高速3Gが牽引したモバイル大衆化時代の到来モバイルワーク温故知新(4/5 ページ)

» 2012年09月25日 08時00分 公開
[池田冬彦,ITmedia]

HSPA高速データ通信の進展

 2006〜2007年当時、日本のモバイル通信インフラは、世界的に見ても先進的だった。利用エリアの拡大は急ピッチで進み、ユーザー数も年々増えていった。また、HSPA通信の規格もバージョンアップによって次第に高速になっていった。

 HSDPA、HSUPAは「カテゴリ」に応じて通信速度が決まっており、当初のHSDPAは「カテゴリ6」の3.6Mbpsの規格を採用していた。イー・モバイルは、2007年12月から下り7.2Mbps(理論値)の「カテゴリ8」に対応するサービスを開始した。また、NTTドコモは2008年4月からHSPAサービス「FOMAハイスピード」を下り7.2Mbpsにスピードアップし、これに対応するUSB接続型の通信端末「A2502 HIGH-SPEED」とCFカード型の「N2502 HIGH-SPEED」をリリースした。ソフトバンクモバイルは2008年11月より7.2Mbpsのサービスを開始している。

日本初の7.2MbpsのHSDPAサービスに対応した通信端末「D02HW」を使ったデモ

 ちなみに、HSDPAの規格上の最高速度は下り14.4.Mbps(カテゴリ10)だ。携帯電話各社は段階的に「カテゴリ10」への対応を進めるとともに、上りの通信速度を高速化するHSUPAも対応を進めてきた。2009年からイー・モバイル、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルがサービスを開始している。HSUPAの最大通信速度は上り5.7Mbpsだ。このように、HSPA通信の広がりと合わせて上り、下りとも通信速度の高速化が進み、実用性がさらに向上した。

 3.5G通信のサービスの広がりによって、ノートPCをカフェや列車内などで広げて仕事をすることも珍しい光景ではなくなってきた。モバイルワークは特殊なものではなくなり、営業職など、オフィスの外を舞台に活動する人にとっては当たり前のスタイルとなっていたのだ。

 無線LANに比べれば通信速度は低速だったが、公衆無線LANサービスなどインターネットに接続できる場所を求めてさまよう必要もなく、自分の好きな場所で仕事ができるのはモバイルワークの理想だ。この時期は速度面でもエリア面でも整備が着々と進み、この理想を実践できる環境が整っていったのである。

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