日本HPは複数のクラウド環境をスムーズに利用できるのを支援する、5つのメニューからなるサービスを新たに開始した。
日本ヒューレット・パッカードは9月19日、ハイブリッドクラウド環境の構築やその利用を支援する「ハイブリッドクラウド連携サービス」の提供を開始した。これにより、クラウドの導入から活用までのソリューションサービスを包括的に提供できるとしている。
新サービスは、オープンソース技術を活用したクラウド構築や、データセンターリソースの柔軟な活用の支援、バックアップ、運用管理など5つのメニューで構成される。各メニューの概要は以下の通り。
同社テクノロジーサービス本部 インフラストラクチャソリューション部長の榎本司氏によれば、プライベートクラウド環境やパブリッククラウドサービスなどを組み合わせて利用する「ハイブリッドクラウド」では、オープンソース技術の活用による戦略的なクラウド環境の実現、必要性に応じた外部リソースの利用、災害対策や事業継続での利用といった企業ニーズが高まっているという。新サービスはこうしたニーズに対応するものと説明した。
また、HPのクラウドソリューション事業について、執行役員テクノロジーコンサルティング統括本部長の有安健二氏は、「ユーザー企業の変革のためのクラウドコンピューティング活用を支援するために、HPでは2008年からクラウドの包括的なソリューションの拡充を進めてきた。今回のサービスでこれが完成し、ユーザー企業の多様なニーズに応えられるようになるだろう」と述べている。
新サービスの特徴は、クラウドに関する同社の豊富なノウハウや技術をベースとしつつ、ユーザーニーズに応じてさまざまな技術を組み合わせて提供することだという。例えば、「オープンソースクラウド基盤ソリューション」では、オープンソースのクラウド構築パッケージ「OpenStack」やCitrix Systemsの「Citrix CloudPlatform」などを、同社製品と組み合わせられる。現状ではOpenStackは、クラウドサービスプロバイダーなどテクノロジー志向の強い企業の支持を集め、一般企業にはハードルが高いと見る向きがある。だが、今後は一般企業でもOpenStackの採用が広がる可能性もあり、「ユーザーが採用できるテクノロジーの枠を広げることが、ベンダーロックの回避にもつながる。当社ではこの点が重要だと考えている」(有安氏)とのことだ。
新サービスは同日から利用でき、費用はメニューによって異なるが、数百万円から数千万円の範囲になるという。
メニュー名 | 概要 |
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オープンソースクラウド基盤ソリューション | OpenStack、Citrix CloudPlatformなどを利用した最適化されたクラウド基盤ソリューション。オープンソースソフトウェアとHP独自のコンポーネントによる最適化と今後の拡張における柔軟性を追求したソフトウェアスタック、クラウドサービスプロバイダー基盤の導入実績をもとにした設計構築サービスの提供 |
パブリッククラウドコネクト | 顧客の要件に適したパブリッククラウドの選択と最適な接続の提供。インターネット/VPN/専用線、冗長化方式など、多様な接続方式に対応。セキュリティ強化や高速化、経路コントロールなどの機能追加・性能向上も含めたトータルインテグレーション。データセンターLAN、データセンター間接続WANに関する多くの実績、ノウハウによる設計・構築 |
バースティング構築支援 | システムのリソース利用状況に応じてオンデマンドに別環境のリソースを利用する仕組みを構築。バースティング機能を活用したリソース計画の策定支援。HP Cloud Servicesのみならず代表的なパブリッククラウド、データセンターへのバースティングを実装。HPワールドワイドクラウドチームの実績・経験を提供 |
クラウドバックアップ構築支援 | パブリッククラウド上へのデータの隔地保管とレプリケーションの実現。罹災時など有事の際にパブリッククラウド上でシステム稼働させることも可能。大規模ディザスタリカバリ基盤構築実績によるビジネス継続の観点での支援 |
統合管理環境構築支援 | ハイブリッドクラウド環境を透過的に管理し、リソースの配置を自動化する仕組みの構築。管理ソフトウェアにより、複数クラウドを対象に複雑になりがちな環境を一元管理。マルチベンダー、マルチクラウドに対応した管理環境の提供・運用管理ソフトウェアを20年に渡って提供・構築してきたHPの経験を活用 |
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