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» 2012年10月03日 08時00分 UPDATE

現地レポート:キヤノンMJグループが新データセンターを稼働へ、ITサービスの新拠点に

キヤノンマーケティングジャパンは、都内で建設を進めてきた「西東京データセンター」を10月17日にサービスインさせる。開業を前に最新鋭の設備を公開した。

[國谷武史,ITmedia]

 キヤノンマーケティングジャパンとグループ企業のキヤノンITソリューションズは10月2日、都内で建設を進めてきた「西東京データセンター」を17日にサービスインさせると発表した。開業を前に最新鋭の設備が報道機関向けに公開されたので、その模様をレポートする。

tkcmj01.jpgtkcmj02.jpg 西東京データセンターの外観

 西東京データセンターは、キヤノンマーケティングジャパングループのITサービス事業の拠点として建設されたもので、都心から電車で1時間以内にアクセスできる場所にあり、近くに大規模河川が無く、地盤強度のN値も50以上と自然災害に強い立地という。建屋は地下1階、地上4階の5階構造で、1階に700ラック、2階と3階に800ラックずつの計2300ラックを収容可能。既に収容可能数を上回る利用予約が寄せられ、金融機関などを中心に高信頼かつ堅牢な設備を求める企業からの引き合いが多いという。

tkcmj03.jpg ITサービスマネジメントセンター長 秋葉俊幸氏

 キヤノンITソリューションズは、西東京データセンター以外に都心に2カ所と沖縄の計3カ所の施設でデータセンター事業を展開する。同社ITサービス事業本部 ITサービスマネジメントセンター長の秋葉俊幸氏は、「データセンター事業としては15年の歴史があり、ハウジングやコロケーション、システム開発まで多様な企業のニーズに対応してきた。新拠点で事業規模が2倍に拡大し、海外進出する企業などビジネスの成長を目指す企業により高信頼のサービスを提供していきたい」と表明した。

 秋葉氏によれば、西東京データセンターの建設計画は4年前にスタート。設計に当たっては、設備の完全冗長化による無停止運用の実現を追求したという。これは同社の主要顧客層の1つでもある金融や証券などのニーズに対応するためでもある。設備によっては二重化のみならず、さらに何重もの冗長化に対応可能な拡張性の高さが特徴となっている。以降では「セキュリティ」「地震・火災対策」「電源・冷却設備」「サーバルーム」を中心に、西東京データセンターの内部をレポートしたい。なお、保安上の理由から掲載した写真や画像は同社提供のものを使用した。

国内でも導入がわずかの3Dボディスキャナを採用

 入館ゲートやサーバルームなどには、生体認証やカード認証、共連れ防止のロータゲートなどを完備する。ユニークなのは、国内では導入例がわずかしかないというミリ波を利用した3Dボディスキャナを採用だ。これは物品の持ち込みや持ち出しをチェックするためのものだが、人体に影響が少ないとされるミリ波で全身をスキャニングすることで、わずかな物体の有無を確実にとらえることができるという。持ち込み物は別途、エックス線検査を行い、画像登録も行う。事前申請の内容と持ち込み物、持ち出し物に差異が無いかを管理する。

 館内には数百台の監視カメラネットワークを構築しており、セキュリティレベルの高い場所では複数台のカメラを設置する。これは死角を無くすと同時に、カメラに異常が発生しても確実に映像を記録するためで、録画した映像は最長180日間保存するという。

tkcmj04.jpg エントランス部

 またカードキーは、入館用やサーバルーム用など複数が用意されている。特にセキュリティレベルの高い場所への出入りに必要なカードキーは、保有者ごとに厳重な管理を行い、館外に持ち出されないための工夫も取り入れたとのことだ。

地震の縦揺れも考慮

 建物の基礎は地上から約11メートル下にある関東ローム層よりさらに2メートル掘り下げた礫層に設けている。地震対策ではこの基礎上にある地下1階に免震アイソレータやオイルダンパーなどによる免震層を構築。免震アイソレータは初期の揺れを吸収する「天然ゴム系」と揺れを収束される「高減衰積層ゴム系」の2種類で構成される。これにより、地震が発生してもサーバルームの床面の加速度を250センチ/s2(ガル)以下に抑えられるという。また、建屋の柱と柱の間には多数の縦揺れ制震ダンパーも設置し、地震時の縦揺れを25%減衰できる構造とした。

 免震層には、サーバルームを最長72時間冷却するために必要な水を3000トン貯蔵できるタンクも設けられている。

tkcmj05.jpgtkcmj06.jpg 免震アイソレータ(左)と縦揺れ制震ダンパー

拡張性も考慮した冗長構成の冷却と電源設備

 サーバルームの冷却は、局所空調機を用いてサーバルームの床下から冷気を送り込み、天井部から排熱を局所空調機に戻すフローを採用する。冷気を生み出すのには冷水を利用。冷水はターボ冷凍機で作られ、蓄熱クッションタンクを経由して局所空調機に配分される。

 ターボ冷凍機と蓄熱クッションタンクは二重化されており、さらに蓄熱クッションタンクは3基構成となっている。これは、停電時に自家発電機が稼働するまでの数十秒間ターボ冷凍機が停止してしまうこと対処するもので、ターボ冷凍機が停止しても、確実に冷水を局所空調機へ送り込めるという。屋上には水冷・空冷モジュールチラーも冗長構成で設置する。冬場は空冷でも冷却できるようにして、冷却システム全体を多重化させる狙いもあるという。

 電源は2系統の変電所から受電しており、停電時に備えた無停止電源装置(UPS)を2系統、72時間稼働できるガスタービン発電機を4機(うち1機は予備)設置する。UPSでは将来の利用拡大に備えて三重化が可能であり、ガスタービン発電機も5機まで設置可能となっている。

床耐荷重は1.5トンに

 サーバルームは3フロアで合計2300ラックを収容する。床耐荷重は1平方メートルあたり1.5トン、床下の高さは1000ミリメートルで、床下作業の効率性に配慮して日本データセンター協会基準の750ミリメートルよりも高くした。1ラック当たりの給電能力は20kVAで、上述したようにラック下部から冷気を送って、ラック上部から排熱するホットアイル・コールドアイルが可能になっている。

 火災時の消火設備には、消化ガス排出時の騒音レベルを100デシベル以下に抑えるヘッドを採用。ヘッドが無い場合は140デシベルにもなり、騒音による振動でラック内の機器に障害が起きないよう考慮したという。

tkcmj07.jpgtkcmj08.jpg サーバルーム内部(左)と高さ1000ミリが確保された床下部

 このほか、データセンター全体を管理する中央監視システムでは監視サーバから制御サーバおよび各種装置にいたるまで二重化されている。さらに、電源設備など重要性の高いシステムでは中央監視系とは別に単独の監視系も用意しており、監視を確実に継続できるようにしている。

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