても米国本社で上層のポジションを選ぶことができたのだが、より距離の長い旅をしようと心に決めて、家族も日本に連れてきた。結果的に、視野を広げ、さらなる人間関係を構築するなど、良い経験を積むことができた」と話した。

システムは自ら学習する

 続いてステージに登壇したのがロメッティ氏だ。年初にCEOに就任してから既に25カ国40都市の顧客を訪問するなど精力的な活動を見せている。ロメッティ氏は昨年末までグローバル全体の営業部門を統括しており、世界170カ国での収益や顧客満足度に責任を持っていたことも、このフットワークの軽さと無関係ではないだろう。

米IBMのジニー・ロメッティ社長兼CEO。軽快な語り口調が印象的だった(提供:日本IBM) 米IBMのジニー・ロメッティ社長兼CEO。軽快な語り口調が印象的だった(提供:日本IBM)

 冒頭でロメッティ氏は、「将来を楽観視している。社会にもビジネスにもチャンスが広がっている」と切り出した。その根拠の1つとして、新しい技術基盤が次々と誕生し、システム自体が学習できるコンピューティングの時代が訪れつつあることを挙げる。

 ロメッティ氏によると、コンピューティングシステムの進化は3段階に分けられるという。1つ目は、19世紀から1950年代にかけた集計システムの時代。日本IBMで最初の顧客となったノリタケカンパニーリミテドもタビュレーター(電子計算機)を採用した。2つ目は、1950年代以降のプログラムが可能になった時代である。銀行の取引システムのように、コンピュータに指示を出してプログラム化することでタスクをこなせるようになった。

 そして3つ目が、システムが学習する時代だという。「ビッグデータ」や「M2M(Machine to Machine)」といったキーワードが注目されていることが示すように、今や世界はコンピュータ化されてあらゆるものが相互につながっている。瞬時にさまざまな情報源からの大量のデータを統合、分析するシステムを「コグニティブ・コンピューティング・システム」と呼び、IBMのスーパーコンピュータ「Watson」がその代表例である。

「Watsonは自然言語で対話し、人間からも学ぶことができるコンピュータである。その活用領域として、まずは医療分野のがん研究で応用されており、既に世界の医療データの約80%をWatsonが処理しているのだ」(ロメッティ氏)

 このような新しいコンピューティングシステムの登場は、経営者などのリーダーシップをも変えようとするものだという。「もはや直感ではない。データアナリティクスという文化を企業に導入することで、リーダーの意思決定のあり方が変わるだろう」とロメッティ氏は強調した。

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