Oracleと富士通がタッグ、DB処理アシスト機構をCPUに組み込む次世代サーバ「Athena」開発Oracle OpenWorld San Francisco 2012 Report(2/2 ページ)

» 2012年10月01日 15時26分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 「ヘルスケアクラウド」も同社が力を注ぐ分野だ。毎日の健康状態や運動、食事、健康診断の結果などをクラウドで収集、個々の健康管理を専門家がアドバイスするほか、せっかく電子化されても病院ごとに閉じられていた膨大なデータを分析することで特定のパターンを見つけ出し、例えば、糖尿病の早期発見や予防に役立てることもできる。

 「いわゆるビッグデータから価値を引き出すためには、企業が蓄積・管理しているビジネスデータと掛け合わせる必要がある。従来のサーバはCPUのクロック周波数を高めたり、クラスタで並列化することで処理の高速化を図ってきたが、全く新しい概念が求められている」と豊木氏。

「知恵の女神」は富士通に微笑むか?

 次世代のサーバテクノロジーとして、富士通がOracleの協力を得ながら開発しているのがコードネーム「Athena」(アテナ)だ。

 ギリシャ神話に登場する「知恵の女神」の名を冠した次世代のSPARC/Solarisサーバは、昨年6月と11月に2期連続で世界トップの座に就いたスーパーコンピューター「京」で培った高速演算性能をコンパクトなビルディングブロックにモジュール化、最大で16台を接続し、メモリ容量もシステム当たり32テラバイトまで拡張できる。さらに新CPUとして開発された「SPARC64 X」にはデータベース処理をアシストする機構を組み込み、飛躍的な高速化を図るという。戦後まだ間もないころ「世界最速のコンピュータ」を目指してスタートした富士通のコンピュータ事業は、1970年代の「FACOM M-190」で世界の頂点に立った。そのプロセッサ開発の技術は今も受け継がれ、昨年の「京」や開発中の「Athena」にも生かされている。

「来年にはAthena製品を」とエリソンCEO

 既に多くの人が気づき始めているが、ソーシャルメディアに書き込まれたデータは、さまざまな統計データや企業が蓄積してきたビジネスデータと掛け合わせることで初めて真のビジネス価値を生む。

 「これまでの制限を抱えたサーバインフラでは、例えば地域ごと商品ごとにきめ細かな分析を迅速に行えなかったが、Athenaならリアルタイムの意思決定を支援できる」と豊木氏は胸を張る。

 Athenaは既に性能テストを開始しており、同じオープニングキーノートに登場したOracleのラリー・エリソンCEOは、来年のOracle OpenWorldではAthenaを採用したEngineered Systemsを披露できると明かした。

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